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デジタルアイランド、ストリーミング事業説明会を開催

2001年04月10日 22時20分更新

文● 編集部 佐々木千之

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デジタルアイランドジャパン(株)は10日、都内で報道関係者を集めて事業説明会を行なった。席上、日本でのパートナーである(株)J-ストリームやロイター・ジャパン(株)がデモなどを行なった。

デジタルアイランドジャパンは、米デジタルアイランド社の日本法人。米デジタルアイランドは、米、欧、アジアの9ヵ所にデータセンターを持ち、35ヵ国で、電子商取引をはじめとしたeビジネスを展開しようという企業向けに、ネットワークインフラやホスティングサービス、コンテンツ配信サービスなどを提供する事業を展開している。今回はデジタルアイランドジャパン代表取締役社長のグレン井上氏が、同社のストリーミング配信サービスについて説明した。

井上代表取締役社長
デジタルアイランドジャパンのグレン井上代表取締役社長

井上氏によると、日本でもADSLやCATVをはじめとしたブロードバンドネットワーク(※1)サービスが拡大しているが、現在米国でのブロードバンドネットワーク利用は全世帯の12.5%に達し、3年後の2004年には36%に増加するという。またドイツ、オランダでは2005年までに全世帯の25%まで広がるという。アジア圏では、韓国で現在総人口4500万人のうち250万人が、シンガポールでは総人口350万人のうち75万人が利用するなど、全世界でブロードバンドが広がりを見せているとしている。

※1 ここでは毎秒1.5Mbps以上の帯域を持つネットワークを指す。

こうした状況下で、ストリーミング配信事業に乗り出す企業が増加している。ただ、現在のインターネットシステムはストリーミングのために設計されていないために、アクセスが集中するようなコンテンツを配信する際にはレスポンスが極端に低下し、ボタンを押してもそれに反応するまで30秒以上もかかってしまうという。デジタルアイランドでは“Footprint Streaming”と呼ぶキャッシュシステムを各地に配置して、こうした反応の低下を防ぐことに成功しているという。

このFootprint Streamingはユーザーからのリクエストに対し、単純に最も近くのキャッシュサーバーをあてがうのではなく、各キャッシュサーバーのレスポンスの状態を監視して、最も速いレスポンスを返せるサーバーを割り当てる“BDS(Best Distributer Service)”技術によって、ライブイベントなどでもユーザーに確実にストリーミングデータを配信できるとしている。2000年11月にロンドンで行なわれたマドンナのライブがこのFootprint Streamingを使用して、インターネットを経由して視聴者900万人に配信されたという。

TraceWare技術を使ったMSNの国別コンテンツ配信システム
TraceWare技術を使ったMSNの国別コンテンツ配信システムの概要

また、同社のもつデジタルデータの著作権管理システム“TraceWare”についても説明した。TraceWareは、コンテンツにアクセスしてくるユーザーのIPアドレスをもとに、どこの国からのアクセスかを判断して、ライセンスを許可している国からのアクセスだけを受け付けたり、国ごとに異なる著作権料を徴収したりできるシステム。デジタルデータの著作権や印税は国ごとに異なっていることから、コンテンツ提供者のニーズにも合致するとしている。現在TraceWareで約96%のユーザーについて、どこの国からアクセスしているかを特定できるという。

古株均氏
Jストリーム、事業開発担当の古株均氏

続いて日本でのデジタルアイランドのパートナーで、コンテンツ配信サービスを手がける(株)Jストリームで事業開発担当の古株均氏と、同じくパートナーで顧客に向けて株式情報番組のストリーミングデータ配信を行なっている、ロイター・ジャパン(株)、メディア・マーケティング・マネージャーの鶴岡直樹氏が、それぞれのサービス事業の内容について説明した。この中で古株氏は日本のコンテンツホルダーの状況について「iモード関連のサービスが好調なことから、パソコンを対象としたサービスを各社が模索しているがまだうまいビジネスモデルが見つかっていない。BtoBのビジネスは'99年10月にオンライン証券が誕生して以来本格化し、プレスカンファレンスのインターネット配信などが一般化しつつある。その一方でBtoCではほとんど儲かっているところはない。教育分野ではストリーミングビデオと資料のスライド画像という組み合わせが定着し、企業内での“eラーニング”が根付きつつある」などと報告した。

投資家向けストリーミングコンテンツ
ロイター・ジャパンが提供する投資家向けストリーミングコンテンツ“ファイナンシャルオンラインジャパン”

日本におけるストリーミングコンテンツビジネスは、企業内教育や株価情報などといった特定の分野ではひとまず認知されて普及段階にあるが、エンターテイメントコンテンツなど一般ユーザーを対象としたものについてはかなり厳しい状況のようだ。一般ユーザー向けサービス不振の理由の1つに、インターネットアクセス回線の遅さがあることは間違いないが、ブロードバンドサービスが一般的になった場合に、いまより増えることは確実としてもどのくらいまで伸びるかは予測が難しく、事業者としても今後どのようにビジネスとして成立させていくか模索しているというところのようだ。

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