このページの本文へ

日本HP、ネットワークストレージ戦略“FSAM”とSAN製品を発表

2001年06月19日 21時57分更新

文● 編集部 佐々木千之

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

日本ヒューレット・パッカード(株)は19日、都内で記者発表会を開催し、新しいネットワークストレージ管理戦略“FSAM(Federateed Storage Ara Management:エフサム)”とエンタープライズ向けSAN製品を発表した。なおFSAMについては米ヒューレット・パッカード社が2月に発表を行なっている。

FSAMでは運用管理効率が飛躍的にアップする

発表会では、米ヒューレット・パッカード、コンピューティングシステムズ、ネットワークストレージソリューションズオーガニゼーションのバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーのノーラ・デンゼル(Nora Denzel)氏が、FSAMについて説明した。

米ヒューレット・パッカードのノーラ・デンゼル氏
米ヒューレット・パッカード、コンピューティングシステムズ、ネットワークストレージソリューションズオーガニゼーションのバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーのノーラ・デンゼル氏

デンゼル氏によれば、エンタープライズ向けのストレージ分野では急速なデータの増加が続いており、これまでのサーバー主体のストレージ管理から、ストレージデバイスが主体のストレージ管理、そして特定デバイスに依存しないネットワークベースのストレージ管理へと、より効率的、経済的でスケールアップに適したものに進化しつつあるという。

こうした流れの中でヒューレット・パッカードでは、異なるドメインや異なるタイプのネットワークに接続されたストレージデバイスや、ベンダーの異なるストレージデバイスを、1つの論理的なストレージリソースとして動作させる“連合されたストレージ(Federated Storage)”と、ドメインの異なるストレージデバイスやデータの集中管理を行なって、サーバーやアプリケーションに共有サービスを提供する“ストレージエリアマネージメント”の2つを組み合わせ、FSAMという枠組み(フレームワーク)を進めるとしている。

FSAMでは、これまでと比較して効率的なネットワークストレージの管理ができるとしており、例えば、ストレージリソースが必要な時に接続され、不要になれば切り離すというような運用や、ストレージのデータ容量が90%を超えたら自動的にストレージを追加する、といった運用が可能という。さらに、FSAMを導入することでストレージ管理の人員はそのままで、10倍のストレージ容量を管理できるとしている。

FSAM実現のためのストレージ製品

デンゼル氏に続いて、日本ヒューレット・パッカード、ビジネスカスタマ事業統轄本部システムマーケティング ストレージマーケティングマネージャの伊藤重雄氏が、本日発表したネットワークストレージ製品について説明した。

『hp surestore バーチャル・アレイ7400』
『hp surestore バーチャル・アレイ7400』の概要

1つは、企業の大規模ITシステムやインターネットデータセンター、アプリケーションサービスプロバイダーなどに向けたディスクアレイ『hp surestore バーチャル・アレイ7400』。7400は2Gbpsのファイバーチャネルインターフェースを備え、最大システムは容量7.7TB(テラバイト)となっている。7400が備える“バーチャル・アレイ”機能は、物理的なHDDの制限を受けることなく、論理ユニットが自由に構成できるというもので、ディスクアレイのキャッシュメモリーに書き込まれたデータはRAID 0+1構成ディスクに書き込まれるが、時間が経過して使われなくなったデータは、RAID5構成のディスクに自動的に移すという機能も持つ。このバーチャル・アレイ機能によって、異なる容量、異なる性能のHDDを増設して利用することができるという。7400はHP-UX、Windows NT/2000、Red Hat Linux 6.2/7.0、Solaris7/8をサポートしており、価格は1620万円から。8月中旬に出荷予定。

『hp ネットワーク・ストレージ・アプライアンス』
『hp ネットワーク・ストレージ・アプライアンス』

もう1つは、ネットワークストレージ製品を管理コンソールやファイバーチャネルスイッチ、バックアップテープラブラリーなどとセットにしてラックに組み込み、あらかじめ工場で動作の検証をしてから出荷するという、『hpネットワーク・ストレージ・アプライアンス』(nsa)。顧客に納入して設置した後で検証する場合と比較して、稼働までの期間短縮など導入コストの削減につながるとしている。使用するディスクアレイやテープライブラリーはヒューレット・パッカードの製品群から選択する。価格は構成によって異なるが、ディスクアレイとテープライブラリーによる最小構成で4700万円から(1年間の保守サービス込み)で、8月以降順次出荷予定としている。

“ストレージ・インテグレーションセンタ”の設置予定機器構成
“ストレージ・インテグレーションセンタ”の設置予定機器構成

また日本ヒューレット・パッカードでは、FSAM戦略のサポートと普及を図るため、7月上旬をめどとして“ストレージ・インテグレーションセンタ”を開設することも発表した。ストレージ・インテグレーションセンタは、顧客やパートナー企業にストレージシステムのパフォーマンスや他社製サーバー機器との接続検証を行なう場所を提供するもので、ヒューレット・パッカードのWindows/UNIXサーバーだけでなく、コンパックコンピュータ(株)や日本電気(株)のWindows NTサーバー、サン・マイクロシステムズ(株)のUNIXサーバーも用意するという。ストレージ・インテグレーションセンタでは、顧客やパートナー企業に対してトレーニングやセミナーの開催といった啓蒙活動も行なう予定。パートナーのビジネス機会の創出にも役立つとしている。このセンターは、同社の市ヶ谷事業所にある“市ヶ谷カスタマ・センタ”内に設置する。

ヒューレット・パッカードはサーバーでも強みを持つ企業だが、ネットワークストレージ事業にも力を入れており、最近の売上げを大きく伸ばしているという。調査会社各社は今後ストレージの需要は指数関数的に増加すると予測しており、ヒューレット・パッカードはこうしたストレージ需要に対し、すべてを自社のシステムで統一するといったことにこだわらず、柔軟な拡張と管理を可能にするというFSAM戦略によって、ストレージ製品の売上げをさらに伸ばす考えだ。

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン