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エイリアス・ウェーブフロント、3Dアニメーション作成ソフト『Maya 4』を発表

2001年05月11日 20時19分更新

文● 編集部 中西祥智

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エイリアス・ウェーブフロント(株)は11日に都内で記者発表会を開催し、3Dアニメーション作成ソフトウェア『Maya 4』および工業デザインソフトウェア『Studio Tools 9.7』を発表した。

冒頭、あいさつに立った同社代表取締役社長のアレックス・ケリー(Alex Kelley)氏は「2000年度のアカデミー賞特殊効果部門にノミネートされた映画はすべて、またPlayStation2用ソフトの全米トップ10のうち5タイトルが、『Maya』で制作されている」ことと、自動車や航空機から腕時計、家具まで幅広い製品のデザインに『Studio Tools 9.7』が使用されていることを説明し、同社の製品が事実上の業界標準だと説明した。

エイリアス・ウェーブフロント代表取締役社長 アレックス・ケリー氏エイリアス・ウェーブフロント代表取締役社長 アレックス・ケリー氏
“STAR WARS EPISODE I PHANTOM MENACE”
『Maya』で制作された、言わずと知れた“STAR WARS EPISODE I PHANTOM MENACE”の1シーン
『GRAN TURISMO 3』
『GRAN TURISMO 3』など。これらも『Maya』で制作された
『Studio Tools 9.7』でデザインされた製品群
『Studio Tools 9.7』でデザインされた製品群。リールから健康器具まである

今回発表された『Maya 4』は、機能面より、使いやすさに重点を置いた改良がなされた。日本のゲームソフトメーカーからの200近い要望も、開発に反映されたという。

使いやすさという点では、アイコンやウィンドウなどのレイアウトが保存可能になったことで、常に同じ環境で作業が行なえるといったユーザーインターフェースの改良、チュートリアル“Instant Maya”やヘルプの強化、100種類以上のサンプルを含む“シェーダライブラリー”の提供などが主な改良点となる。

日本語化に関しては、ドキュメント類やヘルプなどは日本語化されているが、アプリケーションのメニューやツールバーなどは英語のままとなっている。しかし、同社によれば、ユーザーからのメニューなどを日本語化してほしいという要望はないという。

『Maya 4』
『Maya 4』

一方機能面では、3Dペイントツールが統合され、あらゆるジオメトリータイプへの直接3Dペイントが行なえるようになった。アニメーション作成に際してのさまざまな制限も取り除かれ、たとえば、前後のフレームでのオブジェクトの位置を確認したり、モーションキャプチャーしたデータと従来のアニメーションを混在させたりといったことが可能になった。

また、バンプマッピングの精度の向上や、“テクスチャ・フィルタリング”の強化などにより、レンダリングの精度や安定性が増したという。

『Maya 4』の対応OSはWindows NT/2000、IRIX、Linuxで、6月に出荷開始を予定している。価格は標準パッケージの『Maya Complete 4』は99万8000円、リアルタイムゲーム製作用に機能を限定した『Maya Builder 4』で39万円、すべての機能を搭載した『Maya Unlimited 4』が198万円となっている。

さらに、夏ごろをめどにMac OS Xに対応した『Maya 3』を発売する予定。同OSがUNIX(Darwin)を基にしており、“Open GL”を実装しているため、比較的容易に移植できるという。『Maya 4』の同OS対応版の開発も行なわれているが、具体的な発売時期は未定。

Mac OS X対応版『Maya』
Mac OS X対応版『Maya』

同時に発表した『Studio Tools 9.7』は、3Dモデリングを行なう際のワークフローが改善され、制作期間も短縮されるという。これは、サーフェース(※1)とエッジ間の接続プロセスを迅速化する“フィレット・ツール”といった新機能を搭載したことによるもの。

※1 3Dグラフィックの、モデルデータの管理方法のひとつ。3次元の形状内部の情報は扱わない。

『Studio Tools 9.7』
『Studio Tools 9.7』

対応するOSはWindows NT/2000、IRIX、Solaris、HP-UXで、価格は“DesignStudio”が216万円、“Studio”が360万円などとなっている。6月より出荷を開始する予定。

ゲームを制作するに際して、以前はムービー部分にしか『Maya』は使用されていなかったが、最近ではすべての部分で『Maya』を使ったゲーム制作が行われるようになった。同社では、『Maya』は映画制作の分野では「使っていない映画を探すほうが難しい」ほど普及しており、ゲーム制作の分野でもそれと同じくらいの普及を図るとしている。

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