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【TECHXNY/PC EXPO Vol.3】PDAとそのアクセサリーがいっぱい

2001年06月29日 23時46分更新

文● 塩田紳二

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米インテル社が“Tualatin”を展示したり、米トランスメタ社が高密度サーバーを展示したり、それなりに話題のあった“TECHXNY/PC EXPO”ではあるが、全体の熱気は今ひとつだったよう。3日目最終日は、PDA関連の展示を中心におなじみ塩田紳二氏のレポートでお送りする。

          ◇

米国のイベントだと3日目にもなるとプレスルームもかなり空いてくる。というのも米国人にしてみれば、国内のイベントだし、米国の雑誌などではもともと、イベント取材記事を日本のような詳細に渡って紹介しないので、会場を丹念に回ったりせず、個々のメーカーに取材するか、プレスルームにある資料などですませてしまうということもある。また、出展社のほうも、最後の日はどことなく落ち着かないで、早めに片付けモードにはいってしまい。それまで名刺を出さないとくれなかったTシャツなどを投げるように配っていたりする。持って帰るのが面倒だからである。ときどき、1つでいいのに3つも4つもくれるところがあるのだが、今年は不況のせいか、日本で言う粗品をくれるところは少ない。

米コダック社の『PalmPix』の新バージョン
米コダック社の『PalmPix』の新バージョン。m500/505対応。今回は、最大800x600ドットの撮影が可能になり、マクロ撮影機能などがついた
Matias社の『Halfkeyboard』
Matias社の『Halfkeyboard』。ちょうど普通のキーボードの左手側のアルファベット用の3段のみを取り出したような形で、シフト操作で右半分を入力する。このとき、左手との対応を付けやすいように配置は左右逆転(つまり、右手の親指で押すキーが左手の親指に来る)する。PalmだけでなくPC用もある

さて、PC EXPOは先のレポートで述べたように、どちらかというとコンシューマーよりのイベントで、大手コンピューター/電気メーカー以外だと、周辺装置やソフトあるいはPCケースといったメーカーが多い。デバイス系は米インテル社と米トランスメタ社ぐらい。

トランスメタブースにあったVIA社(チップセットの台湾VIAとは別の会社)のウェアラブルPC
トランスメタブースにあったVIA社(チップセットの台湾VIAとは別の会社)のウェアラブルPC。手前の長細いものが本体とHDDに分かれて、真ん中で曲がるようになっており、これを腰に装着する。写真右側にあるのがバッテリー
米ザーコム社のPalm m500/505用無線LANカード
米ザーコム社のPalm m500/505用無線LANカード。IEEE 802.11b対応。Visor用のスプリングボードモジュールもある。ザーコムはいまではインテルの子会社
キーボード一体型ケース
キーボード一体型ケース。こうしたアクセサリーが商売になるのもPalm機が普及すればこそ

また、意外に目につくのは、携帯電話やページャーのキャリアーの展示である。米国における携帯電話はまだアナログが中心で、外出先で携帯電話をノートパソコンに接続して簡単にインターネットというわけにはいかない。しかし、双方向にデータをやりとりできるページャーなどがあり、そのインフラを使ってインターネットアクセスを行なえるようなPCカードもある。こうした展示を行なうキャリアーが結構多いのである。実際にインフラを持っているのはごく一部の会社のみで、あとは、大手キャリアーから設備を借りてサービスのみを提供する会社である(厳密にはキャリアーとはいえないのだが)。特にPalm機などのPDAに接続できるアダプターなどが目立つ。

カシオ計算機ブースにあった、ペン入力デバイス
カシオ計算機ブースにあった、ペン入力デバイス。ペンの位置を超音波で検出するため、写真奥に見えるモジュールの正面で使うだけでよい。E-Pen InMotion社の製品だが、カシオが販売を行なうという。日本でも販売してほしいものである
コンパックコンピュータの『iPaq PocketPC』用のGPSジャケット
コンパックコンピュータの『iPaq PocketPC』用のGPSジャケット。ニュージーランドのTalon Technology社のNAVMAN

