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アリス・イン・ナイトメア

アリス・イン・ナイトメア

2001年01月24日 19時05分更新

文● 宇野.bin

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アリス・イン・ナイトメア

エレクトロニック・アーツ・スクウェア

7980円

エレクトロニック・アーツ・スクウェア(株)は,3Dアクションホラーアドベンチャーゲーム「アリス・イン・ナイトメア」の日本語版を1月25日に発売する。すでに発売済みのアメリカでは,本家本元「不思議の国のアリス」のイメージを継承しつつも、完全ホラー化したその内容に話題沸騰中だ。さてさて,そのホラー版不思議の国のアリスの内容とは?

主人公「アリス」のお姿。かなり大人っぽいのは18歳という設定のため。お顔もそうだが,手に持った肉切り包丁,エプロンの返り血,髑髏のアクセサリーなどかなり恐い……。

 “アリス”……この名前を聞けば世界中のだれもがルイス・キャロル原作の名作童話「不思議の国のアリス」「鏡の国のアリス」を思い浮かべることだろう。そう,本作はこの2つをモチーフにした3Dアクションゲームだ。ルイス・キャロルの「アリス」といえば,幻想的で摩訶不思議な世界をアリスが冒険するお話だったが,このゲームのタイトルは「アリス・イン・ナイトメア」,日本語訳にすると「悪夢の中のアリス」である。たしかに原作も幻想的で摩訶不思議な世界には違いないのだが,このゲームの不思議の国にあるのは「恐怖」「殺戮」「狂気」そして「破滅」……夢や希望などひとかけらもない、それは恐ろしき世界なのである。



衝撃のバックグラウンドストーリーとは

オープニングで語られるアリスに襲い掛かった不幸と,その後の刑務所の独房のような病室に閉じ込められたアリスの姿はまさに衝撃的。アリスの心の扉が開く日は訪れるのだろうか……。

 不思議の国はなぜ恐怖の世界になってしまったのか? 気になるバックストーリーもかなり衝撃的だ。8歳のときに不思議の国を冒険したアリスは,その冒険を終えた直後,不幸な火災により家族をすべて失い,アリスもまた命に関わる怪我と火傷を負ってしまった。1年以上をかけてアリスの怪我は奇跡的に回復したが,その精神はかたく閉じられたままになってしまい,独房のような病院の収容所で過ごすことになる。そして悪夢の災厄から10年後,18歳になったアリスの前にあの「ウサギ」が再び現われた。10年ぶりに訪れた不思議の国にあったのは,赤の女王の独裁がもたらした「絶望」のみ。ウサギがアリスを呼び出したのは、女王を倒し不思議の国を正常化させるためだったのだ。



基本的に純粋なアクションゲーム

アクション主体なのでとうぜん敵はガンガン襲ってくる。特にボスは恐るべき強さを誇る。こいつは中盤に出てくる「ムカデの兵隊」。毒汁と子ムカデを口から発射し,無尽蔵の体力を持つ恐るべきヤツだ。

 ゲームの内容は主人公アリスを後方から見る3人称視点の3Dアクションゲームで,QUAKEシリーズというより「Tomb Raiderシリーズ」に近い印象だ。意外にもパズル的要素はほとんどなく、アクションが主体で,文字どおり“悪鬼”となって襲いかかってくる敵を倒したり,ジャンプなどで障害物をクリアしていくことでゲームが進行していく。こう書くとさも単純そうに思えるかもしれないが,敵はガンガン出て来るので爽快感があり,障害物も水中ステージやすべりまくりの氷ステージ,巨大岩石とのマッチレースありと飽きがこない。ボリュームもかなりの量で,大きく5つに分けられたエリアには30以上のステージが用意されており,全面クリアには10~20時間くらい必要になるだろう。難易度も4段階あるので,かなりの遊びがいがある。ただし操作はかなり複雑で,マウスで視点変更と攻撃,キーボードで移動と武器変更を行なう。つまりマウスとキーボードの同時操作が必須なので,アリスを自由自在に操れるようになるにはかなり慣れが必要だ。



ナビゲート役のウミガメの後を追いってスイミング。ただし,ウミガメの出す泡についていけなかったら,アリスは窒息して哀れ魚の餌に……。
まさに「不思議の国」にふさわしい幻想的な風景。怪しくも美しい画面に見とれて足場を踏み外してしまうと,もちろん底無しの谷にまっさかさま……。

動作は軽快,そして美麗!

