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ATLプロダクツ、企業向けテープライブラリー新製品を発表

2001年04月06日 20時52分更新

文● 編集部 佐々木千之

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米クアンタム社の子会社であるATLプロダクツ日本支社は6日、都内で記者発表会を開催し、企業内の事業部やワークグループ向けの自動バックアップ用テープライブラリー『M1500』を発表した。発表会では米本社のケビン・デイリー(Kevin Daly)社長兼CEOが同社の背景と新製品について説明した。

ケビン・デイリー(Kevin Daly)社長兼CEO
米ATLプロダクツ社のケビン・デイリー(Kevin Daly)社長兼CEO

デイリー氏によると、米ATLプロダクツ社は'90年に米Odetics社の1部門として設立、'94年にDLT(※1)自動バックアップ装置を発売した後、'98年にクアンタムに買収され、現在はクアンタムの独立した事業部門であるEnterprise Solution部門の一部となっている。ATLプロダクツは現在、自社ブランドでの直販、米IBM社や米コンパックコンピュータ社などへのOEM、システムインテグレーターや代理店を経由しての販売を行なっており、年間の売り上げはおよそ4億ドル(約500億円)で、クアンタムの売り上げ全体に占める割合は25%という。

※1 DLT:米ディジタル・イクイップメント社(DEC、現コンパックコンピュータ社)が'84年に開発した、コンピューターシステムのバックアップ用テープの規格。'94年にクアンタムがDECからストレージ部門ごと買収した。DLTtapeの1本あたりの最大記録容量は80GB(記録時に2分の1にデータを圧縮しながら記録する。非圧縮時容量は40GB)。

高拡張性、高可用性を備えたM1500

今回発表したM1500は、高さ4Uのラックマウント型テープライブラリーで、DLTtapeドライブまたはUltrium(※2)ドライブを2基まで搭載可能で、DLTtapeを最大20本内蔵できる。M1500は“StackLink”と呼ばれるモジュール構造となっており、電源、テープドライブ、テープマガジンなどの部品は、障害時にもシステムを停止させることなく電源を入れたまま交換可能。一般的なテープライブラリー製品では、ドライブを追加あるいは交換するような作業を行なう場合は、メーカーに送り返す必要があるが、M1500では追加部品を購入するだけで、オンサイト(稼働しているその場)で作業できるとしている。

※2 Ultrium:米ヒューレット・パッカード社、米IBM、米シーゲイト・テクノロジー社が協同開発したLTO(Linear Tape Open)技術に基づいて規格化されたテープフォーマット。テープ1本あたりの容量は200GB(非圧縮時容量100GB)。

『M1500エンタープライズクラス・ライブラリ』
『M1500エンタープライズクラス・ライブラリ』

ラックマウントにモジュールを積み重ねる形で設置(最大10個)した場合、各モジュール間でテープの受け渡しができ、全体を論理的に1つのドライブとして扱える。逆に物理的に複数のライブラリーとしての使用も可能。積み重ねて設置をした場合でも、必要に応じてモジュール内にテープドライブを追加して性能向上が図れるなど、柔軟なシステム拡張が可能という。最大構成とした場合、10個のモジュールに20台のテープドライブと200本のテープを内蔵し、最大記録容量は16TB(DLTtape使用時)。データ記録速度は1時間あたり864GBとなっている。また、ドライブをSuperDLTドライブに交換することで、記録容量3倍、記録速度2倍に強化できる予定。

2つのモジュールを重ねたところ
M1500の2つのモジュールを重ねたところ。テープドライブを1つのモジュールにだけ内蔵し、上下のモジュール間でテープを受け渡すというデモが行なわれた

サポートでは、3年間の品質保証のほか、企業向けのオプションサービスとして、24時間いつでも電話コール後4時間以内の対応を保証するサービスを提供する。価格については日本では代理店やシステムインテグレーターを通じて販売しているためとして、明確にはされなかったが、「1テープドライブの最小構成で200万円台後半」(ATLプロダクツ日本支社長の中村氏)で、5月に出荷開始予定。

ATLプロダクツ日本支社長の中村哲氏
ATLプロダクツ日本支社長の中村哲氏

中村氏は「現在日本市場からの売り上げはATLプロダクツ全体の5%程度だが、2年間で15%、できれば20%にまで引き上げたい」と目標を述べた。同社は現在、国内のテープライブラリー市場において、1位の日本ヒューレット・パッカード(株)に続く2番手の位置にあるということだが、日本のバックアップ市場はまだ小さく、大きく伸びる余地があるとしており、柔軟な拡張性とメンテナンスの容易さを持つM1500で、売り上げとともにシェアも伸ばしていきたい考えだ。

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