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米トランスメタとセイコーエプソン、Crusoe関連半導体技術開発で協業

2001年06月22日 15時29分更新

文● 編集部 佐々木千之

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米トランスメタ社とセイコーエプソン(株)は22日、モバイル向け省電力プロセッサー『Crusoe』関連の半導体技術開発に関し、将来的に相互協力していくと発表した。

Crusoeプロセッサー
Crusoeプロセッサー(14日に行なわれた、“Crusoe Seminar 2001”のスライドより)

トランスメタはx86プロセッサー互換のモバイル向け省電力プロセッサーCrusoeを2000年1月に発表、最初の搭載製品であるノートパソコン『VAIO C1』が2000年9月に登場した。現在までにソニー(株)、カシオ計算機(株)、(株)日立製作所、富士通(株)、日本電気(株)、シャープ(株)、(株)東芝といった日本メーカーがノートパソコンを発表しているほか、米ゲートウェイ社がインターネットアプライアンス製品を、米RLX Technologies社が19インチラックに最大254台収容できる省電力・高密度サーバーを発表している。このほか、台湾の複数のメーカーがWebPad型のインターネットアプライアンスの試作品を発表している。

リリースによると、セイコーエプソンは半導体事業において“エナジーセービング=省の技術”というコンセプトを掲げており、携帯情報機器向け半導体製品開発を事業の柱の1つとしている。同社は携帯情報端末に求められる低消費電力、省部品化、省スペース化に対して、製造面で低消費電力で高集積なプロセス技術、実装面では軽量小型化を目指した実装技術を持っているという。

今回の発表は、2社の技術力を結集してCrusoe関連の半導体技術開発で、将来的に協力していくことで合意したというもの。合意に至った期日は明確にしていないが、「6月中」(セイコーエプソン広報部)としている。リリース中で明らかにしている合意内容は以下の通り。

  • セイコーエプソンは同社のマイクロプロセッサー関連の特許技術および特許権について一部をトランスメタ社に供与する。
  • 両社は、それぞれの有する「省の技術」で協力並びに情報共有し、さらに高いレベルでの「Crusoe」周辺チップセット及びほかのデバイスを開発していく。
  • 両社は、インターネット・アプライアンス(Internet Appliance)分野におけるパートナーシップの構築について協力関係を築く。
  • 両社はその他の技術分野についても協力関係や技術交流についての可能性を検討する。
以上、表記は原文ママ。

合意内容はセイコーエプソンが持つ特許技術および特許権を、トランスメタに対して供与するというものであり、クロスライセンスではない。これに関して両社の間で金銭的な動きがあったかどうかについては「コメントできない」(セイコーエプソン広報部)としている。また、セイコーエプソンは自らも携帯情報端末を製造するなど情報機器事業も行なっているが、この合意はトランスメタと、セイコーエプソンの半導体事業部とのものであり、セイコーエプソンがCrusoeを使った情報機器を製造することについては特に合意には含まれていないとしている。

リリースでトランスメタのマーク・アレン(Mark Allen)社長兼CEOは「セイコーエプソン社から供与される特許権は、Crusoeの技術を発展させていく上で戦略上たいへん重要な意味を持つと考えている。また、今回の両社による共同開発は、新たな低消費電力技術を進化させていく過程において大きな貢献を果たすだろう」と述べている。

Crusoeのロードマップ
Crusoeのロードマップ(14日に行なわれた、“Crusoe Seminar 2001”のスライドより)

今回の合意による技術協力が、どの時点のCrusoeから影響を与えるかは不明だが、トランスメタは2002年中に周辺チップを統合し、チップサイズと消費電力を半減した“高統合性システム・オン・チップ”製品をリリースすると発表しており、早ければこの製品にセイコーエプソンの技術を利用すると考えられる。トランスメタは5月25日にも、米AMD社から“x86-64”と“HyperTransport”技術のライセンスを受けており、次世代チップに向けた動きが活発になっているようだ。

また、セイコーエプソンは、今回の合意はCrusoe搭載の情報機器の製造に直ちに結びつくものではないとしているが、セイコーエプソンがインターネットアプライアンスや携帯情報機器などを製造する上で、プロセッサーとしてCrusoeが有力な選択肢となったことは間違いない。

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