エレクトロニック・アーツ・スクウェアの「EA SPORTS」ブランドから、またまたF1モノが発売された。フェラーリによるダブルタイトル獲得も記憶に新しい2000年シーズンを、自らのドライブで追体験できる本格的なレースゲームだ。
想像以上に歯応えアリ
F1カーのドライブがしっかり楽しめる本格派
今年も開幕したF1シーン。2週間ごとに遅くまで起きてTV観戦しているうち、1度は本物のF1カーに乗って、そのスピード感やサウンドを体験してみたいもの。もちろん、TVを見ているただのファンにはそんな機会は一生無い。そこで、大いなる味方となってくれるのが、F1モノのレースゲーである。
記憶に新しい2000年データを収録しているので、違和感無く楽しめるはず。本作は2000年シーズンが終わってからのリリースなので、天候などもリアルに再現されている。 |
今回エレクトロニック・アーツ・スクウェアから登場した「F1 チャンピオンシップ シーズン 2000」は2000年のデータを、天候など実際のレース状況まで含めて収録するほか、よりリアルなグラフィック、全チームの実ドライバー名&コンストラクター名、全17戦のサーキットをほぼ完璧に再現、などという今時のF1モノとしての基本要素はバッチリ収められている。
シフトアップのタイミングは、本物のF1よろしくステアリングのランプの点灯にしたがって行う。瞬時に1万数千回転まで達するF1エンジンの痛快さがゲーム内でも味わえる点に感激。もちろんATで操作するアシストも用意されている。 |
しかし、ここまでは今や収録していて当然の内容ともいえる。それらの要素に加え、何といっても本当にF1ドライバーになったようなリアルなドライブ感覚こそ、本作の特徴といえよう。
特に気持ちいいのが、ストレートでの加速時。直線でアクセルを踏み込めば、実車から収録したという甲高いサウンドが、一気に吹け上がるエンジンに合わせて響き渡る。その快感をギアをシフトアップするたびに感じることができるのである。もう、これだけで完全にF1ドライバーになりきった気分だ。
ただし、そんなF1ドライバー気分を直線以外でも常に味わうのは、本作がリアル指向なシミュレーションである分結構難しい。低速からのラフなアクセル操作は即スピンに陥るし、ブレーキを強く踏めば途端にホイールがロックして減速できぬままコース外に飛び出すなど、シミュレーション要素はかなり高い。
もちろん、そんなに難しいのは無理だという初心者のために、ステアリングアシスト、ブレーキアシストなど、10項目のアシストが用意されているので安心してほしい。特に、デフォルトでF8キーに設定されている「スロットルアシスト」とF9キーの「アンチロックブレーキアシスト」をオンにしておくと、アクセルやブレーキ操作を多少ラフに行っても、スピンやタイヤのロックが起こらなくなるので、ぐんとゲームが楽しめるようになる。それでも厳しいという人は、アシストをすべてオンにしておけば、あとは適当なタイミングでのアクセルをオンオフし、ハンドルを回するだけで、ごく簡単にトップを獲ることができる。
ただし、アシストに頼っていたのでは、すぐに物足りなくなると思われるので、徐々にアシストをオフにしていけるよう練習をしていただきたい。そして、最終的に前述の2つのアシストすら不要になったときには、かなりの腕前になっていること間違いなしだろう。
設定項目は実に多岐にわたる。ギア比の設定もギアごとにできるなど、こだわり派には堪らないものがあるだろう。なお画面は、ジョーダンチームを選択した場合のものなので、ミッションは6速までとなっている。もちろん、この辺の要素は細かく収録されている。 |
また、車のセットアップ項目もかなり多い。ウィングやブレーキの前後バランス、ギア比、タイヤの空気圧、キャンバー、サスペンションなど、設定できる項目は実に50を超える。まずは、ゲーム内でのプレイヤーの腕自体を鍛えることが大事だが、ある程度上達すれば、今度はセッティングでさらにタイムを縮めていく作業が楽しめるはず。
スキルトレーニングは、サーキットごとに用意された、いくつかのコーナーの通過時間を競うもの。最適なラインが地面に描かれているほか模範走行も見られるので、コーナーでのライン取りやアクセル&ブレーキを踏むポイントなどを学習することができる。 |
ゲームモードは、サーキットごとにいくつかのコーナーの走行を練習できる「スキルトレーニング」、単独で練習走行を行う「テストデー」、任意のサーキットでレースが行える「クイックレース」、任意のサーキットで練習走行から予選、決勝という流れで1レースを行う「グランプリ」、全17戦のシーズンをプレイする「チャンピオンシップ」の4モードに加え、対戦プレイが行える「マルチプレーヤー」モードが用意されている。マルチプレーヤーモードでは、ネットワーク上で1台のマシンがホストとなり、最大8人までのプレイヤーでネットワーク対戦を行うことができる。
コントローラについても、遊びや感度など、細かな設定が可能である。 |
コントローラは、キーボードやパッドでもプレイできるが、やはりF1ドライバーへのなりきり度を高めるためにはForceFeedBack機能に対応したホイールコントローラをお勧めしたい。レビュー時に利用したMirosoft「SideWinder Force Feedback Wheel」でのプレイ時は、ホイールの反発力や縁石に乗り上げた際のショックなどをプレイの邪魔にならないレベルで、適度に感じることができた。また、コントローラについても設定項目は多く、ホイールの遊びの領域や感度など、プレーヤの好みに合わせてとことん調整できるのがうれしい。
基本的に本作は、レースゲーの腕に自信があるゲーマーの方がより楽しむことができる本格派F1レースゲームだが、アシストありでもサウンドや加速感などで十分F1気分を味わうこともできる。また、5980円という価格もお買い得だ。どちらにせよ、F1が好きでさえあれば、幅広いユーザーにお勧めできる1本である。
本ページの画面は800×600ドットで撮影したが、Celeron-800MHz+GeForce256という環境で、1024×768ドットでもまずまず快適にプレイできた。ただ、敵車が多数登場する場合では、さすがに極端に動作が重くなるケースもあった。 |
開発には未だ根強い人気の「Sports Car GT」を作ったImage Spaceが参加している。よって、実際の走りの中身については、レースファンでも間違いなく納得のいくものだろう。 |
視点はドライバー視点のほか、外部視点を選択することもできる。ただ、この場合はステアリングホイールのディスプレイに表示される各種情報が見れないほか、サウンドも迫力に欠けるため、ドライバー視点のほうをメインにしたほうがよいだろう。 |
EAのレースゲーム同様に、本作でもレース中の現在の順位をバー上の数字で確認できるシステムを採用している。 |
レインコンディションでの走りもなかなかカッコイイ。ただし、ドライに比べて圧倒的にグリップがないので、ドライブ自体はとにかく難しい。 |
開発元 | Electronic Arts |
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発売元 | エレクトロニック・アーツ・スクウェア(株) |
対応OS | Windows 95/98/Me+DirectX 7.0a |
CPU | PentiumII-350MHz以上 |
メモリ | 64MB以上 |
HDD | 350MB以上 |
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