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【CeBIT 2001 Vol.8】シンビアン、スマートフォン向けOSの新バージョン――年内に端末が登場

2001年03月26日 01時24分更新

文● 編集部 佐々木千之

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開催中の“CeBIT 2001”において、英シンビアン社(※1)は次世代スマートフォン向けソフトウェアプラットフォームの新バージョン“Symbian Platform v6.1”を発表した。2001年下半期にv6.1を搭載したスマートフォンが登場する予定。ascii24では、同社のビジネスリレーションシップ担当副社長、ジェレミー・コップ(Jeremy Copp)氏に今後の展開についてインタビューを行なったので、その模様とあわせて紹介する。

※1 フィンランドのノキア社、スウェーデンのエリクソン社、米モトローラ社、英サイオン社、松下通信工業(株)が出資するソフトウェア企業。かつてサイオンがPDA向けに開発したOS“EPOC”の権利を受け継ぎ、各社にライセンスを提供している。

ジェレミー・コップ副社長
ビジネスリレーションシップ担当副社長、ジェレミー・コップ(Jeremy Copp)氏
[編集部] シンビアンのビジネスについて教えてください。
[コップ氏] シンビアンのビジネスはソフトウェアプラットフォームをハンドセットメーカーに提供することです。今回、新しく開発したV6.1を発表しました。このバージョン6.1は、例えば今年からGSM携帯電話でサービスが始まるパケット通信サービスGPRSのような、パケットベースの通信をサポートするように開発されました。BluetoothとWAP1.2についてもサポートします。

シンビアンの株主のセットメーカー、ノキア、エリクソン、モトローラ、松下通信工業は、世界中のハンドセットの7割以上のシェアを持っており、シンビアンはこの市場で非常に強力な立場にあるといえます。

現在シンビアンのプラットフォームを搭載している端末としては、エリクソンの『R380』があり、まもなく発売されるノキアの『9210』コミュニケーターをはじめ、20ほどの製品が計画されています。

日本企業では松下通信工業のほか、ソニー(株)、(株)ケンウッド、三洋電気(株)とライセンス契約を結んでいるほか、(株)NTTドコモともW-CDMAの端末で緊密な関係にあります。
ノキアの『9210』
シンビアンのプラットフォームv6.0を搭載したノキアの『9210』
[編集部] NTTドコモとシンビアンは'99年5月に日本で記者発表を行ない、そのときに1年後にはシンビアンのプラットフォームを使ったメール端末を発売するといっていたが、まだ出てきていないようです。日本におけるシンビアンのプラットフォームを使った製品はいつ登場するのでしょう?
[コップ氏] 我々がライセンスしたメーカーがいつ製品を出すかをコメントする立場にはありませんが、各社が取り組んでいます。三洋電気が最も早く製品を投入するのではないでしょうか。

今回のCeBITでは、v6.1の発表のほか、もう1つニュースがあります。コネクティビティーに関する戦略的パートナーシップです。企業において将来、シンビアンのプラットフォームを搭載したスマートフォンから、ネットワークを通じてデータや音声の同期を可能にするソリューションを提供するものです。この戦略的パートナーシップを、米フュージョンワン社、米Starfish Software社、米Aether Systems社、米Pumatech社と結びました。また、米IBM社とも同様のパートナーシップを発表しました。これによって、IBMのデータベース『DB2』といったIBMの持つeビジネスソリューションを、スマートフォンを通じて活用できることになります。
[編集部] シンビアンはいまスマートフォンだけをフォーカスしているのですか?
[コップ氏] 3つのデバイスがあります。1つがスマートフォン(データ通信能力を持つ音声通話端末)、コミュニケーター(大きな画面やキーボードを備えた端末)、さらにこのコミュニケーターで、ペン操作するタブレットタイプのものがあります。

3つの携帯のデバイスをターゲットにしていますが、それらに共通のソフトウェアプラットフォームを提供することが我々のビジネスです。形は違ってもそれらに、共通のプログラミングインターフェース、共通のデータフォーマットを提供できます。
各国の2.5G/3G携帯電話サービスの開始時期と普及時期のグラフ
シンビアンが発表会で示した各国の2.5G/3G携帯電話サービスの開始時期と普及時期のグラフ
[編集部] シンビアンのソフトウェアプラットフォームは、携帯電話だけでなくインターネットアプライアンスにも向くのではないかと重いいますが?
[コップ氏] 応用は可能でしょうが、われわれのビジネスはワイヤレスデバイスに特化しています。いまのところインターネットアプライアンスなどにプラットフォームを提供する計画はありません。
[編集部] 日本のiモードについてどのように思われますか?
[コップ氏] iモードは途方もない成功を収めました。日本では以前から、パケットベースのネットワークがあったおかげで、(時間課金でなく、従量課金が可能であったため)コンテンツプロバイダーがコンテンツを提供することが容易になったと考えています。これは日本以外の国々でサービスする上で、貴重なレッスンとなりました。GPRS、W-CDMAサービスが世界中で始まるときにこの経験が生かせるでしょう。シンビアンのプラットフォームは、基本システムとしては、iモードをサポートしていませんが、我々のライセンシーの日本企業が、iモードをサポートするモジュールの開発を行なっています。
プラットフォームv6.1のデモ画面シンビアンのスマートフォン向けソフトウェアプラットフォームv6.1のデモ画面。なにか作業(メールを書いていたり)していても、外からメールが届いたり呼び出しがかかると、それに関連するメニューがポップアップするので、すぐにそれに応えるアクションが行なえるという。左下の“i”のロゴはiモードではなく、シンビアンのロゴ。メニューを呼び出すボタンになっている
プラットフォームv6.1のデモ画面その2v6.1のメール機能。受信ボックスの表示例。狭い画面を最大限利用するため、メールの状態が各種のアイコンで表現している

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