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東京システムハウス、KDDI研究所の要素技術を提供する企業向け会員組織を募集

2001年07月06日 22時55分更新

文● 編集部 佐々木千之

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東京システムハウス(株)は6日、最新のIT技術動向や(株)KDDI研究所が開発した要素技術などを、IT関連企業やベンチャー企業に提供する会員組織“KT-NET”の説明会を開催した。会員が事業化を目指す際のコンサルティングや資金調達、製品販売チャネルも支援活動も行なう。

これに先立つ6月20日、KDDI研究所は、東京システムハウスが設立する会員組織を通じて技術提供することについて、合意したと発表していた。

東京システムハウスのシステムパッケージ事業部の林知之氏事業部長
東京システムハウスのシステムパッケージ事業部の林知之氏事業部長

KT-NETは東京システムハウス、KDDI研究所と、会員企業であるソフトウェア会社、ベンチャー企業、ベンチャーキャピタルで構成される。KT-NETの会員企業は、年6回程度開催する技術セミナー、KDDI研究所が開発した技術のSDK(Software Development Kit)の利用、KDDI研究所との共同研究、およびそれらを基にした事業化の際のサポート(コンサルティング、会員企業による提携、資金調達)などを受けることが可能という。

KT-NETの企業向け説明会に先立って行なわれた、報道関係者向け説明会に出席した、東京システムハウスのシステムパッケージ事業部の林知之氏事業部長によると、ネットワーク時代の到来に向けたネットワーク対応のアプリケーション開発が企業にとって重要となっているが、このような開発の際に必要となる基盤技術を提供することによって、ソフトウェアやコンテンツ、サービスの開発支援を行なうことが、KT-NET設立の目的という。KT-NETのなかで東京システムハウスは、組織の運営を行なうが、事業化となった際には同社が持つ販売チャネルを通じて製品提供を行なうなどの派生ビジネスを行ないたいとしている(会員企業になる場合の条件には含まれない)。

KDDI研究所の松本修一執行役員
KDDI研究所の松本修一執行役員

またKDDI研究所の松本修一執行役員は、こうした活動を行なうに至った理由について説明した。松本氏によれば、日本企業における事業の評価は短期に利益を出せるかどうかという“米国的な”見方に変わりつつある。そうした変化の中で、大企業においても研究開発部門は、従来のように親会社などから与えられた研究を行なうだけでなく、開発した技術を積極的に外部に送り出して使ってもらい、それによって新しい技術のトレンドをつかんでいくことが重要だという。同社にとってKT-NETも新しい試みであり「仮に1年後にKT-NETがうまくいっていないようであれば、提供する技術のラインアップを変えていくことが必要だろう」と柔軟に対応していく姿勢を見せた。

KT-NETの会員には、特別会員(年会費120万円)と一般会員(年会費12万円)の2種類がある。特別会員は、最新のIT技術動向の情報や技術セミナーを無料で受けたり、KDDI研究所が提供するSDKや技術教育サービスを2割引で購入できる。一般会員はIT技術動向情報を無料で受け取ることと、セミナーを4割引で受講できる。東京システムハウスでは、本日より会員募集を開始し、初年度に特別会員20社、一般会員100社の参加を見込んでいる。なお、どの程度の企業が事業化まで進むのかについては、SDKの利用数で10程度とするにとどまった。

景気が低迷する中、企業の研究開発部門もある程度の業績が求められるようになっており、(株)日立製作所の研究開発部門においても、外部企業の研究を請け負うなどの動きがあるという。KDDI研究所が東京システムハウスと組んだ形で参加するKT-NETは、研究開発部門における新しい試みとして注目される。

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