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RSAの暗号ツールキットがPS2用“ツール・ミドルウェア”に――128bitの暗号強度は海の水分子を全部数えるようなもの

2001年05月24日 19時57分更新

文● 編集部 中西祥智

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RSAセキュリティ(株)は24日、暗号化ツールキット『RSA BSAFE』が、(株)ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCEI)の“ツール・ミドルウェアライセンス”(※1)を取得したと発表した。

※1 ツール・ミドルウェアは、ゲームソフトなどの制作者が使用する制作環境を構成するソフトウェア。またはタイトルに組み込まれるソフトウェアの部品。

『BSAFE』はRSAの暗号化技術で、同社によると『BSAFE』の組み込まれたOSやソフトウェア、ハードウェアなどの総出荷台数は10億台を超えるという。今回対象となるのは、暗号化ツールキットの『RSA BSAFE Crypto-C』とSSL(Secure Sockets Layer)暗号化通信組み込みSDK(Software Development Kit:ソフトウェア開発キット)『RSA BSAFE SSL-C』の2製品。

“ツール・ミドルウェアライセンス”を取得したことによって、SCEIのツールリストに登録され、ソフト開発者にSCEIから推奨されるようになる。

RSAは23日に、SCEIが夏に出荷する予定のPS2用HDDユニットに『BSAFE』2製品をライセンスすることや、PS2用SDKに『BSAFE SSL-C』を提供することを発表している。今回のライセンス取得により、ソフト開発者がSSL暗号化通信を利用する際に、PS2用SDKかツール・ミドルウェアかを選ぶことができるようになる。

両者の違いは、SDKに採用された『RSA BSAFE SSL-C』が限定機能版であるのに対し、ツール・ミドルウェアに登録されたものはフル機能のライブラリー群であること。後者を使用することによって、ゲーム開発者がネットワークゲームを開発する際に、SSLを利用した課金や個人認証、接続するサーバーの固定など、システム設計の自由度が向上する。

RSA代表取締役社長 山野修氏RSA代表取締役社長 山野修氏

SSLは(株)エヌ・ティ・ティ・ドコモの携帯電話『503i』シリーズなど、パソコン以外にも実装されるようになった。RSA代表取締役社長の山野修氏は「携帯電話やPDAなど、あらゆるデバイスにパソコンと同様、あるいはそれ以上のネットワークセキュリティーを持たせる」ことを目指すという。また、同社はセキュリティーを実装するためのコンサルティングなども、今後行なうとしている。

ちなみに、PS2以外の家庭用ゲーム機のSSL実装についてだが、RSAによると米国版のドリームキャストはウェブブラウザーが対応、GAMECUBEは未定、Xboxは米マイクロソフト社にRSAがライセンスを供与しているため、実装することは可能だという。

128bitの暗号の強度は?

米RSAセキュリティ(RSA Security)社のマーケティング&コーポレート ディベロップメント担当副社長スコット・シュネル(Scott Schnell)氏は同社の暗号の強度について、定期的に賞金を賭けた解読コンペを行なっているが、現在のところ128bitの暗号は解読されていないとしている。

米RSA副社長スコット・シュネル氏米RSA副社長スコット・シュネル氏

スコット氏は暗号解読の難易度を水の分子を数えることにたとえ、56bitなら「プールの水の分子を全部数えるようなもの」、128bitなら「地球上のすべての海の水分子を数えるようなもの」だとし、事実上解読は不可能だと語った。

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