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SME、サイトを大幅リニューアル「15秒のインターネット専用CMをやる」【前編】

2001年05月11日 21時42分更新

文● 編集部 桑本美鈴

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(株)ソニー・ミュージックエンタテインメント(以下、SME)は、インターネット事業全体を拡張し、第1弾として、現行のナローバンド向けウェブサイト“Sony Music Online Japan”を5月15日に大幅リニューアルする。ASCII24では、ナローバンド向けウェブサイトのリニューアルを担当した同社デジタルネットワークグループSME Network企画制作課の中沢慎太郎氏にお話を伺った。

中沢氏
デジタルネットワークグループSME Network企画制作課の中沢慎太郎氏「素人であるということが強みにはなったと思います」

TVCMのような宣伝をサイト上で実現

[ASCII24(以下A)] 「今回のリニューアルで大きく変わった点は?」
[SME中沢氏(以下S)] 「ひと言で言うと、僕らは、ジャケット写真とアーティストの写真、載せたい文章をFlashで15秒程度にまとめた形のインターネット専用CMをナローバンド用ウェブページで導入したということになります。これまでいろいろなサイトを見てきましたが、ブロードバンドが普及している国のサイトでも、CMを流しているものはほとんどない。デザインをカッコよくするためにFlashを使っているサイトは当然ありますが、僕らは目的ありきでFlashを使っているので、この形を見てコンピューターに詳しい同業者たちは衝撃を受けるのではないでしょうか」
[S] 「僕らはレコード会社なので、サイト上でジャケット写真をより綺麗に大きく見せたい、音も聴かせたい、しかも簡単に操作でき、待ち時間も10秒以内にしたい。そうなるとFlashにするしかないんです。現状の技術ではFlashがいちばんベストです。Flashは重いじゃないかとみんな敬遠していますが、今回何とかできました。ピックアップしたアーティストの15秒CMをランダムで流すトップページは、56kbpsモデムを利用した場合、ノーキャッシュで30秒、1度アクセスしたユーザーが再度アクセスする際は5秒で表示できます」
[S] 「テキストだけだと音楽は伝えづらいので、音と映像を使っています。ナローバンド向けサイトはテキストというのが常識でしたが、できるとわれわれが証明しました。SMEサイトは無料ですが、有料サイトやバナー広告をやっているサイトにとっても革命的なことだと思います」
リニューアル後の画面
5月15日以降に登場する“Sony Music Online Japan”のリニューアルトップページ。画面中央が注目のインターネット専用CMだ(画面は開発中のもの)
Flashを軽くするコツは“脚本作り”
[A] 「Flashを使うとどうしてもサイトが重くなりますが、それを軽くするために何か特別な技術を採用しているのですか?」
[S] 「これを言うと味気ないのですが、単純に脚本作りの差です。例えば、80KBのFlashデータがあって、全部読み込んでから動かす方法だとアナログモデムユーザーは20秒かかります。しかし、少しだけ読んで動きをスタートさせることがFlashはできるので、待ち時間がないようにユーザーに感じさせることが脚本作りで可能になるのです。FlashのインターネットCMを頭2秒分読み込んだ時点でスタートさせ、ほかの情報は動かしているバックで読むという、脚本作りのやりくりでカバーしているのであり、特別な技術は使っていません」
[S] 「FlashのインターネットCMは1個80KBで、それが8個用意されるので計640KB、そのほかのファイルも入れると、トップページは合計800KBぐらいになるんです。これを表示させるために、人間の待ち時間を感じさせない方法ばかり研究してましたね。音が鳴っていると大丈夫とか、一部を見ている間に後ろで読み込ませるとか。ファイルを読み込ませる順番も検討しました。もちろんファイル自体を軽くする努力もしました」
[S] 「また、昨年12月に少しサイトをリニューアルした後、半年かけてサーバーの効率をアップしてました。SMEの現行ページは100~130KBなんですが、サーバー性能によって待ち時間が違うんです。現在は130KBのページがアナログモデムでも10秒で立ち上がります。サーバーの力もあると思います。しかし、やはり最も大事なのはFlashの脚本作りでしたね」
[S] 「カッコいいものを作りたいというのは2番目で、1番はジャケット写真と音を待ち時間なしでなるべく大きく見せたいということでした。僕らはこのサイトはナローバンドとしては革命だと思っています。各サイトのデザイナーは“うちより重いページなのにうちより軽いじゃないか”と怒られるのではないでしょうか」
[A] 「再生ボタンや停止ボタンでCM操作が行なえるので簡単でいいですね」
[S] 「SMEの対象ユーザーはレコードユーザーなので、あまりコンピューターに詳しくない人にサイトを見てもらえることがいちばん宣伝力アップにつながるのです。だから操作をわかりやすくしてあります。FlashのCMはオーディオプレーヤーのように再生ボタンや停止ボタンで操作できます」
[S] 「Real PlayerやWindows Media Playerで試聴ができるのはわれわれにとっては常識ですが、ユーザーからいまだに“試聴ができるんですね”というメールばかりくるんですよ(笑)。3月のページビューは1400万件あったんですが、試聴できることを知らない人が多い。僕らは“Real”と書いておけば大丈夫と思ってますけど、そこの敷居がまだあるんです」
[S] 「でも、Realがわからない子供たちも、オーディオプレーヤーのマークならすぐわかるじゃないですか。小さなことの積み重ねで効果的なものができたかなと思っています。ビジネスモデルとしてサイト運営をやればとか言われるくらい(笑)。それは僕らの目的ではないですが、話題になればうれしいですね」

(後編に続く)

《5月10日/SME乃木坂ビルにて》

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