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テレビ朝日、日本初の完全インターネット連動番組を開始

2000年09月26日 23時42分更新

文● 根岸智幸

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テレビ朝日は日本で始めての本格的にWebサイトと連動したネット情報バラエティ番組「ねっとパラダイス」を10月7日にスタートする。

ねっとパラダイスのWebサイト

ねっとパラダイスは、「今週のITニュース」、「初心者指南・ネットトラブル救済」、「こんなことを実現してみたい--ネット実験企画」を3本の柱とする、インターネットを中心にした30分のIT情報バラエティ番組。経済ジャーナリストの財部誠一氏とタレントの麻木久仁子氏をキャスターに据え、硬軟とりまぜたネット関連の話題を提供していく。

最大の特徴は、番組専用のWebページを使って、視聴者への情報提供と視聴者からの情報収集と積極的に行なうこと。このWebサイトは1ヵ月前からプレオープンしており、「すでに『出演者の血液型にB型が多くて大丈夫か」と心配してくれている視聴者もいる(笑)。今後は一種の企画会議の場のようにしていきたい」(編成部副部長 古川柳子氏)と、Webサイトが番組に対して重要な位置を占めることを強調した。

また、現在メールマガジンを週2回(火、金)配信しており、さらにYahoo!、goo、Infoseek、Lycos、exciteの5大ポータルサイトと協力関係を結び「将来は(ねっとパラダイスの)Webサイトから5大ポータルを検索できるようにするなど、一種の初心者向けポータルにしていけたら、と考えている」(同上)と、Webサイト運営に対する意欲をしめした。

以下は各出演者が語ったいきごみ。

財部誠一氏(経済ジャーナリスト)

過去100年間、経済記者の取材先はロンドンとニューヨークしかなかった。しかし、現在はサンフランシスコにも行かないと取材にならない。
かつては、シリコンバレーのベンチャーが株式上場するためには、ニューヨークに行って田舎モノ扱いされなければならなかった。しかし最近は、多くのインターネット証券会社がサンフランシスコに設立され、それも証券の中心地ロンドンとニューヨークから離れた場所で大きな量の取引を扱い、上場を行える規模に成長している。もうシリコンバレーからニューヨークへ行く必要はなくなった。
このように、IT革命とはITを道具にした、社会のさまざまな局面における革命だ。そこには過去とは違う人と人のありかた、人と会社のありかたがある。
また、これからの時代は、インターネットというツールを使うことで、人と同じ生き方--いい大学にいい会社に行く必要がなくなるかもしれない。
この番組ではIT化をした人間の生活実感や風景がどう変わったかを伝えたい。

麻木久仁子(タレント)

IT革命というけど、それは産業界やそれで商売している人たちが言っていることです。ようやく携帯電話の留守電を使えるような人にとって、ITを使うことでなにか楽しいことがあるのか?
政府のIT講習券は廃案になったようですが、パソコンが使えないことは読み書きできないことと一緒だという言い方は脅迫に近い。
この番組では、ITを使うと何が楽しいのかということを、ようやくメールが使えるようになった私が伝えていきたい。
日本の各地に職人芸を持っている人たちがいたり、地域の人と人のつながりがある。そんななかにITがどう役だっていくのか? パソコンを使いこなせない私が楽しいと思えないITなんてしらん! ぐらいのつもりでやっていきたい。「ダブルクリックってなに」という私の母のような人が恩恵をうけられるようになるべきだと思う

加藤明日美(タレント・10代代表)

iモードでメールを送ったり、着メロをダウンロードをしたことはありますが、その先になにがあるかはまだわかっていません。経済なんてわからないし、その先にあることを勉強したい。

関秀章(放送作家)

アデレードで日本対アメリカのサッカーを見てきました。オーストラリアでは、オリンピックの放送は1チャンネルしか放映されていない。日本人の留学生が「ヤワラちゃんを見ようとしたら、馬術をやってて見れませんでした」と言っている。だから、みんなインターネットを通してオリンピックの結果を知る。また、篠原選手の疑惑の審判にしても、昔は視聴者が電話で抗議していたけど、今はメールで国際柔道連盟に抗議している。再来年には、税金もインターネットで払えるようになる。
そこで、自分が重要だと思ったことを「勝手にランキング」で順位を付けて紹介して、財部さんに解説してもらいたい。
日本の総理大臣とか紅白もヒットチャートも、インターネットで投票すればもっとよくなるのではないか。
森総理もパソコンを勉強しているいうので、目標は森さんとメル友になること。

それぞれの思いを熱く語る出演者たち(右から財部誠一、麻木久仁子、加藤明日美、関秀章の各氏)

既存マスメディアとインターネットのメディアミックスが進むなか、ラジオなどでは生放送とWebのアンケートなどを連動させた番組が増えている。これに対してテレビ番組では、バラエティの企画ものや地味な解説ものが多く、インターネットを使って視聴者と深く関わっていくスタイルの情報バラエティというのは確かにいままでなかった。

テレビという巨大マスメディアが、インターネットによって情報発信の手段をもった視聴者と正面から向き合ったとき、何が起きるのか? 今後の展開を興味深く見守りたい。

番組は10月7日スタート 毎週土曜日 18:28~18:58

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