アリスの武器はおもちゃ。近接武器の「クロッケーの木槌」,飛び道具の「トランプ」など全部で10種類と多彩。しばらくほっておくとアリスは装備しているおもちゃで遊び出すぞ。画面ではトランプ遊びに失敗してカードが頭に刺さってます……。

 3Dグラフィックスの描画にはQUAKE3のエンジンを利用しており,動作は非常に軽快だ。筆者のCPU/ビデオ環境はPentiumIII-800MHz/Voodoo4で最近のハードウェア環境としていたって標準的な構成だが,1024×768ドット/テクスチャ細度最大/高解像度テクスチャというかなりヘビーな設定でもまったく問題なくグリグリに動いている。画面関連はかなり細かく設定が可能で,解像度だけでも640×480ドットから最大1600×1200ドットまで用意されている。多少古いCPUやビデオカードでも,画面解像度を落とせばストレスなくプレイできるだろう。もちろんグラフィックスは秀逸で,幻想的な世界とホラーが原作の雰囲気を損なうことなくうまくミックスされており,そのクオリティも非常に高い。できることなら1024×768ドット以上でプレイしてほしい。3Dサウンドにも力が入っており,EAX,A3D,ドルビーサラウンドなど,さまざまな選択肢が用意されている。せせらぐ水の音,空から襲ってくる羽虫がはばたく音,背後から迫ってくる巨大岩石の音など,このゲームでは「音」がかなり重要な要素なので,選択肢が多いのは嬉しい限りである。



登場キャラは原作と同じ役割を持っている場合が多いが,画面の「公爵婦人」のように敵として登場するキャラもいる。みんな夢に出てきてうなされそうなくらいコワイ……。

 ストーリーの進行はキャラクターとの会話で語られ,音声のほかに画面下に会話の内容がテキストで表示されるようになっている。今回紹介する日本語版では,全キャラクターのセリフが日本語音声/日本語字幕化されているのだが,英語音声/日本語字幕や英語音声/英語字幕の設定も可能になっている。ゲーム世界の雰囲気をそのまま味わうにはやはり英語音声がベストだけど,意味がわからないのでは……という人も納得できる非常にうれしい配慮となっている。
 かつて夢見る少女の頃に訪れた不思議の国は,好奇心と夢に満ち溢れた魅惑的な世界であった。だが,悪夢のような火災と10年間におよぶ精神閉鎖でアリスの心は崩壊寸前である。そして不思議の国も同じく滅びへの道を進むのみ……そう,「不思議の世界」とはアリスの精神の奥底に潜む内面世界そのものなのである。逃げるわけにはいかない。不思議の世界を正常化させ,アリスの顔に10年ぶりの微笑みを浮かべるためには……。



アリスの衝撃的な死に様コレクション。食われたり呑み込まれたりとかなり過激です。魚しかいない画面はどこにって? いえ,ちゃんとアリスはいます。魚の胃袋に……。
開発元 Rouge Entertainment
発売元 エレクトロニック・アーツ・スクウェア(株)
問い合わせ先 03-5436-6499
価格 7980円(1月25日発売予定)
対応OS Windows 95/98/Me+DirectX 7
CPU PentiumIII-400MHz以上(同-500MHz以上を推奨)
メモリ 64MB以上(128MB以上を推奨)
ビデオ 640×480~1600×1200ドット/6万色以上
(メモリ16MB以上のOpenGL対応のビデオカードが必須)
HDD 580MB以上
CD-ROM 4倍速以上(起動時必須)
体験版 http://www.japan.ea.com/alice/downloads.html

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