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【IDF-J 2001 Spring Vol.1】基調講演で携帯電話向け最高速DSPをデモ

2001年04月17日 22時07分更新

文● 編集部 佐々木千之

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インテル(株)が主催する開発者向け技術フォーラム“インテル・デベロッパ・フォーラム 2001 Spring Japan(以下IDF-J 2001 Spring)”が17日、東京・千代田区の東京国際フォーラムで開幕した。19日までの3日間開催される。

IDF-Jは、米国で春と秋の年2回開催される、“Intel Developer Forum(IDF)”の日本版として'98年秋から開催されているもので、今回で6回目。初日の基調講演では、米インテル社上席副社長兼ワイヤレス・コミュニケーションズ&コンピューティング事業本部長のロナルド・スミス(Ronald Smith)氏がワイヤレス製品について、米インテル社ネットワーク・コミュニケーションズ事業本部テレコム・コンポーネント事業部戦略マーケティング事業部長トニー・ステレガ(Tony Stelliga)氏が光ファイバーネットワークについてスピーチした。

最速DSPアーキテクチャーをデモ

スミス上席副社長は“ワイヤレス・インターネットの実現に向けて”と題し、インテルの携帯電話への取り組みについて述べた。

ロナルド・スミス上席副社長
米インテル社上席副社長兼ワイヤレス・コミュニケーションズ&コンピューティング事業本部長のロナルド・スミス氏

スミス氏のプレゼンテーションによると、これまでのネットワークは、(固定)電話の音声、インターネットなどのデータ、携帯電話のワイヤレスの3つに分かれていたが、IP(Internet Protocol)ベースの1つのネットワークに進化し統合されるという。そうした中でインテルが提供するネットワークの構成要素のうち、携帯電話向けに提供されるのが“インテルPCA(パーソナル・クライアント・アーキテクチャー)”で、無線通信処理を行なう“コミュニケーション”、画面表示やアプリケーション処理を行なう“コンピューティング”、“メモリー”の3つの独立したブロックから構成される。

インテルPCAの概念図
インテルPCAの概念図

ここでインテルPCAによってもたらされる新しいアプリケーションの例として、米Eyematic Interfaces社の3Dグラフィックソフトのデモを行なった。3Dグラフィックスで表現された米インテルのクレイグ・バレット(Craig Barrett)CEOを、カメラに映した別の人の顔と同じように動かし、言葉をしゃべらせるというもの。最初はパソコン、次はPocket PC、最後は携帯電話のディスプレーでバレット氏をしゃべらせていた。

米Eyematic Interfaces社によるデモ画像
米Eyematic Interfaces社によるデモ画像。左のウインドーに表示されているバレット氏のCGが、右の小さなウインドーに映っている人物の顔の動きにそって動く
米Eyematic Interfaces社によるデモ画像
上と同じ米Eyematic Interfaces社によるデモ画像。Pocket PCの中でバレット氏がしゃべりまくる

スミス氏は次に、コンピューティングブロックについて説明した。コンピューティングブロックのCPUは、DSPでなく汎用プロセッサーであることがアプリケーション普及のために必要だという。そしてアプリケーションの普及をサポートするものとして、“インテル インテグレーテッド・パフォーマンス・プリミティブ(IPP)”を紹介した。インテルIPPはインテルのIA-32、StrongARM、Intel XScaleマイクロアーキテクチャーで共通のファンクションコールを提供するライブラリーで、このファンクションコールを使ったプログラムは、異なるプロセッサー向けに書かれたものでも、容易に移植できるという。

インテルIPPのアーキテクチャー図
インテルIPPのアーキテクチャー図

IPPを使ったアプリケーション移植の例として、米Beatnik社のPocketPC用音楽再生ソフト『Beatnik Player』を紹介した。インテルIPPを利用することで、WindowsからWindows CEへの移植が3日間で行なえたという。さらにMP3ファイルのデコードが、インテルIPPを使わない場合に68秒かかっていたものが、3秒と22倍になったことが紹介された。

米Beatnik社の『Beatnik Player』
米Beatnik社の『Beatnik Player』。コンパック・コンピュータが先日発表したPocket PC『iPAQ』にバンドルされる

またスミス氏は、日本のPDC方式携帯電話向けの、無線通信処理用チップ『PDCharm 2.0』を発表した。PDCharm 2.0は、1チップで800MHzと1.5GHzの2バンドに対応し、iモードやJavaへも対応可能という。

インテルMSAの特徴
インテルMSAの特徴

さらにその後、2000年12月に発表した米アナログ・デバイセズ社との共同開発によるシグナルプロセッサー“インテル マイクロ・シグナル・アーキテクチャ(MSA)”のデモを初めて披露した。インテルMSAはC/C++言語でのプログラミングに最適化された次世代携帯電話用DSPで、170MHzと340MHzで動作するところを示した。

初めて公開されたインテルMSAプロセッサーの動作デモ
初めて公開されたインテルMSAプロセッサーの動作デモ。クロックは340MHzと表示されている

スミス氏はこのほか、日本のW-CDMA分野において三菱電機(株)と協力して開発を行なっていることや、日本電気(株)がStrongARMを次世代携帯電話に搭載することを紹介し、今後もワイヤレスネットワーク製品に力を入れていくとまとめた。

インテルMSAのプロセッサーでは、400MHz動作時でも0.64mWの消費電力で済むという
インテルMSAのプロセッサーでは、400MHz動作時でも0.64mWの消費電力で済むという


光ファイバーネットワーク市場に新製品を発表

2番手のステレガ氏は“光伝送ネットワーク市場での新しいビジネス・チャンスの創出”と題して基幹レベルの光ファイバーネットワークへの取り組みについて述べた。

トニー・ステレガ事業部長
米インテル社ネットワーク・コミュニケーションズ事業本部テレコム・コンポーネント事業部戦略マーケティング事業部長トニー・ステレガ氏

米国での基幹ネットワークの流れとしては、これまで主流だったSONET/SDH(※1)によるリング形式のネットワークから、メッシュ形式のネットワークへの移行が進みつつあるという。ネットワークコストをより下げるために光ファイバーによる伝送距離の延長が求められているが、インテルは“フォワード・エラー・コレクション(FEC)”技術を応用した光半導体製品を提供し、これまでは光ファイバーの信号を増幅するリピーターが必要だった距離でも、リピーターなしで最大400%の距離の伝送が可能になったという。

※1 SONET/SDH(Synchronous Optical Network/Synchronous Digital Hierarchy)基幹ネットワーク系で利用されている、光ファイバーを使った高速デジタル通信の国際規格。

また、日本ではファイバー・トゥ・ザ・ホーム(FTTH)に大きな投資が行なわれており、インテルは非営利の業界団体である光サービス・アーキテクチャ・コンソーシアム(HSAC)に参加するなど日本とFTTHに積極的に関与していくとしている。

インテルの光ファイバーネットワーク製品は、2000年3月に買収したデンマークのGIGA社の製品ラインを受けたものだが、順調に売り上げが伸びており、日本においても顧客が増えつつあるなどとした。

三菱電機製のItanium搭載サーバー
展示コーナーでデモされていた、三菱電機製のItanium搭載サーバー
インテル製のItanium搭載のプロトタイプサーバー
これも展示コーナーでデモされていた、インテル製のItanium搭載のプロトタイプサーバー。“Windows Whistler Professional 64-bit Edition”(Build 2462)が動作していた

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