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WD Caviar WD400AB

WD Caviar WD400AB

2001年02月25日 23時40分更新

文● 鈴木雅暢

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WD Caviar WD400AB

Western Digital

オープンプライス(実売価格1万5000円前後)

1枚あたり20GBの記録容量をもつプラッタを採用した7200rpm HDDが本格的に登場してきたと思ったら、5400rpmの製品では早くも1プラッタ30GBのHDDが登場した。世界初の30GBプラッタ採用製品となったのは、1プラッタ20GB HDDでも一番乗りを果たしたWestern Digitalの「WD Caviar WD400AB」だ。

HDDとプラッタの基礎知識
記録密度の向上がもたらすメリット

HDD内部の基本構造。
 製品の紹介をする前に、HDDとプラッタに関しての基礎知識を少し整理しておこう。プラッタとは、HDDの内部にある、データを記録する円盤のこと。プラッタは両面が記録面として利用でき(片面しか利用しない場合もある)、俗に「20GBプラッタ」や「1プラッタ20GB」などと言う場合には、プラッタ両面の合計記録容量が20GBであることを指す。ハイエンドドライブでは発熱などの問題からHDDの外形よりもかなり小さいプラッタを用いることもあるが、通常はプラッタのサイズがほぼ一定。すなわち、一般的には「プラッタ1枚あたりの容量増大=データ記録密度向上」という認識でいい。データ記録密度とは、単位面積あたりのデータ記録容量のこと。単位は「bit/inch2(bit per inch2)」で、1平方インチあたりに何bitのデータを記録できるかを表すが、この単位では実感としてわかりにくいため、記録密度の向上をプラッタを基準にして表すのが一般的になっているのだろう。

 では、データ記録密度が向上するとどのようなメリットがあるのだろうか? もっとも大きなメリットは、大容量化とコスト削減を両方同時に実現できることだ。従来と同じ面積により多くのデータが記録できるのだから、同じ記録容量をより少ない記録面積で、少ないプラッタ枚数で実現できるし、3.5インチHDDでは今まで実現不可能だったような大容量化も可能となる。たとえば、同じ60GBという容量を実現するのにも、10GBプラッタだと6枚(記録面12面)必要となるが、20GBプラッタだと3枚(記録面6面)、30GBプラッタなら2枚ですむ。プラッタが少なくなるということは、プラッタそのものはもちろん、データの読み書きを行うヘッドやそれを支えるアームなどのコストが削減できるし、消費電力減にもつながる。

 そして、速度だ。HDDは、回転するプラッタの同心円状に記録されているデータをヘッドが読んでいく。プラッタの回転速度が速くなれば、それだけ一定時間内にヘッドの下を通過するデータ量が増加することになり、読み出し速度が速くなる。これと同様に、同じ円周上に記録されているデータの量が増えれば、回転速度が同じでも一定時間内により多くのデータを読むことができるようになり、読み出し速度が速くなる。書き込みに関しても同じだ。



面記録密度は線記録密度(BPI)とトラック密度(TPI)の積で求められる。プラッタの記録密度を向上させるにはBPIをあげる方法とTPIを上げる方法があり、TPIのみの向上は速度向上につながらない。なお、この図はイメージ図であり、実際のHDDの構造とは異なっている(外周と内周での1セクタのサイズは同じ=512Bytes)。
 ただし、記録密度を向上させる手法には2通りある。データ記録領域を区切っている同心円の間隔を狭くして密度(トラック密度=TPI)を高める方法と、各円周上に記録するデータ密度(線記録密度=BPI)を高くする方法だ。前者の方法では、一定時間内にヘッドの下を通過するデータ量は変わらないので性能向上をもたらさない。トラック密度を高めると読み出し時のヘッドの位置決めが難しくなることもあり、一概に「記録密度が高いほうが速い」とは言えない。

 もっとも、トラック密度だけを極端に高めるのは技術的に好ましくなく、通常は記録密度を向上させる場合には両方ともに高めていくので、HDDのサイズや回転速度、シークタイムなどが同じであれば読み書きの速度が向上することを期待できる。また、BPIが上がると1トラックに多くのデータを記録できるため、連続した大きなデータの読み書きの際のシーク回数が減るし、そしてトラックが狭くなると、1トラック間の物理的シーク距離が短くなるといった、微々たるものではあるが、速度に関して有利な要素もある。ただし、「プラッタ1枚あたりのデータ容量」というのは、そこから性能を「期待」する程度はできても「予測」する目安にはなり得ない、おおざっぱで曖昧な項目であるということは覚えておいてもらいたい。



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