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アルファ・オメガソフト、独自開発のLinuxを搭載したウェブカメラを発表

2000年11月10日 15時35分更新

文● 編集部 佐々木千之

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(株)アルファ・オメガソフトは9日、独自開発のLinuxを搭載したオールインワンタイプのウェブカメラ『WebCam』を発表した。ウェブサーバー機能を内蔵しており、Ethernetに接続して単体で画像の配信が可能。韓国のWeb Gate社と協同で技術開発を行なったという。11月末に発売予定で、価格は9万8000円。

『WebCam』

WebCamは幅92×奥行き146×高さ45mmで重さ187gと小型の筐体内に、4分の1インチ27万画素CCDカメラ、固定焦点レンズ(F2.0、f=3.8mm)、32bit RISCプロセッサー(製品名は非公開)、16MBのRAMと8MBのROMを内蔵し、電源とEthenet(10BASE-T)を接続するだけで動作する。配信可能な画像サイズは720×486(ピクセル、以下同)、720×243、360×243、180×121、90×60の5種類で、最大で毎秒30枚(※1)の画像を処理して配信できるとしている。また、ウェブサーバーには同時に100人がアクセスして画像を見ることができるとしている。

※1 実際の処理速度は画像の複雑さによって変化する。参考値としては、320×243ピクセルの画像を、画質レベル3(WebCamの設定値10段階のうち)で配信した場合、毎秒30枚の画像が可能としている。

また、WebCamは撮影した画像内を移動するもの(侵入者など)をソフトウェア処理によって検出する機能を備える。検出結果はメールによって通知することができ、監視カメラなどの用途に利用できるとしている。

WebCamは画像フォーマットとして、JPEGではなくウェーブレット(Wavelet)変換を使った独自フォーマットを使用する。再生側でも対応が必要だが、WebCamのウェブサーバーにウェブブラウザー用のプラグインソフトが用意されており、再生時には自動的にダウロードされる仕組みという。画像は1枚1枚は独立した静止画で、連続して送ることで動画を表現する。WebCamでは音声データには対応していないが、音声を送るための負荷ハードウェアも開発中という。また、WebCamのハードウェアを使い、筐体内にHDD(6GB)を搭載して画像をカメラ内に保存できる『WebCamPro』も12月末にオープンプライスで提供される予定。WebCamProの実際の販売価格は30万円程度になる見込み。

アルファ・オメガソフトによる、JPEGとウェーブレット変換の画像比較

ウェーブレット変換はJPEGで利用される離散コサイン変換(DCT)と比較して、元の情報が保存される(可逆性がある)こと、圧縮率が「JPEGの最大300パーセントと高い」(同社)という特徴がある。JPEG(DCT)に比べて画像の圧縮、伸長に複雑な計算が必要となるが、この処理を高速化するため、リアルタイム処理が可能で画像処理に最適化した“組込用リアルタイムLinux”を開発したとしている。また、この組込用Linuxではシステムのサイズを必要最小限のものとし、WebCamではシステムボードとして搭載しているCPU、ネットワーク回路、ウェブサーバー機能と共にシステム・オン・チップ化して、年内に発表する予定としている。

WebCamにアクセスして画像をウェブブラウザーで表示させたデモ。1台のWebCamにカメラを1台追加して2画面の配信が行なえる

WebCamの開発に関しては、ハードウェア、ソフトウェア共に、韓国のWeb Gate社と共同で行なったという。Web Gate社が軍事目的に開発した画像処理技術が使われているというが、Web Gate社がどのような製品で使用しているかは非公開とされた。

アルファ・オメガソフトの佐々木隆仁代表取締役社長

アルファ・オメガソフトでは、WebCamを利用したサービスとして、保育園などに設置し、親が子供の様子をいつでも見ることのできる“iSeeFamily.com”を11月末に開始するとしている。

同社では、システム・オン・チップ化したインターネット機能を持つチップを使えば「自社で新しくインターネットにアクセスするハードウェアを開発しなくても、このチップを搭載するだけで、家電などあらゆる機器をインターネット対応にすることができる」(同社の佐々木隆仁代表取締役社長)として、家電メーカーをはじめとした企業に対し、積極的に販売を行なっていくと見られる。

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