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ゴールドマン・サックス、投資したいテーマで選べる“バスケットeワラント”

2000年11月25日 22時31分更新

文● 編集部 佐々木千之

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米ゴールドマン・サックス証券会社は22日、あるキーワードでくくられる会社群を1つの銘柄としてセットにした、個人投資家向け少額投資商品“バスケットeワラント”取引サービスを、12月に開始すると発表した。

バスケットeワラントは、“ある期間内にある価格で株式を購入できる権利”を証券化した“カバードワラント”の1つ。
カバードワラント(ゴールドマン・サックスの商品名では“eワラント”)では、株そのものではなく、設定されたある期間内において、ある価格(権利行使価格)で対象となる株を買うことができる権利を証券化し取引を行なう。実際の株では、あるまとまった株数(単位株)単位でしか購入できないため、一般に多額の資金が必要だが、カバードワラントは“購入できる権利”であるため、比較的少額であることが特徴。また、eワラントの取引は証券取引所ではなく、ゴールドマン・サックスが提供する市場で行なわれる。

eワラントの金融商品としての特徴は、権利期間終了時(満期時)に、対象となっている株の価格が権利行使価格と同じか、またはそれ以下になっている場合には、そのeワラントの価値は0になるという点が1つ。単純な例では、A社の株を1000円で買うことができるというeワラントを100円で購入したとする。満期時に、A社の株が1500円になっていたとすると、eワラントを持っていれば1000円で買えるので、そのeワラントの価値が生まれる。逆に満期時A社の株が800円だったとするならば、eワラントで権利を行使するより直接株を買ったほうが安く買えることになるため、そのeワラントの価値はまったくないことになる。1000円であっても同じく価値はない。なお、eワラントの取引では、満期まで保持して権利を行使する必要はなく、期間内であればいつでも売買が可能。

もう1つの特徴は、eワラントの価格の変動率は実際の株価よりも大きくなり(レバレッジ効果と呼ばれる)、例えば株価が50パーセント上がった場合に、eワラントの価格は350パーセント上がる場合があるという。もちろん株価が下がった場合には株価の下落率以上にマイナスが発生する。eワラントは一種の“先物取引”であると考えられるが、最悪の場合でもeワラントの購入価格(投資元本)が0になるだけで、さらに拠出金を求められるようなことはない。

これまで同社が提供してきたeワラントは、各企業ごとのものだが、今回のバスケットeワラントでは以下の8つのテーマごとに複数の企業をまとめて1つのワラントとしてサービスされる。取引時間は朝9時から夜7時まで(昼休み無し)、取引価格はゴールドマン・サックスが提示し、取引の決済は株の売買と同様に取引日の3営業日後となる。注文方法は指し値による注文と上下限付き成り行き注文、手数料は取扱証券会社によって異なる。なお、税制上、バスケットeワラントの売買によって生じた損益は総合課税の対象となる。

バスケットeワラントのテーマ
  • 次世代携帯電話(NTTドコモ、KDDIなど9社)
  • 光ファイバー(古河電工、住友電工など8社)
  • グローバル携帯電話(NTTドコモ、エリクソン、ノキアなど15社)
  • ナノ・テクノロジー(HOYA、東京エレクトロンなど5社)
  • バイオ・テクノロジー(武田薬品、明治製菓、協和発酵など6社)
  • ブルートゥース(東芝、インテル、IBMなど15社)
  • リターンリバーサル(楽天、ファンケル、良品企画など13社)
  • トップシェア(ソニー、トヨタ自動車、セブン-イレブンなど9社)
  • 土居雅紹氏ゴールドマン・サックス証券エクイティ部門バイスプレジデントの土居雅紹氏

    ゴールドマン・サックス証券エクイティ部門バイスプレジデントの土居雅紹氏によると、このバスケットeワラントは個人投資家向けに開発した商品で、ビギナーに多い「何を買ったらいいのかわからない。銘柄の絞り込みができない」という疑問や、実際の資金運用を証券会社に任せる投資信託では「自分の資金で今何を買っているのか不透明」という不満に応えられるものとしている。関連企業をテーマごとにまとめるというバスケットeワラントは、ヨーロッパなどでは人気の商品という。また投資に必要な金額も、テーマによって異なるがおよそ3~4万円から行なえ、同社が8月に発表した“ポケット株”に比較して、最悪の場合に投資元本を失うリスクはあるが、株価が上昇した場合に大きなリターンが望めるとしている。

    なお、バスケットeワラントを取り扱う証券会社は以下のオンライン証券5社。取り扱い開始時期は12月以降で、証券会社によって異なるとしている。

    バスケットeワラントを取り扱い予定の5社
  • DLJディレクトSFG証券(株)
  • 日興ビーンズ証券(株)
  • 日本オンライン証券(株)(※1)
  • イー・ウイング証券(株)
  • イー・トレード証券(株)
  • ※1 日本オンライン証券とイー・ウイング証券は2001年3月に合併を検討すると発表している。


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