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【2001 CESレポートVol.5】インテルとMS、心は1つ? PC中心の時代がこれからも続く──ゲイツ会長のキーノートから【詳報】

2001年01月08日 03時07分更新

文● 編集部 佐々木千之

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6日(米国時間)に行なわれた“2001 International CES”のキーノートで、米マイクロソフト社のビル・ゲイツ(Bill Gates)会長兼チーフソフトウェアアーキテクトが登場し『Xbox』を披露したことは既報の通りだが、本記事ではキーノート全体についてお伝えする。ゲイツ氏は家庭における電子機器の中心としての役割を果たす“Enhanced PC”というコンセプトを紹介し、はからずも前夜に行なわれた米インテル社のクレイグ・バレット(Craig Barrett)社長兼CEOと目指すものが一致することとなった。

ビル・ゲイツ会長兼チーフソフトウェアアーキテクト
米マイクロソフト社のビル・ゲイツ会長兼チーフソフトウェアアーキテクト

ゲイツ氏のキーノートは、マイクロソフトが設立されて昨年で25周年を迎えたということで、この25年間のPCの進歩を振り返るというビデオで始まった。このビデオは初期の8bitコンピューター『Altair 8080』に始まり、最初のビデオゲームである“PONG”や、『Apple ][』、『IBM PC』などが現れては消える駆け足のものだった。ゲイツ氏は、ハードウェアの進歩は確かに重要なキーだが、ソフトウェアもやはりキーなのだと語った。コミュニケーション(メール、画像、音声)、エンターテイメント(音楽、ビデオ)、生産性(サービス、学習、購入、販売)といったものに対するユーザーの経験は、ソフトウェアによって左右されるのだとし、この点で使いやすさの向上のためにマイクロソフトができることはまだまだ多いと述べた。

また、前夜のインテルのクレイグ・バレット社長兼CEOのキーノートを引き合いに出し、これからのPCはExtended PCとして、Pocket PCやTablet PC、Set Top Box、デジタル額縁、ミュージックプレーヤーなどのコーディネートをするという役割を果たすようになる。PCが中心となって情報を管理することで、個々の機器の間で情報を移したりすることが不要となるという。

ここでデモンストレーターが登場して、ゲイツ氏のいう家庭の中心となるPCのデモが行なわれた。このPCはWindowsの次期バージョンである“Whistler”(Whistler Professional)によって動作している。Windows 2000をベースにしており、会社でも家庭においても信頼できるものになるという。ユーザビリティーも向上しており、家庭において使いやすいものとなっているとしている。信頼性、堅牢性については24時間付けっぱなしで使える、一般家庭の家電製品と同等であると強調した。

シンプルなWhistlerのユーザーログイン画面
シンプルなWhistlerのユーザーログイン画面。アイコンがこのマシンに登録されたユーザーを示している
Whistlerが動作するEnhanced PC
デモンストレーターのグッゲンハイマー(Guggenheimer)氏が示しているのがWhistlerが動作するEnhanced PC
非常にシンプルなグッゲンハイマー氏のデスクトップ
ごみ箱のアイコンしかない、非常にシンプルなグッゲンハイマー氏のデスクトップ
“Windows Whistler Professional”
見づらくて恐縮だが、“Windows Whistler Professional”、Buil2415と読める

デモでは、Whistlerの持つ周辺機器とのネットワーク機能、情報管理機能が紹介された。例えばデジタルカメラで撮影した画像をWhistlerのスキャナー/カメラウィザードを使って、PCに取り込み、それをPCから家の部屋に見立てた壁に設置された液晶ディスプレーを持つ“デジタル額縁”に転送したり、自分の好きなインターネットラジオ局を選んでネットワーク接続されたラジオ付き目覚まし時計に転送して、お気に入りの番組で目を覚ますといったことが可能になるという。

Whistlerを使って自分のポータルサイトにアクセス
Whistlerを使って自分のポータルサイトにアクセスしているところ。画面はMy Radio
PCと無線ネットワーク接続されたラジオ付き目覚まし時計
PCと無線ネットワーク接続されたラジオ付き目覚まし時計

ゲイツ氏は次に、PCが持つべき機能として、いくつかをあげたが、特に強調されたのが、手書き認識や音声認識などのユーザーインターフェースと、余計に電線を必要としないネットワーク機能だった。これ以上PCにつながる線を増やさないということで、無線ネットワークやIrDA(赤外線)、電灯線をつかったネットワークが紹介された。

ここで再びデモンストレーターのグッゲンハイマー氏が登場し、“Pokcet PC Plus”と名付けられた将来のPocket PCでデモを行なった。このデモでは、グッゲンハイマー氏が普通の速さ(結構速い)でしゃべる言葉を、一字一句間違えずにテキストに変換したり、ネットワーク接続されたステレオのコントロールを行なったりして見せた。

デモに使われたPocket PC
デモに使われたPocket PC。背面に四角いモジュールがくっついていたが、これが音声認識のためのものなのか、無線ネットワークのためのものなのかは不明
こちらは日立のSH3をつかったWindows CE搭載マシンの画面
こちらは日立のSH4をつかったWindows CE搭載マシンの画面
ヘッドマウントディスプレーを介してユーザーがーが見ることになる
上の画面は実際には、このヘッドマウントディスプレーを介してユーザーがーが見ることになる

続いてゲイツ氏はマイクロソフトが開発した次世代のデジタルセットトップボックスによる“Ultimate TV”の紹介を行なった。ここでも登場したグッゲンハイマー氏によって、Ultimate TV端末が持つ、ハードディスクビデオレコーディング機能(録画しながら再生できる)などを紹介した。

“Auto PC”に搭載されるMedia Playerの画面
少しだけ紹介された次世代の“Auto PC”に搭載されるMedia Playerの画面

そうして最後にXboxの紹介となった。そもそもXboxを作るきっかけとなったのは、2年ほど前に社内のハードコアゲーマーが、「本当にすごいハードとソフトがあったらものすごいゲーム体験ができるのに」といったことからであるとか、Xboxのコントローラーのデザインを決定するまでに、ゲーマーからのフィードバックを元に100もの違った形のものを試したといったエピソードが披露された。

スペックについてはすでに発表済みのため、詳しくは触れられなかった、発売時期についても従来通り今年の秋以降とされ、価格と同様に明確にはされなかった。ゲイツ氏は、Xboxはマイクロソフトにとってまったく新しいことがらであり、ゲームコミュニティーについてもまだまだ知りつつある段階だが、彼らからのサポートの申し出を受けて大変喜んでいると、開発者にもコアゲーマーからも好意的に受け入れられていることを強調した。

その後はXboxのゲームデモが続いたが、最後に登場したゲストはWWFプロレスラーの“The Rock”氏だった。WWFをテーマにしたゲームをXboxで発売するのと、ゲイツ氏がThe Rockのファンということで招いたということらしい。Rock氏はXboxはビデオゲームの真の将来の姿だと持ち上げて去っていった。

XboxをはさんでThe Rockと楽しそうに語るゲイツ氏
XboxをはさんでThe Rockと楽しそうに語るゲイツ氏。それにしてもプロレスファンだったとは意外な感じがする

ゲイツ氏は最後に、新しいデジタルライフスタイルをパートナーと共に作っていきたいと述べてスピーチを締めくくった。

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