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マイクロソフト、アプライアンスサーバー市場でLinuxに宣戦布告

2001年05月07日 18時47分更新

文● 編集部 桑本美鈴

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マイクロソフト(株)は7日、現在Linuxベースのシステムが多くのシェアを占めるアプライアンスサーバー(単機能サーバー)市場に本格参入すると発表した。

同社は、国内でPCサーバーを製造するパートナー各社と協力し、Windows 2000 Serverをベースとしたアプライアンスサーバー『Microsoft Windows Powered Server Appliance』の拡販を推進するという。

発表会出席者
発表会にはマイクロソフト阿多社長をはじめ、パートナー各社の代表者が出席。左から富士通常務理事兼コンピュータ事業本部長の青木隆氏、日立製作所情報・通信プラットフォームグループインターネットプラットフォーム事業部事業部長の篠崎雅継氏、日本アイ・ビー・エムIAサーバー&PWS事業部長の須崎吾一氏、日本電気NECソリューションズ第二コンピュータソフトウェア事業部事業部長の西龍己氏、マイクロソフトの阿多社長、同じくマイクロソフト取締役の鈴木和典氏、東芝デジタルメディアネットワーク社PCサーバ事業部事業部長の吉田信博氏、デルコンピュータ営業技術支援本部本部長の長谷川恵氏、コンパックコンピュータソリューション&テクニカルサポート統括本部統括本部長の白倉俊雄氏

パートナー16社がWindows 2000ベースのアプライアンスサーバーを提供

Windows Powered Server Applianceは、ウェブサーバー『Microsoft Windows Powered Web Server Appliance』と、NAS『Microsoft Windows Powered Network Attached Storage』という2種類の製品がある。Windows Powared Web Server Applianceは、IIS(Internet Information Server) 5.0をベースとし、スクリプト言語を動作させるためのフレームワークであるASP(Active Server Pages)や、ネットワーク負荷分散を行なうNLB(Network Load Balancing)機能を搭載、またセキュリティー機能としてSSL(Secure Sockets Layer)やKerberos v5認証プロトコルを備えている。マルチプロセッサーにも対応している。

Windows Powered Network Attached Storageは、ストレージ機能を提供するもので、Windowsファイルシステム“CIFS(Common Internet File System)”、UNIXファイルシステム“NFS(Network File System)”、NetWareファイルシステムを利用できる。RAIDディスクをサポートし、マルチプロセッサーにも対応。毎秒35MB以上という高速なディスクアクセスを実現するという。また、複数ストレージ間でシングルファイルシステムを利用できる“分散ファイルシステム”、ユーザー/グループ単位でディスク使用可能量を制限できる“ディスククォータサポート”を搭載する。

また同社は、パートナー各社に対し、Windows Powered Server Applianceを開発するためのツールキット『Server Appliance Kit 2.0』日本語版を5月下旬より提供する。このServer Appliance Kit 2.0は、7日付けで世界同時リリースされるもので、時差の関係で日本が最初の発表国となる。

Server Appliance Kit 2.0は、“デバイスドライバ開発キット”、“ソフトウェア開発キット”、ウェブサーバーおよびNAS(Network Attached Storage:ネットワーク接続型ストレージ)用ハードウェアを構成するためのソフトウェアコンポーネント、ハードウェアリファレンス仕様書、ビルド用解説書で構成される。これにより、Windows 2000ベースのWindows Powered Server Applianceの開発が容易になるという。また、将来的には組み込み用サーバーOS『Whistler Embedded Server』(開発コードネーム)と、そのツールキットの中にServer Appliance Kitが組み込まれて提供されるという。

Windows Powered Server Applianceを提供するパートナー企業は、7日現在で、コンパックコンピュータ(株)、デルコンピュータ(株)、(株)東芝、(株)日本コンピューティングシステム、日本電気(株)、日本マックストア(株)、日本アイ・ビー・エム(株)、(株)日立製作所、(株)フェイス、富士通(株)、(株)フリーウェイ、プロサイド(株)、(株)プロトン、(株)神代(フロンティア神代)、三菱インフォメーションテクノロジー(株)、ロジテック(株)の16社。このWindows Powered Server Applianceを提供するパートナーは今後も追加される予定で、同社はパートナー各社のWindows Powered Server Appliance開発を全面的に支援するとしてい。

Linuxの普及状況を調査し、今回アプライアンスサーバー市場で対抗

本日都内ホテルで行なわれた発表会で、同社代表取締役社長の阿多親市氏は、「インターネットビジネスの普及により、サーバー市場は、マルチファンクションサーバー市場とアプライアンスサーバー市場に二極化している。アプライアンスサーバー市場は2003年までにワールドワイドで5.6倍に、国内では6.3倍に急成長すると見られており、今回サーバーアプライアンス事業戦略を大幅に強化することとなった」

「アプライアンスサーバー市場では、低価格で導入や運用が容易なサーバーが必要なため、現在Linuxが多く利用されている。われわれはLinuxがどの市場でどのように使われているか調査/研究し、このほどレポートをまとめた。Linuxはウェブサーバーなどの単機能サーバーとして普及しているが、データセンター市場などでは普及の域に達していない」

「さらに単機能サーバーとしてのLinuxについてユーザーに調査したところ、トランザクションの増大への柔軟な対応が難しい、、運用管理ツールが十分ではない、サポート/サービスが不明確、といった問題がある。Linux自体が無料だとしても、周辺にかかるコストは大きい。これらを解決するものとして、Windows 2000 ServerをベースとしたWindows Powered Server Applianceをリリースする」と語った。

富士通サーバー発表会場で参考出展された、富士通の『PRIMERGY Strage Server』と『PRIMERGY Web Server』を組み合わせたシステム。7月出荷予定
日立サーバー
同じく参考出展の日立のウェブサーバー
NECサーバー
参考出展のNECの『Express5800/WebServer』
東芝ウェブサーバー
東芝の新『MAGNIA』ウェブサーバー。7月出荷予定
東芝NAS
同じく東芝の新『MAGNIA』のNAS。7月出荷予定

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