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「インテルとマイクロソフトの協業は企業向け市場で成果」――米インテルのコンラッド副社長

2001年06月28日 21時58分更新

文● 編集部 佐々木千之

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インテル(株)は28日、都内のホテルにおいて記者説明会を開催し、米インテル社のセールス&マーケティング事業本部副社長兼ソリューション・マーケット・デベロップメント事業部ディレクターのデボラ・コンラッド(Deborah Conrad)氏が、マイクロソフト(株)との企業向け分野での協業の現状について説明した。

インテルは同日、マイクロソフト(株)と共催で、企業のシステム管理者らを対象にIA(インテルアーキテクチャー)とWindowsを組み合わせたサーバーに関するセミナー“Microsoft/Intel eSummit 2001”を開催している。コンラッド氏はこのセミナーに出席するために来日したもの。

デボラ・コンラッド氏と瀬戸口靜美氏
米インテル、セールス&マーケティング事業本部副社長兼ソリューション・マーケット・デベロップメント事業部ディレクターのデボラ・コンラッド氏(左)とマイクロソフト(株)執行役員、エンタープライズ・セールス/マーケティング部門エンタープライズ・ソリューション本部長の瀬戸口靜美氏(右)

「IAサーバーは価格でも性能でも優位にある」

コンラッド氏は、「インテルはこの2年ほどの間、企業における選りすぐれたコンピューティング環境構築のために作業をしてきた。XeonやItaniumといったプロセッサーが、企業のミッドティアーサーバーからバックエンドサーバーにおいて成果を納めつつある」と述べて、インテルが掲げている“マクロ・プロセッシング”(※1)コンセプトをアピールした。

※1 インテルによれば、マクロ・プロセッシングは、企業におけるインターネットの活用と業界標準のアーキテクチャーによる費用対効果の高いIAサーバーの組み合わせによる、Eビジネスにおいて増加するデータセンターの需要への回答の1つ。

そしてIAサーバーの優位性の例として、ECA協議会(※2)が行なった、IAサーバー『ES7000』(日本ユニシス製)と『Enterprise10000(Starfire)』(サン・マイクロシステムズ製)のオンラインストック取り引きシミュレーションによるベンチマークの結果として、ES7000がStarfireの1.5倍の性能を発揮したと紹介した。ES7000はPentium III Xeon-700MHz(1MBキャッシュ内蔵)×16基、StarfireはUltraSparcIII-400MHz(4MBキャッシュ内蔵)×16基を搭載したもので、Oracle8iにおける比較の結果という。テスト結果やシステムの詳細については、後日ECA協議会のウェブサイトで公開するとして、今回は明らかにしなかった。

※2 ECA(Enterprise Computing Association):IAサーバーによる基幹業務システム構築の実現性を検討する協議会。主なメンバーはユーザー企業で、(株)三和銀行、(株)ニチレイ、(株)ブリヂストン、三井物産(株)、三菱信託銀行(株)、安田火災海上保険(株)、ヤマトシステム(株)など20社が参加している。

インテルとマイクロソフトのEビジネスにおける協力関係
インテルとマイクロソフトのEビジネスにおける協力関係

コンラッド氏は、インテルがEビジネス関連分野に展開していく上でのマイクロソフトとの協業関係についても説明した。マイクロソフトとの協業では、導入事例の紹介や共同広告、セミナーの実施といった“認知度の向上”、技術情報の交換やベンチマークの実施、.NETフレームワークのサポートといった“技術協力”、共同のセールス活動や販売会社向けプログラムなどの“市場へのソリューション提供”の3点について活動しているという。「今後もエンドカスタマーに向けて両社共同でマーケティング活動を行なっていく」と述べた。

瀬戸口氏が示した、Window .NET Server 64bitの早期導入プログラムにおける協力関係
瀬戸口氏が示した、Window .NET Server 64bitの早期導入プログラムにおける協力関係

コンラッド氏の後、マイクロソフト執行役員でエンタープライズ・セールス/マーケティング部門エンタープライズ・ソリューション本部長の瀬戸口靜美氏がゲストとして登場した。瀬戸口氏は『Windows .NET Server 64bit』の準備ができたとして、「マイクロソフトとインテル、サーバーメーカー、システムインテグレーターの協力によって、安田火災海上保険(株)、(株)ジェイティービー(JTB)、(株)ブリヂストンなどで早期導入プログラムを行なっている」ことを明らかにした。そして「エンタープライズ、ミッションクリティカル分野で今後もインテルと協力していく」と締めくくった。

コンシューマーからエンタープライズ市場へ向かうWintel

インテルとマイクロソフトは“Wintel”と呼ばれるように、以前から近い関係にあったが、64bitプロセッサー(現Itanium)の開発が進んでからは、64bit版のOS(Windows)開発において共同でリリースを発表したり、Itaniumの動作デモを行なうときは必ずWindowsが登場するというように、より緊密な協力体制となっている。もちろんインテルはマイクロソフト以外にも、日本ヒューレット・パッカード(株)の『HP-UX』や日本IBM(株)の『AIX』など、Itanium用64bit OSにおいて協力しているが、Windows .NET Serverに最も期待していることは間違いないところだろう。

Linuxの登場とそれに対するインテルのサポート姿勢や、コンシューマー用パソコンにおけるAMDの台頭やAMDが今後予定する64bitプロセッサー“Hammer”シリーズなどもあり、インテルとマイクロソフトをめぐるる状況に変化はあるものの、両社がお互いに最も頼りにしている会社であることは変わりない。ItaniumとWindows .NET Serverによるエンタープライズ市場への挑戦は、これから本番を迎えようとしている。

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