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真実のおでん缶(後編)

2000年12月08日 22時14分更新

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※前回までのあらすじ

秋葉原の裏名物としてあまりにも有名な缶入り「うす味 おでん」。その裏に隠された真実をつきとめるべく、製造元の天狗缶詰@名古屋に潜入した私は、ぬあんと「うす味 おでん」の生産がすでにストップしているという超ド級の情報をキャッチしたのであった。

「うす味 おでん」生産中止?

 ――そんなバカな!? だって秋葉原名物なんですよ。名物ってことはイコール、売れているワケじゃないですか! 製造中止なんて……おかしいですよ!(涙目)

「もう当社としては決定してしまったことなんです……。でも、悲しまないで下さい。おでん缶は永遠に不滅です。その証拠として……まずはコレをみて下さい」

コレが、西日本限定発売の『牛すじ入 おでん』缶だっ!缶にうかぶ白い水玉は、うずらの卵がモチーフ……ではないそうだ(惜しい!)

そういって伊藤氏が机の下からシャキーンと取り出したのは、サーモンピンク色のバックに白い泡が浮いた、なんとなくカルピスソーダを彷彿とさせる爽快なデザインの缶だった。手に取ってじっくりと眺めてみる。

――はっ! こ、これは……「牛すじ入 おでん」!?

「ふふっ、そうなんです。我が社のホームページ、そしてネット通販でおでん缶を買われた方から届いた1万件のメールと、各地の営業担当からの現場の意見をもとに誕生した新作です。現在は関西エリア限定販売で、ネット通販のみ全国区先行販売となっております。私ね、じつはこの『牛すじ入 おでん』には企画の段階から関わっているんですよ。何十回も試食したし、小売店へも直接出かけていって店主さんに置いてもらえるようお願いしたこともあって、ものすごく思い入れがあるんです。愛娘のようだ、なんていうといい過ぎですけど、とにかく自信を持ってオススメできますね。どうです、缶もポップでいい感じでしょう? 今までのおでん像を打ち砕く斬新なデザインだと思います」

――は、はあ(汗)。ところで、『牛すじ入』缶の上のほうにある、ミートくん@キン肉マンに似た顔付きの『こてんぐ』とは何者ですか?

「ああ、コレはですね、ウチの家庭向け製品のトータルブランド名称なんですよ。我が社の製品は、先ほどもお話いたしましたように業務用がメイン。ちなみに高速道路のドライブインにある灰皿って、よく業務用缶詰の空き缶を利用してるでしょ。アレ、ウチの製品である確率けっこう高いですよ。……ええと、話を戻しますが、そうした業務用とは別に、家庭用・小売用を別ブランドで展開しようというプロジェクトがありましてね。その第一弾として『牛すじ入 おでん』が発売されたというワケなのですよ」

――なるほど。ちなみに『こでんぐ』という名前をひねり出したのはどなたなのですか? もしや現社長の鶴のひと声で?

「いえ、社内公募をやって、みんなでプレゼンして決めました。『カエデの葉』『下駄』といった天狗関連アイテムをはじめ、とにかくまあ、いろいろなアイディアが出たんですけど、天狗缶詰じたいを知らない方に『カエデの葉』といっても連想できないじゃないですか。そんなワケで最終的に生き残ったのは、このシンプルかつストレートな名前『こてんぐ』だったと。なお、イラストはプロのデザイナーの手によるものです。どうです、とってもキュートでかわいらしいでしょう?

――は、はい(汗)。ところで、製造中止になった『うす味 おでん』のほうなのですが……



リニューアル「つみれ入 おでん」には、コレが貼り付けられる。天狗缶詰企画部公認・本邦初公開! おでん缶通を気取るなら、今のうちに旧パッケージモノをゲットしておきたい

「おっと、まだおはなしの途中でしたね。製造中止というのは本当なんですが、それはあくまで一時的なこと。来春、そうですね、たぶん2月頃になりますが、新パッケージ『つみれ入 おでん』となって再発売されるんです。ええと、つまり、『こてんぐ』ブランドを冠して、新作『牛すじ入 おでん』と統一のデザインにするための処置だったんです」

――ふ~(安心のため息)。その新しい『つみれ入 おでん』なんですが、もともとの『うす味 おでん』と中身も変わっちゃうんですか?

「いえ、パッケージだけです。味やおでん種については、すでに10年以上もご好評をいただいておりますし、リニューアルする必要はまったくないですからね。その点は安心してください。ただね、以前の缶のデザインについて『オヤジっぽ過ぎる』と一部で不評だったんですよ。その点、新しい缶のデザインはポップでキュートですから、若い方や女のコにも抵抗なく購入していただけると思いますヨ!」



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