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DSC-MZ1

DSC-MZ1

2001年07月06日 23時54分更新

文● 行正

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高度な画像処理技術をカメラ内に搭載

撮影サンプル1。元画像は2000×1496ドットだが、掲載用に640×479ドットにリサイズしている。ワイドレンジショットは使用していない。

 MZ1の大きな特徴が、画素数(211万画素)の割に1/1.8インチという大きなサイズのCCDを搭載している点だ。IXY DIGITALシリーズなどの最近の200万画素クラスのコンパクトデジタルカメラは1/2.7インチCCDを搭載するものがほとんどだが、MZ1ではあえて1/1.8インチCCDを採用している。



撮影サンプル1の中央部を640×480ドットにトリミングしたもの。青空がノイジーで解像感もあまり良くないが、これは画素補間による擬似高解像度化によるものと思われる。

 CCDサイズはデジタルカメラの高画素化に深く関わる部分なので、簡単に説明しておこう。CCDは、画素数の増大に合わせてCCD全体の面積を大きくしないと1画素あたりの受光面積が減少してしまう。1つの受光素子の容量が小さくなればなるほど感度も下がってしまうし、受けた光量を計り比べることが難しくなり、階調表現力も低下することになる。だからこそ高画素CCDほどなるべく大きなサイズを採用し、カメラ自体も大型となるわけだ。MZ1では、最近の400万画素クラスで採用されているサイズである1/1.8インチCCDを搭載し、階調表現力を高めている。



撮影サンプル2。元画像は2000×1496ドットだが、掲載用に640×479ドットにリサイズしている。ワイドレンジショットは使用していない。

 CCDは有効200万画素なので、撮影画素数は1600×1200ドットだが、「ピクトライズ300」と呼ばれる画素補間技術により、300万画素クラスに匹敵する2000×1496ドットの画像記録が行えるのも特徴だ。画素補間処理は専用チップの搭載により高速に行なわれ、撮影間隔は1600×1200ドット時では約1.5秒(デジタルカメラのなかでは高速な部類に入る)、2000×1496ドット時でも+1秒程度に収まっている。



撮影サンプル3。撮影サンプル2と同じアングルでワイドレンジショットを使用して撮影。2000×1496ドットを640×479ドットにリサイズ。

 豊富な撮影機能(後述)を持つのが特徴のMZ1だが、同社の従来機(Multi-Zシリーズ)と同様に、強力な動画撮影機能も備えている。
 動画は640×480/320×240/160×120ドットの3種類の解像度を選択でき、640×480では15フレーム/秒、320×240/160×120ドットでは30フレーム/秒と15フレーム/秒を選択できる。QuickTime Movieフォーマットの動画ファイルは記録時間に制限はなく、メディアの容量いっぱいに録画できる(640×480ドットモードなら32MBで最大42秒)。記録メディアであるCFメモリカードスロットはTypeIIで、IBMのmicrodriveにも対応するため、1GBメディアを使用した際には640×480ドットモードで22分、160×120ドットであれば最大189分もの動画を記録できる(オプションのACアダプタ使用時)。



撮影サンプル2と3の中央部を原寸(元画像データ)のまま並べてみた。暗部(家屋の日陰部分)の階調表現はあまり違いはないが、直射日光に照らされた縁台の座面と笹の葉部分のハイライトでは、ワイドレンジショットを使った右側のほうがディテールが残っている。

 さらに連写機能も強力だ。1600×1200ドットで10コマ/秒もしくは5コマ/秒の静止画をファインモードでは約8枚、ノーマルモードなら約15枚記録できる。640×480ドットでは最大20コマ/秒で最大50枚記録可能だ。また、ボイスメモ機能も備え、32MBメディアであれば高音質モードで約33分、低音質モードで1時間6分の録音ができる。



撮影サンプル4。2000×1496ドットを640×479ドットにリサイズ。ワイドレンジショットは使用していない。

 静止画撮影でも興味深いのが「ワイドレンジショット」と呼ばれる画像合成機能だ。これは、階調表現力を高めることを目的としたもので、ハイライトの飛びとともに暗部のつぶれをも解消する技術だ。ハイコントラストな被写体を撮影する場合、明るい部分を重視して露出を下げれ(早いシャッター速度で撮れ)ば、暗い部分が真っ黒となり、逆に暗い部分を重視すればハイライト部が真っ白に飛んでしまう。ワイドレンジショットでは、明暗2枚の画像を連写し、2枚を合成処理することでハイライト部も暗部も両方の情報を残すというもの。



撮影サンプル5。2000×1496ドットを640×479ドットにリサイズ。ワイドレンジショットを使用した。なお、画面左上1/3が白っぽいのはレンズに直射日光が入りハレーションを起こした撮影ミス(カメラ位置がほぼ同じであるため、撮影サンプル4も若干発生している)。

 同種の機能としては、日本ビクターが発売した「GC-X1」「GC-X3」が搭載する「ワイドレンジモード」があるが、GC-X1/X3では個別に2回のシャッターを切る必要があるため、利用の際には三脚などでカメラを固定するといった準備を要した。MZ1では、カメラ側で連続して露光させることで手持ち撮影でも利用可能にしている。具体的には、たとえば1/500秒のシャッター速度が適正な露出であった場合、連続して1/250秒と1/750秒の撮影を行う。この際、最初の撮影で露光されたCCDの電荷を読み出しつつ、次の露光が可能というインターラインCCDの特性が活かされており、露光そのものはほぼ連続している。つまり、トータルの露光時間は本来のシャッター速度よりも遅くなるわけだが、よほど暗いところでなければ手持ちのままで利用できるわけだ。



撮影サンプル4と5の中央部を原寸で並べてみた。ワイドレンジショットを使用した画像(右)では、使用していない画像(左)に比べて、窓越しの屋外の樹木が白飛びせず残っている点に注目されたい。参考として各画像におけるヒストグラム表示ダイヤログ(PaintShop Pro)を併記した。

 また、「リアルカラーイコライザー」と呼ばれる色補正機能も備える。フォトレタッチなどで、特定の色を変えようとして色調を変更すると全体的な色あいも変更されてしまうが、リアルカラーイコライザーではRGBを含む12色を個別に変更することで、特定の色のみを補正することができるという機能だ。さらにその中のR、G、B、C、M、Yの6色は、ユーザーがそれぞれを任意に色相と彩度を変更することができる。設定中は被写体画像が液晶にモニタ表示され、画面を見ながら特定の色を変えることができるわけだが、葉や茎の緑はそのままに花の色だけをよりいっそう赤くしたり、赤い花を青っぽくしたりといった具合になかなか楽しめる。設定は3種類まで記録しておけるため、おもしろい映像表現が可能だろう。ただし、ほかのデジタルカメラで撮影した画像であっても、PC上のフォトレタッチソフトで同様の処理は行えるわけであり、オリジナル画像を残すこともできる。最終的にPCで印刷するといった用途であれば、それほど使う機能でもないだろう。



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