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新インク採用で耐光性アップ

キヤノン、WonderBJシリーズ8機種を一挙に発表

2000年10月02日 14時21分更新

文● 編集部 小林久

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キヤノン販売(株)は、カラーインクジェットプリンターの2000年秋冬モデルを発表した。“1パス双方向印刷”に対応した新ラインナップの『WonderBJ S600』、ハイエンド・ミドルレンジクラスのA4機『WonderBJ F850/F620/F300』、ミドルレンジのA3機『同F6100』の後継モデルを含む合計8機種。いずれも20年以上の耐光性を持つ新開発インクを採用。外観をホワイトとグレーのツートンカラーで統一した。10月6日から順次出荷を開始する。

A4インクジェットプリンターの最上位機『WonderBJ F870』

発色と耐光性を重視したハイエンドモデル

PCカードスロット搭載の『WonderBJ F870PD』

“超写真高画質”を掲げた、ハイエンドモデルには、'99年10月に発表したA4モデル『WonderBJ F850』の後継機種が新たに追加された。高画質モードでの印字速度が向上した『WonderBJ F870』とF870にPCカードスロットを搭載した『同F870PD』、F850と同等の印刷性能をより低価格に提供する『同F860』の3機種。

いずれも専用紙との組み合わせで、20年以上(現在評価中)の耐光性を持つ、新開発の6色インク(BCI-3eBk/Y/M/C/PM/PC/PBk)を採用。プリンタードライバーの画質補正機能のチューニングなどによって、より鮮やかな色再現が可能になったという。4plのインク滴を1/6の濃度に薄めることで0.67pl相当に抑えた極小ドロップ、256×6色の星型ノズルを使用する同社独自のNew“MicroFine Droplet Technology”など、基本的な印刷機能は従来機を踏襲している。インターフェースはUSBまたはパラレル。

フラッグシップ機のF870は、印刷速度の向上が主な特徴。インクの吐出サイクルを1.5倍にすることで、A4用紙の印刷で約2分/枚、はがき印刷で約45秒/枚と、速度をF850に対して約50%向上させた。画質面でも1200dpiのヘッドを1/2ドットずつずらして噴射することで、最大2400×1200dpiの高解像度出力に対応。従来33段階程度だった階調表現が49段階程度に向上した。同時にドラフトモードでのドット数を4倍に増やすことで、ウェブ画面などを、画質を損なわず、高速に印刷できるようにした。また、動作音は37dBと図書館(約45dB)を上回る静けさとなった。

価格はF870が5万9800円、F870PDが6万9800円、F860が5万4800円。出荷はF870が10月6日、F860が11月上旬、F870PDが12月上旬を予定している。

新開発ヘッドで高速印刷に対応

今回新たに追加された『WonderBJ Sシリーズ』は、4色インクを採用したハイスピードモデル。シリーズ名の“S”は、“Speed(速度)”と21世紀の“Standard(標準)”を意味する。

同シリーズに追加されたA4プリンターの『WonderBJ S600』は、往路/復路の両方で印刷することで、印字速度を倍速化する“1パス双方向印刷”方式を採用。合計1088本の多ノズルヘッド(※1)を搭載し、1秒間当たりの吐出回数を最大1200万発、給紙速度を従来比1.7倍の毎秒10インチとすることで、モノクロモードで最大15枚/分、カラー高品位モードで最大8枚/分の高速印刷に対応した。

※1 シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色128×2、黒(K)160×2の合計1088ノズル。

また、印字ヘッドのノズルを、各色2組ずつ対称に配置することで、往路/復路での着弾順序を同一とした。これにより、打ち込み順序の差で色の違いが生じる従来の問題点を改善したという(図1)。同社独自のNew“MicroFine Droplet Technology”の採用やキャリッジ方向のドット数を1/2間隔にすることで最大水平解像度を2400dpiに向上させるなど、ヘッド機構は6色インクを採用した上位モデル『F870』とほぼ同等。インクには他機種同様、専用紙との併用で20年以上の耐光性が得られる新開発インク(BCI-3eY/M/C/Bk)を採用した。ただし、インク滴は5plとF860/870の4plに比べやや大きい。

2パス印刷では往路復路の双方向で印字するため、CMYの1組ずつのノズルを用意しただけでは往路でC→M→Y、復路でY→M→Cの順番でインクを噴射することになる。この場合、CとMの順番で噴射した場合とMとCの順番で噴射した場合では、紙の吸収の関係で色合いが異なる。そこで、S600シリーズでは、CMYの各色につき2組ずつのノズルを用意し、CMYYMCの順番に配置。往路復路ともに同じ順番でインクを噴射できるようにした

解像度は最大2400×1200dpiで、インターフェースはUSB/パラレル。価格は4万9800円で、11月上旬に発売する。

ミドルレンジモデルはより低価格に

バイオカラーを採用した『WonderBJ F660V』

A4用紙に対応したミドルレンジモデルの『WonderBJ F660』と『同F360』、同じくA3用紙に対応した『同F6600』は、それぞれ『WonderBJ F620』、『同300』、『同F6100』の後継となる製品。基本性能は従来機と同等で、新インクへの対応とカラーリングの変更が主な変更点となる。また、F660には薄紫のカラーリングを採用した『F660V』を用意し、ソニー(株)の『バイオシリーズ』と親和性の高い特別モデルとして同社の通販サイト“SonyStyle.com”などで販売する(限定3万台)。

主な仕様は解像度が1440×720ドット、インターフェースがUSBまたはパラレル。印字速度はF660がモノクロ毎分10枚/カラー7枚、F360とF6600がモノクロ9枚/カラー4枚。価格はF660が4万4800円、F360が3万9800円、F6600が6万9800円。F660Vが4万6800円。10月6日に出荷を開始する。

普及価格帯の『WonderBJ F360』

なお、F660とF360対応のドライバーはソニー(株)、富士通(株)、コンパックコンピュータ(株)などの2000年冬モデルにプリインストールされる。

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