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Corel DRAW 10 Graphics Suite 日本語版

Corel DRAW 10 Graphics Suite 日本語版

2001年05月14日 18時02分更新

文● 伊藤裕也

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Corel DRAW 10 Graphics Suite 日本語版

メディアヴィジョン

8万8000円(通常版)
4万4000円(アカデミック版)
3万8000円(店頭アップグレード版)

Corel/メディアヴィジョンのドローソフト「Corel DRAW」がメジャーバージョンアップした。新バージョンのポイントとしては、ユーザーインターフェイスのカスタマイズ機能やインタラクティブツールの強化による「生産性の向上」、豊富な画像ファイルに対応した「ファイル入出力機能の強化」、モーショングラフィックスツール「Corel R.A.V.E.」の追加が挙げられる。ここでは、Corel DRAW 10で強化された各種機能と、新ツールであるCorel R.A.V.E.の概要を中心に紹介する。

Corel DRAW 10
Corel DRAW 10のメインウィンドウ。大まかな構成は従来のバージョンと同じだ。
 Corel(国内販売はメディアヴィジョン)の「Corel DRAW」は、ベクターベースのオブジェクトをワークエリアに配置することでイラストを作成していくドローイングツール。イラストの描画はもちろん、工業デザインからチラシや小冊子のレイアウトまでさまざまな用途に対応できるグラフィックソフトで、CGに興味のあるアマチュアからプロのイラストレーターやデザイナーまで、幅広い層をターゲットとしている。
 そのCorel DRAWがバージョンアップし、「Corel DRAW 10 日本語版」(以下Corel DRAW 10)として4月上旬より店頭での販売を開始した。今回のバージョンの主なポイントは、ユーザーインターフェイスのカスタマイズ機能やインタラクティブツールの強化による「生産性の向上」と「ファイルの入出力機能の強化」、そしてモーショングラフィックスツール「Corel R.A.V.E.」の追加にある。ここでは、Corel DRAW 10で強化した各種機能と、新ツールであるCorel R.A.V.E.の概要を中心に扱う。
 なお、同時に発売されたCorelのグラフィックスパッケージには、上記の組み合わせの違いによる3種類が用意されている(下表参照)。Corel DRAW 10本体に、フォトレタッチとペイントを得意とする同社のグラフィックスソフト「Corel PHOTO-PAINT 10」と上記のCorel R.A.V.Eをセットにした「Graphics Suite」、Corel DRAW 10とCorel R.A.V.E.で構成される「Corel DRAW 10」、Corel DRAW 10を含まないCorel PHOTO-PAINT 10とCorel R.A.V.E.のセット「Corel PHOTO-PAINT 10」の3つだ。Corel PHOTO-PAINTも今回大幅に強化されているので、本稿では「Corel DRAW 10 Graphics Suite 日本語版」を用いて紹介する。


Corel DRAWファミリーのパッケージ構成
Corel DRAW 10 Graphics Suite 日本語版 Corel DRAW 10 日本語版 Corel PHOTO-PAINT 10 日本語版
Corel DRAW 10
Corel PHOTO-PAINT 10
Corel R.A.V.E.
Corel TRACE 10、Corel CAPTURE 10、Microsoft Visual Basec for Applications 6、Canto Cumulus Desktop LE 4.5、BitStream Font Navigatorなど(全パッケージに共通)

