基調講演では、“パソコン+インターネットが拓くデジタル新世紀”と題し、アップルコンピュータ代表取締役社長の原田永幸氏、NECソリューションズ執行役員常務の富田克一氏、ソニーPNC ITカンパニープレジデントの木村敬治氏、東芝取締役専務の溝口哲也氏、日本IBM常務取締役の堀田一芙氏、富士通専務取締役の杉田忠靖氏、マイクロソフト代表取締役社長の阿多親市氏によるパネルディスカッションが行なわれた。
左から、アップルコンピュータ原田氏、NECソリューションズ富田氏、ソニー木村氏、東芝溝口氏、日本IBM堀田氏、富士通杉田氏、マイクロソフト阿多氏 |
パソコンの現状について
原田氏「今夏は市場が落ち込んだが一過性の問題と認識している。パソコンはもっと汎用機として発展する。ゲーム機やiモードがパソコンに取って代わることはない。iモードユーザーはパソコンの潜在ユーザーとなる」
富田氏「パソコン普及の原動力はインターネット。まだまだパソコンの普及率は低い。今後もパソコンは大きく成長していく」
木村氏「iモードユーザーの7~8割はパソコンにまだ触れていないが、彼らがよりニッチなものを求めてパソコンにくる日は近いだろう。パソコン市場は、パソコンのいろいろな利用の形をわれわれが努力して提案すればまだまだ伸びる」
溝口氏「当分は大きな成長を続けていくだろう。技術革新が激しいことでパソコン市場はますます成長する。買い替えユーザーや、iモードによりインターネットの世界に入ったユーザーが、今後のパソコン市場を大きくする原動力。PDAもパソコンの後押しをするだろう」
堀田氏「さまざまな機器を利用しながらもユーザーがパソコンに戻ってくるのは、インターネットを作る標準がパソコンだからだ」
杉田氏「インターネットは社会のインフラとなる。利用する場面によって最適なパソコン、PDAを使いこなす1人3台の時代が来る」
阿多氏「家庭における1人1台という状況までパソコン市場は進むだろう。いろいろな機器がインターネットとつながるのはいいと思うが、ただ情報を見るだけだったり、チャット程度の文を送るだけ、というのではなく、機器を利用して情報を発信するのが21世紀の姿ではないか」
iモードなど携帯電話のインターネットサービスについて
堀田氏「インターネット側からデバイス機器を見ると、IPアドレスを持っていない携帯電話のインターネットサービスは果たしてインターネットなのか。IPアドレスがないということはインターネットが持っている1対1のコンセプトが欠けているということ。また、自分で自由にプロバイダーを選べない。それがインターネット端末なのかどうかディスカッションするべきだ。インターネットはオープンなもの。オープンでないインターネット機器は頭打ちになるだろう。今後出てくる情報家電はすべてIPアドレスを持つので、コンテンツの共有が容易だ。IPアドレスを持たないユーザーと持つユーザーが今後どうやってコンテンツをシェアできるかが問題。それができればもっと繁栄できるのだが」
デジタル機器の流れについて
阿多氏「例えば携帯電話は、あの小さな画面でいいのか、クローズドな中で簡単なアプリが動くだけでいいのかという問題がある。画面は大きくないといけないだろうし、高機能なアプリも開発しなければならない。携帯電話やハンドヘルドは今後も増えていくだろうが、ただ、ブラウジングするだけのものは伸びないだろう」
杉田氏「携帯電話はインターネットの機能の一部を使っているもの。本格的に携帯電話でインターネットをやろうという人はいない。iモードを持っていればパソコンは要らないという議論は成り立たない。iモードはユーザー層を開拓していると捉えるべきだ。今後出てくる新しいデバイスはすべてインターネットにつながるだろうが、情報を発信して創造するという意味で、パソコンは中心のデバイスであり続ける」
堀田氏「携帯電話の機能が上がり、一方でノートPCが小型化することで、PDA市場は狭くなる。PDA市場は今後、PDAの新しい形を探す知恵競争となるだろう」
富田氏「パソコンは1つのインフラ。パソコンを否定するものはなく、パソコンが必須の時代になる。これまではメディアに特化した装置があった。いまはさまざまなメディアが融合し、それを再生する機器が必要となっている。その機器の中心にあるのがパソコンだ」
各社の2001年に向けての目標
原田氏「ビジネス革命を起こすリーダーシップを持つことが最終目標。常時接続を見据えたストリーミングに貢献する技術を提供する。Mac OS Xはβバージョンを土曜日から売り出す」
富田氏「ブロードバンドとモバイルの変革を社会に提供していく。モバイルは今年度の倍以上伸びるのでは」
木村氏「バイオとインターネット上のサービスをつなぐことをやっている。個人放送に注力している」
溝口氏「すべてのデジタル機器はネットワーク化される。これからは“C”(コンシューマー、カスタマー)の時代。使い勝手のいい製品を世の中に出していく」
堀田氏「ユーザーインターフェースを開発してデバイス端末を使いやすいものにし、コンテンツを各デバイスで互換性のあるものにするのが使命。サーバーは、絶対に倒れないインフラにしていく」
杉田氏「インターネットソリューションのキーワードは“いつでもどこでも”。これを実現するため、モバイルでワイヤレス接続可能な製品を提供していく」
阿多氏「インターネットビジネスを利益のあるものにするためMicrosoft.NET戦略を進めていく」