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【WORLD PC EXPO 2000 Vol.22】インテル、モバイルプロセッサーの記者説明会を開催──モバイルCoppermineも1GHz超へ

2000年10月20日 21時26分更新

文● 編集部 佐々木千之

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インテル(株)は20日、開催中の“WORLD PC EXPO 2000”において、来日中の(Patt Gelsinger)氏による、モバイルプロセッサーに関する記者説明会を開催した。10月9~13日(米国時間)に開催された“Microprocessor Forum 2000”での発表を踏襲する内容だった。

米インテル、副社長兼CTOのパット・ゲルシンガー氏

ゲルシンガー氏によると、インテルの目標は、モバイルパソコンにおける4つのセグメント(フルサイズ、シン&ライト、ミニノートブック、サブノートブック)(※1)のそれぞれにおいて、高いパフォーマンスとベストなバッテリーライフをもたらすこと、という。特にモバイル製品においてバッテリーパフォーマンスをいかに上げていくかは、今後の傾向としてモバイル環境におけるワイヤレスネットワーク接続が進むと見られるため、いままでよりも重要になると述べた。

※1 日本では一般的に、サブノートよりミニノートの方がより小さいイメージだが、インテルのセグメントでは逆にサブノートの方がミニノートよりも小さい。

インテルが想定するモバイルパソコンにおけるマーケットセグメント。4種類に分けている。四角の中の数字は上から、内蔵するモーター数(3ならHDDとFDDとCD-ROMドライブ)、液晶ディスプレーのサイズ、厚みを示している。右のグラフは市場全体に占める数量の割合

ここでゲルシンガー氏は、それぞれのセグメントにおける今後のプロセッサーの方向性について示した。それによると、2000年から2001年前半にかけては0.18μmプロセスのモバイルPentium IIIプロセッサーだが、現在の標準電圧版(インテルの正式名称ではない)と、低電圧版に加え、さらに低い超低電圧版(正式名称ではない)のプロセッサーが予定されている。現在の低電圧版モバイルPentium IIIは、最低1.1Vで動いているが、この超低電圧版では1Vないし1V以下で動くものとなる。

各セグメントに向けて今後投入予定のプロセッサーの方向性を示す図。2002年から2003年にかけてフルサイズ向けに投入されるプロセッサー(右上の楕円)は、新世代のモバイルプロセッサーという

また、2001年後半から2002年前半にかけては製造プロセスが0.13μmプロセスに移行、そして2002年後半から2003年にかけて新世代のモバイルプロセッサーが、ハイパフォーマンスのセグメント向けに登場するとしている。

プロセッサーのアイドル時間における消費電力をいかに下げるかがカギというゲルシンガー氏。バックのグラフはプロセッサーの消費電力を時間軸で示したもの
モバイルプロセッサーのロードマップ。0.13μmプロセスの製品では、コア電圧1.35V以下で1GHz超を実現できるという

また、ゲルシンガー氏はインテルの現時点の目標はモバイルプロセッサーでのクロック1GHz超と、動作電圧1V以下で、この2つの障壁は現在のCoppermineコアのままで実現が可能と述べた。

プレゼンテーション後の質疑応答では、「モバイル環境におけるバッテリーパフォーマンスという点では、プロセッサーの占める割合は少なく、そのほかのデバイスの低消費電力化が必要では?」という質問が成された。これに対してゲルシンガー氏は、「そのとおりで、ディスプレー系統、ディスクドライブ系統、およびチップセット系統の3つに分けて考える必要がある。これまでACPIなどの取り組みを行なっているが、今後はいかに電源効率を上げるかということが問題となってきている。インテルとしては専門分野であるチップセットの開発に注力している」と答えた。モバイル向けの新しいチップセットは2001年後半以降に登場するという見通しも明らかにした。

また、「デスクトップパソコンにDDR(Double Data Rate)SDRAMを使わないのか?」という質問には、サーバー向けとしてはDDR SDRAMの展開を考えているが、デスクトップパソコン向けには、現在検討しているものの公式にはなんとも言えない。来年後半にはこの取り組みに対してなんらかの発表が行なえるだろう」と答えた。

インテルはこれまで、モバイルプロセッサーに関しての記者説明会などでは、「インテルのプロセッサーはかなり低消費電力になっており、それ以外の部分の消費電力の方が、バッテリーパフォーマンスにとってはより重要だ」という考えを再三示していた。ところが、先日のMicroprocessor Forumでは、これまで言及していなかった駆動電圧が1V以下という超低消費電力の製品計画を明らかにしている。折しもこれまでずっとインテルのモバイルプロセッサーをサブノート/ミニノート向けに採用してきた日本メーカーが、次々と米トランスメタ社のCrusoeを搭載した製品を発表している時期。インテルの主張するポイントの微妙な変化も、これと無関係であるとは思えない。

AMDの仕掛けた高クロック化戦争に製品発表を前倒しにしてまで対抗したインテルが、今度はモバイルプロセッサーで、トランスメタとの低消費電力戦争に突入するという合図にも思える。いままで日本メーカーからの低消費電力プロセッサーの要望に、応えるにしても動きは遅かったらしいインテルだが、Crusoeの登場で本気になったインテルが、どんな製品を投入してくるのか、来年はモバイルプロセッサーが面白くなりそうだ。

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