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日本IBM、2000年度は1兆6400億円と過去最高の売上

2001年02月22日 01時40分更新

文● 編集部 佐々木千之

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日本IBM(株)は21日、2000年度(1月~12月期)連結決算(※1)を発表した。ほとんどの事業で売上増となった結果、総売上高は対前年比9.4%増の1兆6438億2800万円と過去最高となった。このうち、国内売上高は10.9%増の1兆3315億3700万円、輸出高は3.7%増の3122億9100万円となっている。経常利益は48.1%増の1820億300万円、当期利益は4.8%減の1062億9700万円(※2)。

※1 連結対象となる子会社は28社。単独では対前年度比で8.3%増。

※2 '99年度には、同社の通信ネットワーク“IBMグローバルネットワーク”を米AT&T社に売却しており、当期利益は'98年度比182.2%増の大幅増加となっていた。この影響で2000年度は'99年度比で減少したと説明している。

日本IBMの大歳卓麻社長
日本IBMの大歳卓麻社長

都内で開かれた記者発表会で、同社の大歳卓麻社長は「2000年は業種を問わずeビジネス(eコマース)が始まった年、という印象。日本IBMは“eビジネスの実践”を推進してきたが、eビジネス関連では対前年比50%という大きな伸びとなった。サービス部門全体でも、9年連続の2桁成長(※3)で、さらにハードウェア、ソフトウェア販売も好調に推移し、結果として過去最高の売上げを達成できた」と好調の理由を述べた。

※3 具体的な数値は明かされなかったが、20%台と見られる。

ハードウェアとソフトウェアの保守ビジネスと、サーバーの一部製品で売上げが減少したほかは、すべて売上げ増となったとしている。日本IBMはサービス部門、ハードウェア部門、ソフトウェア部門の3つに事業を分けている。部門別売上高は公表していないが、比率としては順に50%、40%、10%としている。「サービス部門が50%を上回ったのは初めて」(大歳社長)という。

サービス部門のなかでは、主に日本IBMが取引先と合弁会社を設立して行なっているアウトソーシング事業が好調で、前年比2倍の収入となったほか、企業の基幹システムへのサービスに加えて、アスクル(株)やぴあ(株)向けをはじめとするホスティングサービスも80%と高い伸びを示した。

ハードウェア部門はサーバー各機種が好調で、エンタープライズ向けUNIXサーバー『IBM@Server pシリーズ』(RS/6000)やPCサーバーが2桁の売上増となった。さらにノートパソコン(ThinkPad)が初めて世界のノートブックパソコンの売上げシェアで1位となるなど好調だったという。

ソフトウェア部門では、UNIX、Windows向けのミドルウェアが好調で、メッセージキューイングソフト『MQ Series』が倍増となった。またデータベースソフト『DB2』が3.4倍、、ウェブサーバーシステム『WebSphere』は10倍と大きく売上げを伸ばした。これらは「従来競争相手であった(株)日立製作所や富士通(株)、コンパックコンピュータ(株)とパートナーとなり、IBMのミドルウェアを使ってもらうことになった」(大歳社長)が大きい。また音声認識/読み上げソフト『ViaVoice』は2000年に100万本を超えるヒットとなり、累計で300万本を突破したとしている。コールセンターなどで業務用としても使用され始めたという。

大歳社長は「eビジネスの伝道者といわれた前社長の北城(氏)に続いてeビジネスの実践を行なってきた。お客様のビジネスプロセスの再構築では、IBMはITの部品を販売するというだけではなく、経営パートナーとして見ていただけるようになった」と2000年度をまとめ、さらに2001年度については「eビジネス化の動きはさらに加速する。今まではERP、SCMといったプロセスごとの動きだったが、それらがまとまる“eビジネスソリューションの統合”が起こるだろう」と予測した。

日本IBMはeビジネス関連では1兆円を超える受注残があるとしており、当面はサービス部門を中心として好調が続く気配だ。企業のIT投資については「かつて90年代はじめの不況時に、米国企業はIT投資を積極的に行ない、日本企業はIT投資を抑えた。これがその後の景気の差になったという反省から、現在日本企業におけるIT投資意欲は活発だ」としており、具体的な売上げ予想こそ出なかったが、景気の先行きが不透明な中にも、IBMとしてさらなる売上/利益増を予想しているようだ。

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