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“ブロードバンドをコンテンツが引いてくるというのは幻想”――ソフトバンク・ブロードメディア事業説明会

2001年03月28日 23時04分更新

文● 編集部

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ソフトバンク・ブロードメディア(株)は28日、“第1回ソフトバンク・ブロードメディア グループ事業戦略説明会”を開催した。

ソフトバンク・ブロードメディアは、ソフトバンクグループの放送メディア関連事業を統括する企業として、2000年3月に設立された中間持ち株会社。

橋本太郎ソフトバンク・ブロードメディア代表取締役社長橋本太郎ソフトバンク・ブロードメディア代表取締役社長

壇上に立ったソフトバンク・ブロードメディア代表取締役社長の橋本太郎氏は「社名のブロードメディアは、“ブロードバンド・メディア”を意味している。私たちは、これまでの衛星放送事業に加えて、ブロードバンド・インターネット事業を展開していく。特に、ブロードバンドを活用したサービス・ツールやコンテンツを提供していくことに重点をおく」と、まず同社の設立目的について語った。

続いて、これまではCS衛星放送に関連するマーケティング、委託放送事業などを中心に、事業を行なってきたことを説明した。

ソフトバンク・ブロードメディアの、これまでの事業領域。CS放送関連事業のみを行なう
ソフトバンク・ブロードメディアの、これまでの事業領域。CS放送関連事業のみを行なう

同社の子会社で、スカイパーフェクTVのチューナーとアンテナをレンタルする(株)デジタルクラブについては「ソフトバンク・ブロードメディアの出資比率は60%のままだが、(株)光通信側の出資比率が40%だったのを10%程度にする。販売方法も、これまでは光通信1社だけだったが光通信との関係を解消し、約20社の販売事業者に分散する」とし、単一の企業に依存しない販売網を構築するという。

そして、同社が今後力を注ぐインターネット関連事業のうち、4つの事業について説明した。

ストレージサービス
米エックスドライブ社(Xdrive Technologies,Inc.)との合弁企業“エックスドライブ・ジャパン株式会社”(Xdrive Japan K.K.)を4月に立ち上げる。資本金は3億円で、出資比率はソフトバンク・ブロードメディアが55%、米エックスドライブが40%、ソフトバンク・テクノロジー・ホールディングス(株)が5%となっている。エックスドライブは、通信事業者や一般企業にディスクスペースを貸し出し、エンドユーザーはローカルなハードディスクと同じように、そのスペースを使用できる。
Windowsのエクスプローラーに、エックスドライブのディスクスペースが追加されているWindowsのエクスプローラーに、エックスドライブのディスクスペースが追加されている
コンテンツデリバリーサービス
米アカマイ社(Akamai Technologies,Inc.)と合弁で、コンテンツ提供業者とエンドユーザーとの間のコンテンツ配信を高速化するサービスを行なう、“アカマイ・テクノロジーズ・ジャパン株式会社”(Akamai Technologies Japan K.K.)を4月に設立する。資本金は4億5000万円で、出資比率はソフトバンク・ブロードメディアが55%、米アカマイが40%、ソフトバンク・テクノロジー・ホールディングスが5%となっている。世界55ヵ国の8000台のサーバーに顧客企業のコンテンツをキャッシュすることで、コンテンツ配信のレスポンスを向上させる。これによって、コンテンツ提供業者は回線やサーバーなど、サイト運営のコストを削減できる
ストリーミングサービス
放送事業者やイベント主催者がエンドユーザーに向けてコンテンツをストリーミング配信する際の、システムから企画・運営まですべてをサポートする。現在はまだ市場がそれほど大きないため、分社化せずに社内で事業を行なう。
投票・集計システム
子会社のイエス・ノー・ジャパン企画(株)の提供する“Yes! No! Japan!”サイトで、登録ユーザーに「森首相とお酒を飲んだらおもしろそうだ」などの簡単な質問に“Yes”か“No”で答えてもらう。ユーザーが回答すれば、即座に集計され、YesとNoの比率が分かる。ユーザーはそれによって自分の意見と一般的な考え方を比較することができ、回答を集計したデータはマーケティング情報として企業に提供する。

また、同社は今回発表したほかにも、インターネットに関連するさまざまな事業を、近日中に立ち上げるとしている。

ソフトバンク・ブロードメディアの、今後展開する事業ポートフォリオ。空白部分が、今後発表される
ソフトバンク・ブロードメディアの、今後展開する事業ポートフォリオ。空白部分が、今後発表される

橋本社長は、「ブロードバンドをコンテンツが引いてくるというのはイリュージョン(幻想)だ。いかに魅力的なコンテンツがあっても、それを利用できる集団が小さければ、インパクトが伝わらない。ますはじめにインフラありき、だ」と、国などによるインフラ整備が最も大切だと語った。

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