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VisorEdgeインタビュー

VisorEdgeインタビュー

2001年04月04日 17時53分更新

文● 小林

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VisorEdgeインタビュー

ハンドスプリング

4万4800円

ハンドスプリング(株)から、PalmOSを搭載したPDAの新機種「Visor Edge」(バイザーエッジ)が、発表された。編集部では、同社マーケティング部プロダクトマネージャの中山嘉貴氏に同製品について伺った。

ハンドスプリングの中山氏
[DIGITAL BUYER編集部(以下編集部)] 「Visor Edge」というネーミングの由来を教えてください。
[中山] 英語のEdgeは『縁』という意味ですが、最先端という意味も持っています。今回出す新モデルは、当社としては初めて薄型の金属ボディを採用したモデルですし、スタイリッシュなイメージを強調したい。それでつけた名前です。名前の候補にはいくつかあったんですが、ワールドワイドで通用するものとなると結構ふるい落とされてきてしまいまして。
Visor Edge。シルバー、赤、青の3色が用意されている。
[編集部] 新たにEdgeコネクタを採用し、Springboardスロット(Visorの拡張スロット)を外付けにしましたが。
[中山] スロットを背負うのは賛否両論ありますが、まずは「薄型」を出して欲しいという意見に応えたかった。日本でもその要望も高く、Visor Deluxeを購入しない理由として挙げているケースが目立ちました。薄型のモデルには、Palm本社の「PalmVx」という選択肢もあり、それを購入していただくのでも構わないのですが、Springboardの魅力を大切に思っているユーザーも多く、そういう方のためのVisorを作りたかった。その中で拡張性をどこまで保持するかが課題となり、今回のような形状になりました。想定しているのは、手帳代わりに持ち運びたい人。つまり、Palm OS本来の使い方をしたい人です。普段は手帳として使って、たまに周辺機器を追加するとか、人の持ってみるものを試してみるとか、そういう人に対する拡張性を残しておくことが大切だと思っています。逆に毎日のようにモジュールを使うのなら、Visor Platinumを使えばいい。それなりに薄いし、それなりに軽い。モジュールを入れっぱなしにできるため、より手軽です。
[編集部] つまり、携帯性を最優先にし、拡張性に対するプライオリティの低い人を対象にした製品ということですね。
[中山] はい。ただ、誤解してほしくないのは、Springboardの使用頻度が少ないユーザーを対象にしているといっても、機能的には今までのVisorと100%同じだという点です。
発表会で紹介されたSpringboardモジュール「BabyCube」。開発はケンウッド。携帯電話とワイヤレス接続(独自形式の特定小電力無線)できるため、携帯電話をカバンやポケットに入れた状態でメールチェックやWebブラウズができる。発売は今年後半を予定。
同じく発表会場で紹介されたハギワラシスコムの「BeatPlus」。ヤマハ製のPCM音源チップを搭載し、音楽の再生が可能。スマートメディアスロットを搭載した製品も用意されており、ゲームなどを楽しめる。
[編集部] シリアルコネクタの形状がまた変わってしまいました。周辺機器を応用するために、コネクタが共通化されていたほうがユーザーの立場としては嬉しいのですが。
[中山] 薄型化したことで、形状が変わってしまいましたが、これは今回が特殊となります。Springboardも同じですが、私どもとしては従来のものがスタンダードとなります。米国ではVisor Edge専用のSpringboardモジュールを開発メーカーもありますが、基本的には従来の周辺機器はなるべく使えるようにしたい。
[編集部] 今回もROMは書き換えできないフラッシュROMですね。これはコスト削減のためでしょうか? 以前貴社のロブ灰谷氏が、OSの新機能は、カラー化や拡張スロットの搭載などデバイス側の機能拡張に大きく依存するので、旧機種のOSをアップグレードすることが必ずメリットとなるわけではないとおっしゃられていましたが。
[中山] 今のところはコストを優先したほうがいいと思います。しかし、フラッシュにしたほうがいいという議論もあるし、フラッシュが欲しいという意見もある。ただ、具体的なバージョンアップが今までに行われたことはないし、具体的なメリットも行われてみないと分からない。十分な効果が期待できるなら、当社が取り組むことも当然あります。しかし、これは単にフラッシュROMにすればいいという問題ではなくて、仕組みなりサービスが整わないといけないと思います。
[編集部] 多機能化が進むPDAですが、購入しているのはまだまだ「マニア層」が中心で、一般的な人々にその良さが受け入れられていないような気がします。その点についてどうお考えですか。
[中山] われわれがリプレースしたいのはあくまでも手帳です。Palmの基本はそこにあります。軽くてキビキビと動く。これは今後も大事にしていきたい部分です。しかし、手帳からの置き換えが、それなりに進んでいる米国や海外に対し、国内ではまだまだ不十分です。逆に手帳という本来の機能を逸脱した部分、たとえばテレビが見られるとかそういう部分ばかりがフォーカスされている。それはそれでいいのですが、われわれは手帳の代わりとして何が必要なのかを考えたい。薄くないから、お気に入りがないから、機能的に使いにくいから、日本ではGraffitiが馴染まないから…… 理由はいろいろだと思いますが、これらをひとつひとつ解決しないと真の意味でPDAが根付くことはないのかなと思います。
[編集部] 今までのVisorに欠けている点。これから改善していきたい点などはありますか。
[中山] Palm OSそのものは、他社と同じものを使っています。「予定表+」など一部のアプリケーションを搭載していますが、日本語としての差別化はATOK PocketをCDにバンドルしているのみ。そういったソフト的な展開は今後も考えていきたいと思います。文字をひらがなで直接認識させたいと言う人も絶対にいるし、ザウルスとの比較でも必ずその問題が出てくる。じゃあそのときに、(手書き文字認識機能を搭載した)ATOK Pocketのフル版を買ってくださいというのか、機械に最初から入っているのかでも大きく異なるし、何ができるのかをユーザーにどう伝えるかどうかでもずいぶん違ってくる。自分の大好きな手帳にするために、日本語ならでは機能を加えてもいいのかなと。そこのところは、まあ短期/中期的に残された大きな問題ですね。
[編集部] ソニーのCLIEを始め他社からも続々と新機種が登場しますが。
[中山] Edgeはモノクロ画面なので、スタイリッシュになったという側面はあるにしても、新機種としてのインパクトは薄いかもしれない。しかし「手帳のリプレース」という方向としては、基本に戻ったいいモデルなのではないかと思います。色も3色揃っているので、女性に対してもアピールできる。実は、Visor Deluxeにも赤がほしいと言う意見が非常に多かったのですが、技術の進歩を考えると旧機種のDeluxeではなく、新機種のEdgeでという方向になりました。この手帳なら何年かもってもいいなあというのができていると思います。 拡張を毎日する人向けではないですが、Palm OS本来の手帳としての機能を普段は使って、たまにはバックアップや通信のためにSpringboardを使ってみたいとか、人の持ってみるものを試してみるとか…… そういう人のために、拡張できる要素を残して置くのは非常にいいことだと思います。
Visor Edge用に新たに追加されたハードケース。

ハンドスプリング(株)
問い合わせ先 ハンドスプリング カスタマケアセンター 0120-517-301

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