1GHzの壁を巡って覇を競った時期も今は昔。現在、プロセッサのクロックスピードは数年前には夢物語でしかなかった領域に到達しようとしている。2GHzまであと300MHz……いや、あと0.3GHz。1.7GHzのPentium 4が堂々デビューした。ライバルのAthlon-1.33GHzとの性能差はどうなのか? さっそくベンチマーク結果をお届けしよう。
CPUコアの駆動電圧は1.75V
熱設計電力は64W
編集部で独自に入手したPentium 4-1.7GHz。「Engineering Sample」のため、マーキングは製品版と異なる。コアを保護している表面の金属板「IHS(Integrated Heat Spreader」は、その名のとおり放熱板の役割も兼ねている。 |
クロック以外の変更点としては、この1.7GHzの登場とともにステッピングが変更されており、CPUコア電圧の仕様が1.7Vから1.75Vに変更されている。このため、Intelでは従来のi850マザーボードで使用する際には、BIOSのアップデートを薦めている。こういったステッピングの更新は、基本的には特に発表もなく行われる。CPUの製造技術が日進月歩で進化するというのはもはや有名。CPUの製造技術とはプロセスルールの微細化などという表面的にわかりやすい形でだけでなく,実際にはもっと細かいスパンで進歩しており,同じCPUの製造技術(技法といったほうがいいかもしれない)も常に進化し、変化していく。ステッピングとは、その一時期一時期のCPUコアの製造技法を表すものである。そして、ステッピング更新の成果は、高クロック品の製造歩留まり向上などになって現れることになる。新ステッピングは旧ステッピングよりも進化した、そして優れた製造技法ということであり、1.7GHzより下のクロックのPentium 4も、順次新ステッピングに置き換わっていくだろう。
Pentium 4のパッケージ構造。Pentium 4のデータシート「Intel Pentium 4 Processor in the 423-pin Package at 1.30GHz、1.40GHz and 1.50GHz Datasheet」より。 |
AMDのAthlonは1.33GHz
期待の新コア「Palomino」も間近か
AMDが公開したロードマップ。デスクトップ向けCPUは、現行のThunderbirdコアで高クロック化を推し進め、Palominoコアはモバイル、そしてサーバ/ワークステーション向けから投入していく。 |
また、AMDは同時にCPUのロードマップを公開。今年前半中に、新設計コアのPalomino(=開発コードネーム)をデビューさせることを明らかにした。Palominoコアの詳細は未だ不明だが、低消費電力化、低発熱化のほか、性能にも改良を加えたものになるということだ。従来のロードマップでは、メインストリーム向けで現在のAthlon(Thunderbirdコア)を置き換えるとされていたが、デスクトップ用は現行のThunderbirdコアでまだ高クロック化(1.5GHz以上)が見込めるため、モバイル向け、そしてサーバ/ワークステーション向けとして登場する。
CeBITで公開されたPalominoコア採用のAthlon(900MHz)。コアの形状は正方形に近い形になっている。ちなみに、電源コネクタ付近のグレーのチップはK6-2……ではなく、AMD-760MP(マルチプロセッサをサポートするAMDの最新ハイエンドチップセット)のNorth Bridge「AMD-762」。撮影:ascii24編集部(http://www.ascii24.com/) |