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“ロボットテクノプラザ2000”開催

2000年09月29日 17時52分更新

文● 浅野純也

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26日~28日にかけて東京/有明の東京ビッグサイトで、さまざまな分野の新技術を展示する“国際新技術フェア2000”が開催されている。その会場の一角で(社)日本ロボット工業会と日刊工業新聞社の主催による“ロボットテクノプラザ2000”という特別展示が行なわれている。ロボット技術の可能性をアピールするとともに、研究者同士の技術交流を目的したもので、15の企業/団体/大学が出展しており、さまざまなタイプのロボットが集められた。

実用ロボットからコンシューマー向けロボットまで

昨年の展示(隔年開催の“国際ロボット展”で同様の展示があった)との違いは、(株)タカラと(株)バンダイというコンシューマー向けメーカーの展示がお目見えした点だろう。大学などの研究/実用目的でのロボット開発が多い中で異色ではあるが、ロボットがより身近になりつつある証明とも言える。

タカラは発売中の水中生物型ロボット『アクアロイド』を展示、バンダイも先行発売済みの昆虫型ロボット『ワンダーボーグ』を展示したが、ワンダーボーグはオプションコネクター(今後別売されるアタッチメントを制御するポート)にBB弾やミサイル発射装置を搭載したモデルが登場。外部センサーに反応してトリガーを引くというプログラムが搭載されている。また、アニメキャラクターのプラモデルにワンダーボーグのメカを内蔵したプロトタイプを並べるなど、バンダイらしい展示だった。これらは先日のゲームショウと同じ展示だが、他ブースと比べると異彩を放っているといえよう。

バンダイはワンダーボーグを展示。また背中に背負った武器を発射できる改造例が展示された
奥に見えるガンタンク型ロボットは、ワンダーボーグを内蔵したもの
タカラは発売されたばかりのアクアロイドを展示した
介護用のパワーアシストを目的にした『ヒューマンアシストロボット』。パワードスーツ的なコンセプト。電通大の展示
照明設備のメンテナンスロボット。ポールを上がって照明部分を交換することができる。電通大の展示
科学技術庁理化学研究所はRoboCup2000にエントリーした中型ロボットを展示した
(株)東芝の水中点検ロボット。カメラを搭載した移動体をリモコン操作して原子炉内部などを点検する。マニピュレーターなどのアタッチメントを搭載することも可能。20cm程度の大きさ
文部省宇宙科学研究所は衛星の太陽電池パネルを展開する構造を展示。写真の折り畳まれた状態から3m以上に展開できる(写真2)。写真3の右下に折り曲げた紙があるが、この“折り紙”がもともとのアイデア。一方向だけに引っ張ることで簡単に展開できる
写真2。3m以上に展開したもの
写真3。右下にあるのが“折り紙”
同じく宇宙研の小天体探査ロボット『ミネルバ』。小惑星やすい星などの天体の地表面の探査を想定している。重力の少ない地表面をバウンドすることで移動する仕組み
千葉大学の6足地雷探知ロボット。光センサーや超音波センサーなど複数のセンサーを搭載、地雷原を移動する。自律的に動くラジコンヘリコプターも展示され、両ロボットが連携して地雷を探知するコンセプトが紹介されていた

エンターテインメント向けロボットに関するフォーラムも開催

また同じ主催者による“エンターテインメントロボットフォーラム2000”がビッグサイト内の会議室で27日に開催された。ロボット産業の中でも特にアミューズメント分野を対象にしたフォーラムで、昨年に続き開催されたものだ。この分野におけるロボット産業の育成振興が目的で、4つの講演が行なわれた。

最初の講演は、ソニー(株)の『AIBO』の実質的な生みの親でもある同社デジタルクリエーチャーズラボラトリーシステムアーキテクト主幹研究員の藤田雅博氏による“RoboCup2000メルボルン報告”。ちょうど1ヵ月前にオーストラリアで開催された“RoboCup2000”の世界大会の様子、特にプロトタイプのAIBOを使った4脚ロボットリーグが取り上げられた。

このリーグは、市販品とほぼ同じ3体のプロトタイプAIBOを使って試合をするもの。ハードウェアの変更は禁止されており、ソニーが提供するプログラミングツールを利用し、各チームのソフトウェア技術だけで対戦する。

'98年や'99年の大会に比べリーグ全体のレベルが上がり、AIBOがボールを確実に認識できるようになったこと、音を使った敵味方の認識などの技術進化があったことなどが紹介された。中でも優勝したオーストラリアチームは確実な認識のもと、AIBOがボールとゴールの位置を見て回り込んだり、味方AIBOがボールをキープしているときは、音でコミュニケートしてチームメイトは手を出さないなど、高度なプレーを披露したという。

RoboCup2000でデモされたヒューマノイドロボット。よちよちと歩く姿がビデオで紹介された

続く講演は、通商産業省工業技術院機械技術研究所ロボット工学部バイオロボティクス研究室主任研究官の柴田崇徳氏による“人の心を豊かにするメンタルコミットロボット”。同氏は、触れることでコミュニケートするアザラシ型ロボットやネコ型ロボットを研究/開発しており、こうした動物を模したロボットに対して、利用者がそれぞれの主観的な解釈によって、楽しみや安らぎなどの確実な効果を得られることを紹介した。

機械研究所が開発した動物型ロボット。いろいろなイベントに登場している

3つ目の講演はタカラのライフカルチャー事業部フューチャーライフ課統括マネージャの竹内オサム氏。かつて販売した『じたばたゴマちゃん』という、声に反応するオモチャを紹介し、この製品がヒットした理由は、センサーやメカを入れたことではなく“呼んでごらんよ”という宣伝コピーにあったと話した。そして最新の音声認識装置を持つ『メダロット魂』を紹介した。これは腕時計型のコマンダーに声で命令すると、ロボットがさまざまなアクションをするオモチャで、動いたり武器を発射したりする。音声認識の秘密は、長い音と短い音の組み合わせという単純なものだが、子供にはリアリティーのある仕組みにみえるらしい。

最後の講演は、(株)富士通研究所ペリフェラルシステム研究所自律システム研究部主任研究員の安川裕介氏。富士通が発売している『タッチおじさん』や『キティちゃん』をかたどった周辺機器(メールの着信やコマンドによって簡単な動きをするロボット)と、それにインターネットを組み合わせてコミュニケーションが広がる様子を紹介した。製品としては価格も安く単純なものだが、実際に手で触れたり、ロボットのカラダが動くのを見たりすることで、パソコン単体とは違う、新しい形態のインターフェイスであること、そしてネットを介することでまた違ったコミュニケーション(例えば、チャットの単語にあわせてロボットが動くなど)ができたことなどが報告された。

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