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米SendmailがIBMと提携、eServer向けに最適化したsendmailを開発へ

2000年11月08日 21時57分更新

文● 編集部 佐々木千之

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米Sendmail社は8日、都内で記者発表会を開催し、米IBM社のLinux対応サーバー“eServer”シリーズに向けに、インターネットメールの統合型アプリケーションやサービスについて、両社共同で開発、販売、流通を行なうと発表した。IBM傘下の米ロータス社のメッセージングシステム『Lotus Domino』と連携し、eServer上で統合して運用できる製品の開発を目指す。

米Sendmailは、インターネットのメールの送受信を行なうソフト(MTA:Message Transfer Agent)として広く利用されている『sendmail』を'81年に開発したエリック・オールマン(Eric Allman)氏らが'98年3月に設立した。sendmailはもともとオープンソースソフトウェアだが、企業などでsendmailを利用する場合にはパッケージ化したほうがサポートや保証の面で利用しやすいというユーザーの声を受けて、パッケージ版のsendmailを販売する目的で会社を興したもの。全世界のMTA市場におけるsendmailのシェアは、統計にもよるが60~75パーセントと圧倒している。

グレッグ・オルソン会長米Sendmail社、会長兼マーケティング&ビジネス開発担当取締役副社長のグレッグ・オルソン氏

IBMとの合意発表は、米国で7日付け、次いで日本、ヨーロッパと世界規模で行なわれたという。合意の内容は以下の通り。

  • ハードウェアプラットフォームに関するソリューション:eServer全機種を対象に、Sendmail社が提供している商用のソフトウェア(メールのルーティングを行なう『Switch 2.1』とメールのホスティングサービスが可能な『Advanced Message Server』など)の開発、販売、流通、サポートを行なう。
  • ソフトウェアソリューション:一般企業や通信事業者を対象にして、メールルーティングソフトウェア『Switch 2.1』と、ロータス社のメッセージングサーバー『Lotus Domino』を共存させ、拡張性に優れたルーティング環境を提供するソフトウェアを販売する。IBMはSendmail社製品にインスタントメッセージングサービスやチームコラボレーション機能を提供する。

発表会では、米Sendmail会長兼マーケティング&ビジネス開発担当取締役副社長のグレッグ・オルソン(Greg Olson)氏と米IBMのウェブサーバー事業部 APマーケティングマネージャーのリチャード・コールズ(Richard Coles)氏がスピーチした。

リチャード・コールズ氏米IBM社、ウェブサーバー事業部APマーケティングマネージャーのリチャード・コールズ氏

オルソン氏は「インターネットの利用が広がるにつれ、電子メールの利用数は大きく伸びてきた。今後はさまざま機器がインターネットを利用するようになるが、それらもまた電子メールを利用する。米インターナショナルデータコーポレイションによると2005年にはインターネット上で1日に350億通のメールがやりとりされるようになる。Sendmail社はIBMとの提携によって、現在のインターネットメッセージングサービスの事実上の標準という立場をより強固にしていく」と述べた。

またコールズ氏は「IBMとSendmailとの提携によって、可能になることは3つ。顧客に対して優れた電子メール機能、インスタントメッセージング機能の提供。簡単にインストールできるメッセージングシステム。不適切なメールをフィルタリングして取り除くなどのインテリジェントなメッセージングサービス。これらが統合してサービスされることで、本当にユーザー同士が接続されたすばらしい世界になる」と述べ、顧客に対するメリットを強調した。

インターネット上のMTAとしては、確かにsendmailが大きなシェアを占めているが、オープンソースのMTAではIBMが開発しオープンソース化した『Postfix』や、個人が開発した『qmail』がある。sendmailを選択した理由について、コールズ氏に尋ねたところ「顧客からの要望だ。eServerの顧客企業の多くはMTAとしてsendmailを利用しており、社内のメッセージングサービスとしてはDominoを利用している。ところがこの2つを共存させてうまく連携するのは簡単ではなく、これに対するソリューションが求められていた」という答えが返ってきた。

具体的にこの提携の成果であるソフトウェアが登場するのはいつになるのかについては、「まだ発表が終わったばかりでいつになるかは分からない」(Sendmail社リージョナルマネージャーの中村氏)としている。開発されたソフトウェアが他のハードウェア向けとしても販売されるのかといった点についても「なんともいえない」とのことであった。ただし、オルソン氏は開発されるソフトウェアについて「eServerで最大のパフォーマンスが得られるようにオプティマイズされたものになる」と発言しており、Linux全面採用をアピールしているeServerに、事実上のバンドルソフトとして提供される可能性は高いと考えられる。

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