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日本IBM、超低電圧版Pentium III搭載ThinkPadなど4機種を発表――ターボリナックスはLinuxをプレインストールして販売

2001年01月31日 21時52分更新

文● 編集部 佐々木千之

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日本アイ・ビー・エム(株)は31日、同日発表された超低電圧版モバイルPentium IIIを搭載機など、個人向けノートパソコン“ThinkPad i Series”4機種を発表した。

ThinkPadが2000年第4四半期世界市場で初のトップシェア

発表会で挨拶した日本IBMの堀田一芙常務取締役は「ThinkPadが速報値ながら米データクエストの統計で、2000年第4四半期に世界のノートパソコン市場でトップシェアを獲得したというニュースが入った。これは10年前にThinkPadを市場投入して以来初めてのことだ。どこかの国でダントツの1位だったというわけではないのだが、世界中で見ると1位になったようだ」と切り出した。

日本IBM、常務取締役の堀田一芙氏
日本IBM、常務取締役の堀田一芙氏

堀田氏は過去のB5サイズThinkPadシリーズを示しつつ「日本では販売されるPCにおけるノートブックの比率が高い上に、B5サイズ以下のサブノートの割合が2、3割もあるという特別な市場だ。かつてIBMは社内でいうところのウルトラポータブル市場に最初に製品(ThinkPad220)を投入しながら、途中で途絶えたため他社にこのカテゴリーのシェアを奪われた。今回の製品でまたリーダーシップを発揮したい」とサブノート製品を積極的に展開する姿勢を見せた。

今回の1121で達成された省電力化の概要
今回のThinkPad i Series1121で達成された省電力化の概要

そして「いままでキーボードや画面サイズなどいろいろやってきたが、今回の製品のテーマはバッテリーの持ち。かつてのノートPCでは消費電力のうち3割くらいがCPUだったが、現在は1割以下にまで下がっている。そこでIBMはすべての構成部品について見直しを行なった」という。今回発表された、超低電圧版モバイルPentium III搭載のThinkPad i Series 1124では、見かけは従来のモデルと変わらないが、CPUや液晶パネルなどのハードウェアと、それらをコントロールするBIOSなどソフトウェアのチューニングにより、約31%もの低消費電力化を達成できたとしている。

堀田氏はここで「他社も省電力型CPUを搭載したノートPCを出しているが」と前置きして、「そうした製品では、ブラウザーやメーラーなどはよいが、表計算やデータベースソフト、CADソフトなどを動かすとストレスを感じる。IBMとしてはモバイルプロフェッショナルのため、省電力といえども、妥協することなくどのソフトでも高い性能を発揮することが必要と考え、インテルの超低消費電圧モバイルPentium IIIの採用を決定した」と米トランスメタ社のCrusoeの採用を見送った理由を、パフォーマンスのためとした。

さらに、大学など教育機関でLinuxのクライアントOSとしての利用が広まりつつあるという認識を示して「今年は(Linuxの)クライアント元年だ」と述べ、日本IBMの新たなLinuxへの取り組みについても言及した。これまで企業向けのThinkPadで行なっていた、Linux(Turbo Linuxとredhat Linux)の動作確認を、個人向けのi Seriesにも拡大し、テスト結果をウェブ上で公開するという。また、ターボリナックス ジャパンが、『ThinkPad i Series 1620』に『Turbo Linux Workstation日本語版6.0リミテッドエディション』や『Applixware Office for Linux 5.0』をプレインストール(Windowsとのデュアルブート)して、3月にターボリナックスのウェブサイトで販売を開始することが明らかにされた。なお、日本IBM自身がLinuxプレインストールモデルを発売する予定は現時点ではないとしている。

Turbo Linuxが動作しているThinkPad i Series 1124
会場で展示されていた、Turbo Linuxが動作しているThinkPad i Series 1124。このほかredhat Linuxが動作しているものも展示されていた

