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コダック アドバンティックス プレビュー カメラ

コダック アドバンティックス プレビュー カメラ

2001年04月13日 19時47分更新

文● 行正

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コダック アドバンティックス プレビュー カメラ

コダック

3万4800円

コダックの「コダック アドバンティックス プレビュー カメラ」は、APSフィルムに画像を撮影する銀塩カメラながら、背面には液晶モニタを装備して撮影した画像を確認することができるという製品だ。

フィルムに記録してデジタルでプレビュー

 「コダック アドバンティックス プレビュー カメラ」は、APSフィルムに画像を撮影するれっきとした銀塩カメラながら、背面には1.8インチ液晶モニタを装備して、撮影した画像を見ることができる製品だ。とはいっても、デジタルの画像データは最後に撮影した1枚が記録されるだけで、しかもデータとして読み出す方法(リムーバブルメディアやインターフェイス)は持たない。

背面には液晶パネルを備え、一見するとデジタルカメラのようにも見える。なお、デジタルカメラように液晶モニタをファインダとして撮影中に画像を確認する機能はない。

 それではデジタル画像で撮影する目的はなにかというと、撮影した画像を撮影直後に見ることができ、撮影に失敗したならば即座にわかって撮りなおすことができる点にある。プレビュー カメラでは、シャッターを切ってAPSフィルムと同時に撮像素子(CCD、画素数は未公開)に露光し、しかも独自のアルゴリズムにより、APSでのプリントと液晶表示が可能な限り同じ露出や色になるように工夫されている(同社では「プリント プレビュー マッチング」と呼ぶ)。
 操作は簡単で、撮影後に背面の液晶横にある「Preview」ボタンを押せば画像が液晶に表示されるだけだ。画像記録は1枚のみなので別の撮影を行えば画像は更新されるが、新たに撮影をしなければ電源をON/OFFしても前の画像が残っている。



APSカメラである証拠に底面にはちゃんとフィルム挿入孔がある。APSのMRC機能を備え、フィルムを使い切らない状態でも別のフィルムカートリッジと交換して撮影し、再び元のフィルムを装着して撮影することも可能だ。

 また、APSはフィルムの感光面の上にコーティングされた磁気層に記録された書き換え可能な磁気情報に、撮影データなどを記録できるという機能を持つが、書き込める情報にプリント指定枚数がある。プレビューカメラではこの機能を利用し、撮影後に画像を見ながら焼き増しの指定(0~9枚)をその場で行える(「IX機能」と呼ぶ)。操作はプレビュー中に「SELECT」ボタンを押して背面下のモノクロ液晶に表示されたカウンタを増やすだけだ。焼き増し指定を0にすることにより、撮影に失敗したコマを最初からプリントしないことも可能だ。



シンプルかつ明確な操作

フラッシュ内蔵のフリップをたためばフロント面は滑らかな平面となり、携帯性は非常によい。

 本体サイズはAPSカメラとしては若干大きめで、同社製品でおなじみの内蔵フラッシュを兼ねるレンズカバー「フリップアップ式フラッシュ」を採用する。このレンズカバーをはねあげると同時に電源が入り(ほかに電源スイッチはない)、沈胴式の2.6倍ズームレンズがせり出してくる。電源OFFもフリップをたためば自動的にレンズが沈胴する。プレビュー機能の操作はプレビューボタンと枚数指定をするだけというシンプル操作なので、誰でもすぐに使えることは間違いない。
 利用方法は、たとえば仲間うちで旅行や飲み会に行って記念写真を撮った際に、プレビュー画像を見ながら配布したい数だけ焼き増しを指定するといったシーンでは重宝するだろう。
 難点しては、液晶モニタの視認性があまりよくなく、細かな部分の判別が難しいという点がある。スペックは640×480ドット表示だが、たとえば10人程度が並んだ記念写真であれば、誰かが目をつぶっていたとしても(普通ならば失敗と判断するように)気が付かない可能性は大きい。また、フォーカスが甘かった失敗にも気が付きにくいだろう。焼き増し指定だけでなく、失敗した写真の取り直しのためのプレビューという点では、もう少し解像度の高い液晶モニタが欲しくなる。

 デジタルカメラを多用していて、久々に銀塩カメラを使ったときなどに気になるのは「ちゃんと撮れているかどうか」という点だ。デジタルカメラならば撮影結果をその場で見ることができるのでその心配は少ないわけだが、まだまだ銀塩の必要性もある。
 プレビュー カメラの価格は3万4800円(同社直販価格)なので、ズーム付きAPSカメラとしては若干高めの製品だ。同程度の出費でそれなりに高画質なデジタルカメラが購入できることを考えれば、解像度の点では同価格帯のデジタルカメラよりも銀塩フィルムのほうが高いとしても、割高というイメージはぬぐえない。
 しかし、デジタルカメラの高解像化が進んでも、銀塩には銀塩ならではの用途と味とユーザーがいるだろう。そんな中で、銀塩カメラでありながらもデジタルの利点を導入したプレビュー カメラは、いろいろな意味で興味深い製品と言えるだろう。
 なお、プレビュー カメラは現在のところ国内ではテスト販売という形式を取っており、コダックの直販サイト「Shop@Kodak」で購入できる。


コダック アドバンティックス プレビュー カメラの主な仕様
レンズ 25~65mmズーム、F4.3~10.4
フォーカス パッシブ方式マルチスポットオートフォーカス
プリント C/H/P切り替え
焦点距離 60cm~∞
液晶モニタ 640×480ドット、1.8インチカラーTFT
使用フィルム APSフィルム
電源 3Vリチウム電池(コダックK123LA)×2本
本体サイズ 117(W)×49(D)×72.5(H)mm
重量 255g

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