インターフェイスが洗練され
使いやすくなったCorel DRAW 10

カスタマイズ機能
新しいカスタマイズ機能では従来の設定できた項目に加え、アイコンの形状などまで変更できるようになっている。
 Corel DRAW 10の新機能は細かい部分も含めるとさまざまあるが、ここでは「ユーザーインターフェイスのカスタマイズ機能の拡張」「ページソータービューの導入」「入出力ファイルフォーマットの追加」「インタラクティブツールの強化」に注目したい。
 最初に挙げたユーザーインターフェイスのカスタマイズ機能は、文字どおりツールバーや各種コマンドなどのユーザーインターフェイスを好みの環境に変更するもの。カスタマイズツールそのものは従来のバージョンでも搭載しているが、Corel DRAW 10では、新たにアイコンやポップアップのテキスト(説明)も変更可能になった。さらに、カスタマイズした設定はファイルへの出力が可能だ。つまり、ユーザーが作成したオリジナルの環境をほかの環境に簡単にコピーできる。グループで統一した作業環境を実現したい場合などに、すばやく対応できるのである。


ページソータービュー
「ページソータービュー」を使うと、複数ページの管理が容易になる。小冊子などの作成に便利だ。
 続く、ページソータービューは、複数ページのサムネイルを一覧表示してページ管理を行う新しいビューモードのこと。このモードでは全体構成をサムネイルで確認できるうえ、ページの移動も入れ替えたいページのサムネイルをドラッグ&ドロップするだけで可能だ。レイアウトツールとしてCorel DRAWを利用しているユーザーには待望の新機能といえよう。
 ファイルの入出力については「GIMP」(XCF)や「VISIO」(VSD)、「Macromedia FreeHand」(FH)などのファイルの入力に新たに対応すると同時に、「Macromedia Flash」のフォーマット(SWF)での出力をサポート。対応の幅を着実に広げている。特にSWFのサポートは、ベクターグラフィックスをWebページで公開したいユーザーにはうってつけの新機能だ。ちなみに、Webで使われるベクターグラフィックスフォーマットとしてはW3Cが勧告する標準規格「SVG」(Scalable Vector Graphic)もあるが、もちろんこちらにも対応している。


テキストボックスの歪曲
新しいインタラクティブ歪曲ツールでは、テキストボックスの歪曲もこのとおり実行可能だ。
 最後に挙げたインタラクティブツールの強化とは、「インタラクティブドロップシャドウ」「インタラクティブ歪曲」などインタラクティブツールとして登録されている各ツールの機能拡張と、各ツールの設定を保存できるようになったことを指す。
 各ツールの拡張とは具体的には、オブジェクトの内側や外側にオブジェクトの形状(パス)に沿った線を描くことで(擬似的に)等高線を描画したかのような効果を与える「等高線」ツールがオブジェクトに対する等高線の集中化(等高線の間隔をバランスよく、広げたり狭めたりする調整)に対応したり、歪曲効果を与える「インタラクティブ歪曲」ツールにおいてテキストボックスに対して歪曲効果を適用できるようになった――といった内容で、既存ユーザーの声を反映したものになっている。



等高線ツール
「等高線」ツールは、オブジェクトに対して等高線のような視覚効果を追加できるツール。

等高線ツール
そのツールが今回の強化で、等高線をオブジェクトに対して集中化できるようになった。薄いグリーンのオブジェクトの外側に展開する等高線の間隔の違いに注目。

プリセットリスト
インタラクティブブレンドツールの「プリセットリスト」。リストの隣にあるサムネイルは、リストから選択している設定のもの。
 もう一方の設定の保存とは、ツールを使用する際に与える各種属性の保存/読み込みに対応したということ。記録した設定は、プロパティバーにあるプリセットリストから選択して簡単に呼び出せる。決まった設定の特殊効果を多数のオブジェクトに適用するような状況で特に重宝する。
 ほかにも、作業履歴を一覧表示し、必要であればいつでも元のステップまで作業状態を戻せる「元に戻すドッキングウィンドウ」(Photoshopにおける『ヒストリーパレット』のようなもの)の搭載、フォーマットオプションや特殊効果などをドキュメントに適用する前にプレビューできるリアルタイムプレビューの導入など、あらゆる部分に手を加えている。
 個々の強化ポイントは特別大きなものではないが、数々の機能強化による結果、Corel DRAW 10の操作性は従来のバージョンから大幅に向上している。



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