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エプソン、今度は2plで7色インク、A4でも4辺フチなし印刷――新カラリオ4機種発表

2000年10月04日 20時49分更新

文● 編集部 佐々木千之

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セイコーエプソン(株)は4日、カラーインクジェットプリンター“カラリオ”シリーズの新製品として、7色のインクを採用し、最小インク粒2pl(※1)の『Colorio PM-900C』など4機種を発表した。PM-900Cの価格は6万9800円。7日から順次発売予定。

※1 ピコリットル:1ピコリットルは1兆分の1リットル。

新機種すべてで、プリント時の色再現性を向上する“エプソン・ナチュラルフォトカラー”機能を備えるほか、現行機種で好評のロール紙に対してのフチなし印刷機能を発展させ、はがきやA4用紙でもまったく余白部分のない“4辺フチなし全面印刷”が可能となったとしている。

“カラリオ史上最高画質”のフラッグシップ機

『Colorio PM-900C』

今回の最上位機種となるPM-900Cは、A4用紙までに対応する高画質・高機能モデル。高画質のために搭載された主な技術は、エプソン・ナチュラルフォトカラー、インク粒の微細化、インクの7色化があげられる。

従来はパソコンのディスプレーで表現できる色をそのまま印刷できるよう、実際にカラリオで出力できる色でも、ディスプレーの色表現にあわせるため制限していたという。今回その制限を見直し、ディスプレーで表現できるかどうかによらず、カラリオが表現できる色の範囲を広げたという。このエプソン・ナチュラルフォトカラーにより、特に海の緑や空の青などについて、より自然な色合いで印刷できるようになったとしている。ナチュラルフォトカラーはドライバーソフトに組み込まれる形で提供されている。

画面中にある白い三角形がディスプレーで表現できる色の領域、内側の水色で示されているのがインクジェットプリンターで表現できる色の領域。今回ピンクで示された部分の色を出力するようにした

インク粒は、現行のPM-820Cでは最小4plであったものを2plに微細化し、よりなめらかな階調表現が可能になったとしている。また、これまでシアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、ライトシアン(明るいシアン)、ライトマゼンタ(明るいマゼンタ)の6色のインクを使用していたが、PM-900Cではこれにダークイエロー(暗いイエロー)を加えて7色とし、陰になった部分の粒状感を抑え、より美しい写真表現ができるようになったという。印刷解像度は最大1440×720dpiでPM-820Cと同じ。

機能面では、従来機のインクノズルがカラー、モノクロ共に48ノズルだったものを2倍の96ノズルとして、印刷速度を約2倍に速めた。幅127mmまでのロール紙へのフチなし印刷、カット紙の4辺フチなし全面印刷にも対応したほか、厚さが2.5mmまでの厚紙にも印刷可能とした。オプション(2000円)のCD-Rプリントキットを使用すれば、インクジェット対応のCD-Rメディアレーベルに直接印刷ができる。

排紙トレー上にあるのがCD-Rレーベル印刷用のオプション。2mmほどの厚さのプラスチック版でCD-Rをセットするへこみがついている

インターフェースはUSBとパラレルポートを搭載しており、ドライバーソフトはWindows 95/98/Me/2000/NT4.0およびMacintosh用が添付される。サイズは幅493×奥行き306×高さ183mmで、重さは約7.2kg。PM-900Cの価格は6万9800円で21日に発売予定。

6色インク4plのスタンダード機

『Colorio PM-880C』、『Colorio PM-3500C』は、現行機PM-820C同様、6色インク、最小インク粒4pl、48ノズルのプリンターヘッドのスタンダード機。PM-880CはA4サイズ、PM-3500CはA3ノビサイズまでの用紙に対応する。PC-900Cのような厚紙印刷/CD-Rレーベル印刷機能はないが、エプソン・ナチュラルフォトカラー、ロール紙へのフチなし印刷、カット紙への4辺フチなし印刷は行なえる。インターフェースとドライバーソフトの対応はPM-900Cに準ずる。サイズと重さはPMー880Cが幅471×奥行き290×高さ175mmで約6.0kg、PM-3500Cが幅609×奥行き311×高さ175mmで約8.4kg。価格と発売時期はPM-880Cが5万4800円で7日、PM-3500Cが7万9800円で21日にそれぞれ発売予定。

『Colorio PM-880C』
『Colorio PM-3500C』

デザインにこだわったスタイリッシュ機

『Colorio PM-780C』は、機能面ではPM-880Cからロール紙への印刷機能を省いた機種。ゆったりとした曲線を使った筐体や、青い半透明のカバーや排紙トレーなど、他の3機種とは異なるデザインとなっており、“おしゃれでスタイリッシュなデザイン”とし、女性をターゲットにしているという。

『Colorio PM-780C』

インターフェースとドライバーソフトの対応OSはPM-900Cと同じ。サイズは幅450×奥行き246×高さ182mmで重さは約4.1kg。価格は3万4800円で7日に発売予定となっている。

本日の発表により現行機種である『PM-820DC』、『PM 820C』、『PM-760C』は、価格を改定して継続販売される。新しい価格はPM-820DCが4万9800円(旧:6万4800円)、PM-820Cが4万4800円(旧:5万9800円)、PM-760Cが2万9800円(旧:3万9800円)となっている。

また、10月下旬から、ユーザーがデジタルカメラで撮影したりスキャナーで取り込んだ画像を、インターネット上のサーバーに送って、加工したり、他のユーザーに対して公開できる無料のサービス“EPSON Webプリワールド”を開始するという。

EPSON Webプリワールドでは、ユーザーがアップロードした画像を、サイト上で年賀状やクリスマスカードなどに加工する『写真をカードに GreetingCard』、ポップアップ(飛び出す)絵本やブックカバーなどのペーパークラフトに加工できる『写真で作ろう D.I.Y.』、会員登録を行なってIDとパスワードを設定し、サーバー上に画像を保存(ユーザーあたりの容量は20MB)したり、アルバムとして公開できる『写真を見せよう PhotoAlbum』といったサービスが無料で提供される。ただし、ここで作られた印刷用データは、エプソンのプリンターのみを対象としているため、他社のプリンターでは正常に出力されない場合があるとしている。

エプソン販売の降旗社長。手に持っているのはPM-900Cで印刷したCD-R

カラリオプリンターの販売を行なう、エプソン販売(株)の降旗國臣社長は、「昨年は他社に比べて、発売が遅かったが、今年は製品投入時期を2週間早めた。昨年の10~12月期は103万台のカラリオを販売したが、今年は5割り増しの150万台を目指す」と非常に強気の販売計画を明らかにした。プロモーション面では、“あったらしいカラリオ”をテーマに、CMではタレントの優香と西村雅彦を継続して起用するほか、全国2500の郵便局の窓口に、年賀はがきのプリントサンプルを置くなどとしている。

'97年のエプソン『PM-700C』以降、インクジェットプリンターの高画質化が進み、各社の上位モデルを比較しても普通のユーザーにはどちらの画質が上なのか、容易には判断できなくなっている状況がある。このような中で、2pl、7色インクなど高画質化技術を投入するだけでなく、昨年はロール紙印刷、今年は4辺フチなし印刷やCD-Rへの印刷など、どんなユーザーにもはっきりわかるメリットを持った製品投入するエプソンは、さすがはトップシェアメーカーといったところ。今回は現行機種を値下げして継続販売するということでラインアップを広げ、上級ユーザーから初心者まで、すべての層でシェアアップを目指す目論見だ。

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