もう一つの裏技
気の早い読者なら、すでにEP-8K7Aを買いに走るか、インターネットで通信販売の手続きを始めた頃かも知れないが、もう一つの裏技について述べておこう。
DDR電圧はJP3で高くセットできるのだが... |
先の話しでカンの良い方ならもう確かめているだろうが、EP-8K7Aの電圧設定は、コア電圧だけでなくDDRメモリに対しても0.1Vステップ4段階でセット可能だ。しかも、コア電圧設定と同じようにJP3のジャンパポストにキャップするスタイルは、全く一緒である。そう、ここも理屈上はキャップを増やせば足し算でDDR電圧が高くなる回路なのだ。ところが筆者が実験してみたところJP3の2ピン~10ピン全てにキャップをしてみたがDDR電圧は、3.0V以上に高くならなかった。この目的のためには、おそらくDDR電圧を生成する元の電源電圧(I/O電圧)を高くする必要があるのだろう。もしも、チャレンジするなら写真に示したR363とR353のパラメータを変更すれば良さそうだ(ただし、筆者が試した訳ではないので参考程度にしてほしい)が、このI/O電圧はDDR電圧だけでなく他の回路(クロックジェネレータ回路等々)でも使用しているので十分な注意が必要だ。なお、このDDR電圧にATX電源ユニットの3.3Vラインは関与していないので、ATX電源ユニットを改造し高い電圧を供給したとしても無意味だと思われる(関与させる予定だった形跡は見て取れるが、回路は分断されている)。
裏技でDDR電圧が3.0Vになった |
I/O電圧を制御している“US3034” |
CPU倍率とFSB設定クロックの操作範囲
FSB設定画面 |
さて、裏技の話しはひとまず置いておくとして、電圧以外のオーバークロック装備について確かめておこう。
CPUの倍率はDIPスイッチで5倍~12.5倍までをカバーしており、L1クローズのCPUなら手間なく倍率を自在に操作できるので、オーバークロックセッティングには重宝するだろう。一方、CPUの種別(FSB200MHzかFSB266MHz)は、マザーボード上のJCLK1ジャンパでキャップ操作をしなければならない。が、FSB設定クロックはBIOSセットアップから1MHzステップ最高166MHzまでセット可能であり、AD11の持つFSB設定機能より細かくて広範囲である。また、キーボードから好みの数値を打ち込める機能もあって便利だ。
クロックジェネレータ回路のPLL-ICにはA7M266と同じ“ICS94225AF”が採用されている |
ただ、EP-8K7Aのクロックジェネレータ回路にはPLL-ICに“ICS94225AF”が採用されているのだが、同じPLL-ICを搭載するASUS A7M266のFSB設定クロックは、最高180MHzであることから、出せる周波数は166MHzで打ち止めではなくまだ余裕があるハズだ(執筆時点でこのデバイスのデーターシートがICSのライブラリーに未登録なので詳細がつかめない。だが、おそらくBIOSのプログラミングで拡張が可能かと思われるので将来のリビジョンアップに期待しておこう)。
FSB133MHzでのベンチマーク
それでは、「マザーボードのオーバークロック機能を徹底調査する(その1)」の“マザーボードの処理速度を調べてみる ”と同じ主旨でEP-8K7Aのパフォーマンスを調査し、同じチップセットを搭載したAD11の性能と比較してみた。
それと、AMDが開発したベンチマークテスト“N-Bench”が一般に公開されて自由に試せるようになったことから、今回のテストに追加してみたので参考にしてほしい。なお、結果をみるとAD11と比較して辛く言えばEP-8K7Aのスコアーが若干下回るが、その差は小さくほぼ互角のパフォーマンスを示していると言っても良いだろう。
Superπ(104万桁)
3D mark 2000 Rev.1.1
3D mark 2001
SYSmark2001
N-Bench(133.3MHz×9)
テスト環境と設定内容一覧