IBMのTravelstarシリーズといえば、同社のノートPCブランドThinkPadはじめ、多くのノートPCの内蔵HDDとして採用されている2.5インチのHDD。最高速モデルである「Travelstar 32GH」のスペックを解説し、気になるパフォーマンスの検証をしていこう。
12.5mm厚で回転速度5400rpm
記録密度は20GBプラッタ製品相当
3.5インチでも10000rpmや7200rpm製品の記録密度が5400rpm製品よりも劣っているように、究極のところでは回転速度と記録密度は両立しない。ヘッドの読み取り能力には限界があるため、性能を重視するなら回転速度、コストや大容量記録を重視するなら記録密度により重点を置くことになる。特にサイズに制限がある2.5インチHDDにとって大容量化は永遠の課題であり、記録密度の向上は生命線と言える。その記録密度を犠牲にしてまで高回転速度を実現しているこのTravelstar 32GHは、性能にこだわった数少ない2.5インチHDDと言える。ただし、シークタイムは歴代の同社製2.5インチHDDと同じ12ms。この部分は3.5インチHDDに対してもっとも劣るところだ。特に1トラック間の移動時間を示す「Track to Track Seek」の数値が悪く、これはトラック密度が高すぎるためにヘッドの位置決めが高速で行えないためだろう。というよりもむしろ、大容量化が最重要課題だけに、この12msという数値をボーダーラインに設定して密度を決めているとも考えられる。
さて、次ページでは気になるベンチマークテストの結果を見ていこう。
製品名 | Travelstar 32GH | Deskstar 40GV | Travelstar 20GN | Travelstar 12GN |
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型番 | DJSA-232 | DTLA-305040(40GB) | DJSA-220(20GB) | DARA-212000(12GB) |
容量 | 32GB | 20/30/40GB | 5/10/20GB | 6/9/12GB |
記録面数 | 8 | 2/3/4 | 1/2/4 | 2/3/4 |
プラッタ1枚 あたり容量 |
8GB | 20GB | 10GB | 6GB |
面記録密度 (最大) |
14Gbit/inch2 | 14.5Gbit/inch2 | 17.1Gbit/inch2 | 10.1Gbit/inch2 |
回転速度 | 5400rpm | 5400rpm | 4200rpm | 4200rpm |
平均シーク タイム |
12ms | 9.5ms | 12ms | 12ms |
最大内部 転送速度 |
228.2Mbps | 372Mbps | 202.9Mbps | 161.6Mbps |
キャッシュ サイズ |
2MB | 2MB | 2MB | 512KB |
厚さ | 12.5mm | 25.4mm | 9.5mm | 9.5mm |
重量 | 155g | 575g | 99g | 99g |