リード エグジビション ジャパン(株)主催の第9回産業用バーチャルリアリティ展、第12回設計・製造ソリューション展および第5回機械要素技術展が4日、東京・有明の東京ビッグサイトにて開幕した。3展とも6日まで開催する。
今回の産業用バーチャルリアリティ展では、約50社がさまざまな展示・デモンストレーションを行なっているが、その中でもモーションキャプチャー技術や3D立体視技術についての出展が目立った。
日商エレクトロニクスは赤外線式
日商エレクトロニクス(株)のブースでは、身に付けたマーカーが発する赤外線を検出する、“アクティブ赤外線方式”によるモーションキャプチャーシステム“ReActor”のデモンストレーションが行なわれていた。
日商エレクトロニクスのブース。2名の演者が交代で、数十分ごとにデモが行なわれたが、そのたびに多くの人々が集まった |
人物の動きを検出して再構築したした画面 |
こちらは“ReActor”のコンソール画面。3Dアニメーション編集ソフト『FiLMBOX』だ。 |
“ReActor”は、最大30個の赤外線マーカーを人物に取り付け、マーカーの発する赤外線を周囲に配置した12本のフレーム上の約500台のカメラで感知し、人物の動きを検出する。赤外線マーカーは固有のIDナンバーを持っており、2つ以上のマーカーの位置が重なっても正しく認識できるという。
赤外線マーカー。直径は5~6cm |
周囲を囲むフレームにはスリットが並んでおり、その中に緑色の基板が見える。そこに赤外線カメラを設置している |
キャプチャー可能なエリアは、1辺が約3mの立方体内。ベルトパックとマーカーに電力を供給するバッテリーとで、重さは約1.2kg。デモンストレーションでは、ほかのブースからの赤外線の干渉によって時々画面が乱れたが、演者が少々激しく動いても、ほぼリアルタイムで検出・描画が行なわれていた。
演者が少々激しく動いても…… |
データのアップデートは1秒間に最大900回行なえるが、マーカーを30個使用した場合には1マーカーあたり毎秒30回となる。データ間を自動補完して、毎秒60回相当のアップデートを実現することも可能。
“ReActor”は、専用のインターフェースカードを搭載したパソコンに接続し、3Dアニメーション編集ソフト『FiLMBOX』経由で『Maya』や『Softimage』などのCGソフトに対応する。日商エレクトロニクスでは、“ReActor”を主にテレビ局やゲーム制作、CG制作会社などに販売するという。すでに日本放送協会(NHK)などが導入している。価格は約1600万円からとなっている。
スパイスは機械式
(株)スパイスのブースでは、機械式でワイヤレスのモーションキャプチャーシステム“Gypsy 3.0ワイアレス”のデモを行っていた。
“Gypsy 3.0ワイアレス”。機械式だけあって、シャフトやワイヤーが前身を覆っている |
“Gypsy 3.0ワイアレス”は、体の動きに合わせてシャフトなどが動き、物理的なセンサーでそれらを感知する機械式を採用している。また、検出したデータの伝送に無線を使用するため、無線の届く範囲であれば相当離れていても(屋内で半径約100m、屋外で半径約1.2km)モーションキャプチャーが可能。センサー数は43で、それぞれ0.08度の動きまで検出できるという。データグローブを併用することもできる。
一見すると鈍重そうだが、実際には軽快に動ける |
重量は約6kgと、ほかの形式に比べて若干重い。だが、一見すると鈍重そうだが、デモでは軽快に動いていた。同社では、同じ機械式でも有線でデータの伝送を行なう製品も販売している。価格は他社と比べて安く、6~700万円から提供するという。
磁気式や画像式など
そのほかにも、ジャパンテックサービス(株)が磁気方式の、(株)応用計測研究所が画像方式のシステムを展示していた。
ジャパンテックサービスの磁気方式システム。トランスミッターが磁場を発し、磁力の変化によってマーカーの動きを感知する。データの伝送は有線あるいは無線で行なう。この日は有線でデモを行なっていた |
応用計測研究所の画像方式。最大で6色、16ヵ所までマーカーを取り付けられる。それを周囲に設置したカメラで撮影し、画像解析して動きを検出する |