最大で7.5時間のバッテリー駆動が可能なThinkPad

『ThinkPad i Series 1124(2609-93J)』は、インテル(株)が本日付けで発表したばかりの超低電圧版モバイルPentium III-500MHzを搭載したサブノートパソコン。CPU以外の主な仕様は、10.4インチの1024×768ドットカラーTFT液晶ディスプレー、64MBメモリー、20GB HDD、56kbpsモデムなど現行の『同1124(2609-73J)』と同じ。OSはWindows Meで、プレインストールされるソフトウェア、外見も共通となっている。バッテリー駆動時間は、低電圧版モバイルCeleron-500MHzを搭載した現行モデル(2609-73J)と比較して、同じバッテリーで約30%長い約5時間、オプションの『Full Dayバッテリー・パック』(2万4800円、4月上旬予定)を使用すると、約7.5時間となっており、成田からホノルルまでのフライトの間でも活用できるとしている。オープンプライスで、IBMの直販価格は19万8000円。2月3日に出荷開始予定。

『ThinkPad i Series 1124』
『ThinkPad i Series 1124』
ThinkPad i Series 1124のメインボード
ThinkPad i Series 1124のメインボード。右側に超低電圧版モバイルPentium IIIが見える

プロセッサーを高速化し、IEEE1394カードを添付したi Series 1800など

『ThinkPad i Series 1800(2628-IAJ)』は、14.1インチの1024×768ドットカラーTFT液晶ディスプレー、モバイルCeleron-700MHz、20GB HDD、64MBメモリー、CD-R/RWドライブ、100BASE-TXインターフェース、56kbpsモデム、FDDを備えたオール・イン・ワンタイプのノートパソコン。PCカードタイプのIEEE1394インターフェースを添付した。オープンプライスで、IBMの直販価格は25万9800円。2月9日に出荷開始予定。

『ThinkPad i Series 1800』
『ThinkPad i Series 1800』

CD-ROMまたはDVD-ROMを内蔵したA4サイズノートパソコン『ThinkPad i Series 1200(1161-42J/72J/92J)』では、現行モデルの『同1200(1161-41J/71J/91J)』から、モバイルPentium III-700MHz(92J)、モバイルCeleron-700MHz(72J)、モバイルCeleron-600MHz(42J)と、それぞれプロセッサーを高速化した。またエントリーモデルの42Jでは、HDD容量を10GBに引き上げた(41Jは5GB)。いずれもオープンプライスで、IBMの直販価格は92Jが21万9800円、72Jが18万9800円、42Jが14万9800円。2月9日に出荷開始予定。

『ThinkPad i Series 1200(1161-92J)』
『ThinkPad i Series 1200(1161-92J)』

B5ファイルサイズの薄型軽量ノートパソコン『ThinkPad i Series 1620(2662-33J)』では、CPUを低電圧版モバイルCeleron-500MHzから、低電圧版モバイルPentium III-600MHzに強化し、従来添付していたCD-ROMと『ウルトラベースX2』(ドッキングベース)を、USB接続の軽量CD-ROMドライブに変更した。オープンプライスで、IBMの直販価格は23万9800円。2月9日に出荷開始予定。

強化された保証とオプション製品

今回の発表されたThinkPad i Seriesからは、標準で付属する1年間の製品保証が強化され、ユーザーが誤って落としてしまった場合や、火災、地震などの自然災害による故障、また、盗難や紛失についても保障内容に含まれる(一部ユーザー負担金あり、全損による交換は1回のみ)。

『IBMウルトラポータブル・プロジェクター』
『IBMウルトラポータブル・プロジェクター』DLP方式を採用している。画面の明るさは1000ルーメン

そのほか、同社初となるプロジェクター製品で、重さ2.18kgの『IBMウルトラポータブル・プロジェクター』(IBM直販価格64万8000円)、国際線の座席に用意されているパソコン用電源コネクターやクルマのシガーライターソケットに接続して、機内でThinkPadが利用できる『エアライン・アダプター』(IBM直販価格9800円)、USBポートに差してデータの移動が手軽に行なえる小型ストレージ『USBメモリー・キー(8MB)』(IBM直販価格4800円)なども発表された。31日より順次販売開始される予定。

『エアライン・アダプター』
『エアライン・アダプター』利用できる航空会社情報はIBMのウェブサイトに掲載の予定
『USBメモリー・キー(8MB)』
『USBメモリー・キー(8MB)』Windows Me/2000ではドライバーソフトを導入する必要がないので、差すだけですぐに利用できるという

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