また、これも意外なことにデスクトップパソコンの展示は少なく、多くはノートパソコンである。もっとも、デスクトップパソコンなど、少々デザインが違うのみで、中身はどれも違わないので、展示してもそれほど興味を引かないかもしれない。

Franklin社の『eBookMan』
Franklin社の『eBookMan』。独自のOSの上にアプリケーションを構築し、Microsoft Reader(電子書籍閲覧ソフト。海外ではPocketPCに標準添付されているが日本語版がないため、国内では添付されていない)が動く。これ、個人的に購入してみたが、なんと、標準ではOSが入っておらず、起動後、インターネットで最新版をダウンロードしてインストールしなければならない

ハードメーカーでは、ソニー(株)や(株)東芝、米IBM社などが出展しているが、目立つのは米パーム社と米ハンドスプリング社。どちらも広いブースに多数のサードパーティを集めている。同様の展示は、米マイクロソフト社もWindows CEで行なっているのだが、こちらはPalm系に比べるとちょっと活気が感じられない。

ソニーのCLIEモノクロ版である『PEG-S320』
ソニーのCLIEモノクロ版である『PEG-S320』。これは、GoAmerica社の無線通信アダプター(本体とクレードルの間の白い部分)が装着されている。アダプター自体は、PCカードとシリアルの変換回路になっていて、背面部分に無線通信PCカードを装着する
AIR Prime社のVISOR用携帯電話アダプター『SB3000』
AIR Prime社のVISOR用携帯電話アダプター『SB3000』。ハンドスプリングの『VISOR PHONE』は、GSM方式なのに対してこちらは、CDMA方式である

米パームのブースにはいろいろなサードパーティーが出展しているのだが、なかでも変わったところは日本の“SANYO”である。SANYOはSANYOでも三洋電機(株)ではなく、コートで有名な衣料品メーカーの(株)三陽商会である。同社は、Palm機を入れる専用ポケットのついたコートをつくっており、ブースにはそのコートが置いてあるのだ。ちなみにPalmブース内には、三洋電機のブースもある(こっちはマルチメディアカードの展示)。

Electric-fuel社の『Instant Power Charger』
Electric-fuel社の『Instant Power Charger』。電池自体は、亜鉛空気電池でパックを破って空気に触れさせると電力を発生する。携帯電話やPDA用など各種ある。パックを破らなければ電池が自然放電することがなく、緊急時の充電用に便利
東芝ブースにあったPCカードType II型HDD
東芝ブースにあったPCカードType II型HDD。容量が5GBになった

まあ、PDA系では、アクセサリーや周辺装置が多く、本体の普及に伴いある程度の市場ができているような感じ。米パームはこれを“Palm Economy”と呼んでいるが、景気の後退とともに米パーム自身は在庫調整などに苦しんでいる様子。ニューヨーク市内のショップでも、新製品の『Palm m500/505』が値引き販売されていた。もっとも、市内では数ドル程度だが、郊外のショップではもう少し安いのだとか。m505でも買ってみようかと思ったが、今は円安。換算すると日本で買った方が安いのである。

IBMブースにあった3840×2400ドットの22インチ液晶ディスプレー
IBMブースにあった3840×2400ドットの22インチ液晶ディスプレー。ここまで来ると目を近づけてもさすがにドットが見えない
PC-EPhone社の『PC-EPhone』
PC-EPhone社の『PC-EPhone』。PDA一体型携帯電話。CDMA方式を採用。CPUにStrong ARMを採用し、Windows CE 3.0がベース

今回のTECHXNY/PC Expoを概観するに、インテルv.s.トランスメタの勝負が話題的には最も大きく、それ以外では、Palm系が展示で目立った程度。米パーム自身から新製品のアナウンスはなく、その点ではいまいち(ソニーは、新しいCLIEを出しているが)といった感じ。イベントの名前が変わったのも、衰退傾向をくい止めるための策だとか。来年は取材しにこようかどうか迷うところ。いまではインターネットで情報も簡単に手に入る。まあ、そういう意味では節目にきているのであろう。

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