2000年12月15日、予告どおりにキーボード搭載の新生Zaurus「MI-E1」は店頭に並んだ。横幅8cmにぎっしり詰め込まれた『キーボード』、モバイルに果たして本当に必要たるのか『MPEG4&MP3再生機能』など、特徴的な部分ばかりが先行して話題になっているが、PalmデバイスやPocketPC(Windows CE)陣営に攻め立てられるシャープが満を持して放った新型Zaurusは、決して奇をてらった異色作ではなくメールやWebブラウズといった現代のPDAにあってほしい機能を使いやすくまとめた通勤者のベストフレンドだ。
メールはキーボード、Webはペンと使い分け
純正オプションを揃えたところ。中央のACアダプタはMI-E1の付属品。右手前にあるのは、「MPEG-4ビデオレコーダー」に付属するACアダプタ。こちらの方がコンパクトで端子部分も折りたためるなど、携帯に便利。MI-E1のACアダプタもこうしてほしかった。 |
実は、何を隠そうこのMI-E1を発売当日に個人的に購入して、今も肌身離さず使い続けている。なので、通常のレビューとは異なり、若干ロードテスト的な内容になってしまうがあらかじめご容赦いただきたい。
MI-E1は、MPEG4形式の動画やMP3形式の音楽ファイルを再生できるマルチメディア指向が一番の特徴だ。が、それ以前にもっと日常的に使う機能、メールの送受信やWebブラウズといった操作がストレスなくできなければPDAとして普段持ち歩きたくはならないだろう。そうした基本機能から見ていこう。
メールの送受信に威力を発揮するのが、新搭載のキーボードだ。メールアドレスの入力から本文の作成まで、文字を入力する場面ではQWERTY配列のキーボードをプチプチと使うのが断然早い。一見するとキートップが小さくて打ち間違いしそうだが、キーの間隔が適度に離れていて(左右7mm、上下6.5mmピッチ)、どちらかというと指が太めの私でもスムーズに入力できる。さらに、もし打ち間違えても後退(BackSpace)キーを押さなくてすむような工夫がある。具体的には、「アスキー」と入力する「ASUKI-」を誤って「AD」と打ってしまった場合でも、慌てず騒がず「ADSUKI-」と打てば前のDが無視される仕組みになっているのだ。もちろん、「SYU=しゅ」のように子音2つと母音の組み合わせで音が成立する場合にはそちらが優先される。この工夫は小さいようだが、打ち間違いによるストレスを大幅に軽減してくれる画期的な発明だ。しいて不満を挙げれば、機能キーが1回ずつ押し直さなければならないため、メールアドレスに数字が含まれている際にやや面倒ではある(Shiftキーのように、押しっぱなしで連続入力できればよかったのだが)。
キーボード部分を、CFメモリカードと比較しつつ撮影したもの。キートップの縦2つが指の幅くらい。こう見ると小さくて打ちにくく思われるかもしれないが、指先でポチポチ押すのが意外なほど楽。ちなみに、下にスライドさせた機能ボタンや電源もこの状態のまま利用できる。 |
また、P-in Comp@ctと組み合わせていると、定時にメールの受信をチェックする「タイマー受信」がすこぶる便利だ。これは一定時間間隔(1分単位で最大24時間)か、5つまで設定できる指定時刻にメールサーバにアクセスして自動的に受信するというもの。本体の電源を切っていても、定時になると自動的に起動して、もしメールがあれば受信メール一覧表示に切り替わり(ユーザー操作がなければ、一定時間で電源が切れる)、メールがなければすぐに本体の電源が切れる、という具合だ。通信コストもバッテリの消費も節約できて実に便利だ。