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3D PROPHET 4500 64MB

3D PROPHET 4500 64MB

2001年03月12日 21時48分更新

文● 佐久間

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 ギルモ(株)は、同社のビデオカードブランド「Hercules」(ヘラクレス)の新製品として、ST Microelectronicsが開発したPowerVRテクノロジベースの最新2D/3Dビデオチップ「KyroII」を搭載するビデオカード「3D PROPHET 4500 64MB」を発表、4月中旬より発売する。

3D PROPHET 4500 64MB
GeForce2シリーズを搭載した「3D PROPHET IIシリーズ」のミステリアスな雰囲気を継承し、Pierrot(道化師)のような妖しい“顔”を持つ「3D PROPHET 4500 64MB」のパッケージ。チップ上のクーリングファンは丸型だ。

 3D PROPHET 4500 64MBが採用したKyroIIは、独特の「タイルベーステクノロジ」を採用するPowerVRシリーズの第3世代チップ。タイルベーステクノロジとは、3D画面を描画する際に4×4の16ピクセル単位でブロック化(タイル化)し、その内部に存在するポリゴンの前後関係を計算した上で、最終的に表示される最前面のテクスチャのみを処理して描画する陰面処理技術。タイル化した画像は、「タイルバッファ」と呼ばれるビデオメモリ上の領域にいったん溜められ、1画面を構成する内容がまとまるとフレームバッファとして、RAMDACから画面出力される。従来のようにすべてのポリゴンに対してテクスチャを演算、描画し、それから直前の画面(各ピクセル)の奥行き情報=Zバッファと比較検証して、新しい画面を上書きするかどうか決定する、という手法に較べてZバッファ分のメモリ(通常は画面解像度×24または32bit必要)が不要になる。そのため、テクスチャデータをビデオメモリ上により多く読み込むことが可能になるほか、ビデオチップ-メモリ間のデータのやり取りが少なくなるので、バスを占有する時間も短くなり、高価なDDR SDRAMを使わず通常のSDRAM/SGRAMでも十分な描画パフォーマンスが得られるといったコスト面でのメリットもある。



3D PROPHET 4500 64MB
サンプルカードはRGB出力のみだが、基板をよく見るとTV出力用チップを載せるらしいパターンが見える。実際、発売される製品はTV出力あり/なしの2モデルが用意されるとのこと。

 記者発表の会場で、「以前のKyroチップとはどこが変わったのか?」という記者からの質問に対しては、「ドライバの最適化とファームウェアの改良を行い、OpenGLにも完全対応し、DirectXの圧縮テクスチャにも対応した。さらに、チップ設計を0.25μmから0.18μmに微細化してコアクロックを高速化。同時に、メモリクロックも高速化が可能になった」と答えた。ちなみに、コアクロックとメモリクロックはどちらも175MHz、メモリインターフェイスは128bitバスとなっている。「DirectX 8はフルサポートしているのか?」という質問に対しては、「DirectX 8で新たに盛り込まれた“Per Pixel Shading(※1)”や“Vertex Shading(※2)”については、このKyroIIではサポートしていない」と明言している。ただし、これはDirectX 8用アプリがまったく動作しないというわけではなく、DirectX 8に最適化されたビデオカード(GeForce3搭載カード)と較べて、表示される3D画面の画質に差が出るものと思われる。
 また、会場に同席していたチップ開発元のST Microelectronics日本法人の担当者に聞いたところ、「現在のKyroIIには、ハードウェアT&LやDirectX 8用の機能は搭載していないが、スケジュールは明言できないものの次世代のKyro製品にはそれらを盛り込むべく開発を計画している」とのこと。

※1 Per Pixel Shading 画面に描画する最小単位ピクセルごとに凹凸や陰影を計算して描画する方法。従来のポリゴン単位での計算に較べて緻密な表現が可能だが、ビデオチップへの負荷も大きくなる。

※2 Vertex Shading ポリゴンを移動した際に、形状として破綻のないように頂点を補完する技法。ATIの「RADEON」が「Vertex Slinning」という名称で初めて採用し、GeForce3でも同様の技術が取り入れられて、DirectX 8で正式サポートされた。仮想的にポリゴンを増やし、テクスチャを貼り付けるため、これもビデオチップ(ハードウェアT&Lがない場合はCPU)に負荷がかかる。

 3D PROPHET 4500 64MBは、KyroIIチップとビデオメモリ64MB SDRAMを搭載したAGPカードで、最大1920×1440ドット/フルカラー/75Hz表示が可能となっている。前述のようにハードウェアT&Lはサポートしていないものの、最大8つのテクスチャブレンディング(マルチテクスチャ)機能、エッジのギザギザを目立たなくするFSAA機能(2×2または4×4のサンプリング)、大理石や砂目、木目などの凹凸感をリアルに再現する環境バンプマッピングなどをサポートする。
 対応OSはWindows 95 OSR2/98/Me/2000。価格は1万8800円(TV出力なしモデル)。ビデオメモリ64MB搭載のビデオカードとしては、かなり思い切った価格付けだ。なお、本ビデオカードについては、近々レビュー記事の掲載を予定している。



F1 Racing Championship
F1カーおよびドライバーは1999年のデータを利用している。よって、ウィリアムズの車は赤いし、今年はアメリカを走っているハズの高木虎之介の姿も見られるようだ。また、3D PROPHET 4500 64MBには、本作の体験版が添付される予定。

 また、ギルモの関連会社(※3)であるユービーアイソフト(株)はビデオシステム(株)を通じて、リアルな3D描画のF1レースゲーム「F1 Racing Championship」(英語版日本語マニュアル付き)を4月27日に発売する。
 本タイトルのために改良された3D描画エンジン「REVENGE(Reusable Vehicle Engine)」を採用、最高7万ポリゴンで32bitフルカラーの描画が可能。最大1.5km先の背景までリアルに描き出せるほか、15種類のカメラアングルを用意し、マシンごとに細かく描き分けられたコックピットの細部までリアルに再現。FIA公認で、1999年の11チーム22人のドライバーが実名で登場する。ネットワークプレイにも対応し、最高22人まで参加可能。
 価格は7800円。なお、こちらも近々レビュー記事を掲載する予定だ。

※3 Ubi Soft Entertainment Ubi Soft EntertainmentはGuillemotの子会社で、Guillemot社長の親族がUbi Soft Entertainmentの社長を務めている。

ギルモ(株)
問い合わせ先 マーケティング部 03-5823-2051

ユービーアイソフト(株)ビデオシステム(株)
問い合わせ先 テクニカルサポート 052-760-3691



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