このページの本文へ

三菱電機など、色再現規格“sRGB”をデモ

2001年06月28日 01時06分更新

文● 編集部 中西祥智

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

三菱電機(株)とNEC三菱電機ビジュアルシステムズ(株)およびデンマークのPhase One(フェーズワン)社は27日、記者説明会を開催して色再現国際規格“sRGB”のデモンストレーションを行なった。

三菱電機などによるデモ
三菱電機などによるデモ

“sRGB”は、米マイクロソフト社や米ヒューレット・パッカード社などが推進する色空間の国際規格。電気関連分野の国際標準を策定するIEC(International Electrotechnical Commission)において、1998年10月に国際標準として制定された(IEC61966-2-1)。

その背景には、Eコマースサイトなどで商品を購入する際、実際の商品の色とディスプレー上の色に違いが生じ、エンドユーザーの混乱を招いている現状があるという。“sRGB”に準拠したカラーマッチングを行なうことで、より正確な色表現が可能になり、本来の色に近い色再現が可能になるとされる。

印刷業界などで色を正確に再現する方法としては、ICC(International Color Consortium)のデバイスプロファイルに対応した手法を用いるのが一般的だ。ICCプロファイルでは個々の機器の色彩特性を色変換部に引き渡すことで正確な色再現を行なうが、“sRGB”では色彩画像信号の対応する色空間を指定するという方法を採る。“sRGB”は主としてコンシューマー向け、インターネット向けと位置付けられている。

デモでは、“sRGB”対応のプロジェクター2台を併設し、一方を“sRGB”非対応に設定して比較を行なった。カメラには“sRGB”に対応したフェーズワンのデジタルカメラバック『LightPhase』をセットした中版カメラを用い(※1)、実際に撮影した画像をプロジェクター上に表示した。

※1 『LightPhase』は、銀塩カメラの後部にフィルムマガジンと同様に装着することで、デジタルカメラとしての使用を可能にする製品。

今回の被写体
今回のデモの被写体。それほど鮮やかな色ではなく、落ち着いた色だ
“sRGB””対応のプロジェクター
“sRGB”対応のプロジェクター
“sRGB”非対応のプロジェクター
“sRGB”非対応のプロジェクター。かなりコントラストが強い
“sRGB””対応の液晶ディスプレー
“sRGB”対応の液晶ディスプレー
“sRGB”非対応の液晶ディスプレー
“sRGB””非対応の液晶ディスプレー。少し赤みがかった画面

実際に比較してみると、“sRGB”非対応のプロジェクターはコントラストが強調され、同じく非対応の液晶ディスプレーでは赤みがかって表示されていた。“sRGB”対応のプロジェクター、液晶ディスプレーでは、確かにより正確な色が再現されている。

三菱電機映像情報開発センター 杉浦博明氏三菱電機映像情報開発センター 杉浦博明氏

三菱電機映像情報開発センターの杉浦博明氏は、“sRGB”規格の現状について、まだそれほど普及していないとし、その原因のひとつとしてコストの高さや利用の繁雑さをあげた。特に液晶ディスプレーで利用する場合、液晶パネルの品質のばらつきを色変換回路などで修正する必要があるため、なかなか普及しないとしている。

今後の展開について杉浦氏は、“sRGB”が業界標準となることを望んでいるが、そのための方策として、当面は自社および関連会社で生産した“sRGB”対応の液晶パネルやASICなどを他社に広く提供する。そして、いずれは業界内で普及を図る組織を設立したいとしている。

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン