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【IDF-J 2000 Fall レポート Vol.1】基調講演でのPentium 4デモは1.4GHz

2000年09月19日 21時20分更新

文● 編集部 佐々木千之

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インテル(株)の開発者向け技術カンファレンス“インテル・デベロッパ・フォーラム 2000 Fall Japan”(以下IDF-J 2000 Fall)が18日から20日までの3日間、都内のホテルで開催されている。IDFは米国と日本のほかに、ヨーロッパとアジアでも開催されており、今年は英国、フランス、ドイツ、台湾、中国で開催されている。もともとはその名の通り、技術者のみを対象にしていたが、最近は大勢のプレス関係者やアナリストも集めて、インテルのテクノロジーをアピールする場ともなっており、プライベートショーのような側面も持つ。日本では'98年の秋から始まり、5回目の開催となる今回は、約2500人の技術者が参加するとしている。

IDF-J 2000 Fall 2日目の今日は米インテルの副社長2人による基調講演が行なわれ、Itaniumを16基搭載したサーバーやPentium 4-1.4GHz機のデモを行なった。

インテル、代表取締役社長のジョン・アントン(John Antone)氏。少なくとも今後数年間は日本で年2回開催を続けるという

e-ビジネスという津波には乗るか呑まれるか2つに1つ

米インテル、IA事業本部副社長兼IAソリューションズ推進事業部長のウイリアム・A・スウォープ氏

基調講演のトップバッターは、米インテル社のインテル・アーキテクチャ事業本部副社長兼インテル・アーキテクチャ・ソリューションズ推進事業部長のウイリアム・A・スウォープ(William A.Swope)氏。“ネットが変わる、ネットが変える”というテーマで、急速に進む“e-ビジネス化”の波に乗っていくためにインテルが協力できることは何かを語った。講演の要旨は以下の通り。

「インターネットでの取引などe-ビジネスを通じた商取引は、2005年には米国で70兆ドル(約7500兆円)規模にまで大きくなり全取引の10パーセントを占めるまでに成長するという見通しがなされている。これはたいへん大きな割合だ。米国に次いでIT関連投資が盛んな日本でもほぼ同様の動きとなるだろう。今後5年でこうした状況になるのならば、今は100パーセントe-ビジネスのことを考えなくてはならない」

「従来は評価基準であった、標準品、決まった販売経路と顧客、国内や近隣諸国および同業者との競争、品質による差別化は、e-ビジネスではマス・パーソナライゼーション、多様な販売経路と顧客、全世界全業種との競争、スピードによる差別化、に取って代わられている。この津波には乗るか呑まれるか2つに1つしかない。インテルは皆さんがこの波に乗るための手助けができる」

「インテルは提供しているアーキテクチャーのさらなる改善を目指し、“オープン・ソース・デベロップメント・ラボ”(※1)や“ピア・ツー・ピア・ワーキンググループ”(※2)といった団体に協力していく。また、携帯電話やインターネットアプライアンスといった、いつでもどこでもインターネットに接続できる機器やサービスのサポートを行なっていく」

※1 Linux関連企業やコミュニティーの支援と、協賛企業の出資により開設された、独立した研究機関。http://www.OpenSource.org/

※2 コンピューター同士が直接更新を通じてデータやサービスを交換可能にする技術がピア・ツー・ピア。ビジネス環境を対象としたピア・ツー・ピア・コンピューティングで求められる標準技術の研究を行なうグループ。http://www.Peer-to-PeerWG.org/

MicroATX筐体のPentium 4機をデモ

米インテル、IA事業本部副社長兼IAマーケティングディレクタのアナンド・チャンドラシーカ氏

スウォープ氏に続いて壇上に上った、米インテルのインテル・アーキテクチャ事業本部副社長兼インテル・アーキテクチャ・マーケティングディレクタのアナンド・チャンドラシーカ(Anand Chandrasekher)氏は、インテルアーキテクチャーの最新動向として、Itaniumサーバー、Pentium 4搭載パソコン、モバイルPentium IIIを使ったデモを行なった。

最初に登場したのは、日本電気のItaniumプロセッサー16基を搭載する“AzusA(あずさ)”。16GBのメモリーと56GBのHDDを搭載しており、64bit版Windows 2000 Serverと64bit版SQL Serverを使って、世界中の衛星写真データを提供するウェブサーバー“TerraServer”を動作させた。その上で、そのシステムに対し数1000人のアクセスをエミュレーションするストレステストを行ない、パフォーマンスが落ちないことをアピールした。

壇上で稼働していた日本電気のAzusA
AzusAで稼働する16基のItaniumの使用状況
TerraServerにアクセスしているところ

次にPentium 4を搭載した、MicroATX筐体のパソコンが登場、8月に開催された米IDFの基調講演でも行なわれた、池の水面をクリックするとさざ波が広がる様をリアルタイムに計算しながら表示する、というデモが行なわれた。ここで使われたPentium 4は1.4GHzで動作していた。Pentium 4では2GHzまで徐々にクロックアップするというデモも行なわれるのではと期待したが、残念ながらこれだけに終わった。

Pentium 4のコア上のブロック配置
マウスカーソルでクリックすると水面にさざ波が立つ。グラフィックアクセラレーターは米NVIDIA社のGeForce2
MicroATX筐体のPentium 4マシン。

最後に行なわれたのは、低電圧版のSpeedStepテクノロジ搭載モバイルPentium IIIを載せたノートパソコンで、DVDビデオ再生を行なったり、オフィスアプリケーションを動作させるデモ。「一般に消費電力が高いといわれるDVDビデオの再生においても、実際の消費電力は2W強と0.5W以下を往復するような状態で、平均すると1.8W程度だ」また、「最近の小型のノートパソコンにおいては、もはや全体の消費電力に占めるプロセッサーの割合はわずか」と、モバイルPentium IIIでも十分低消費電力だとアピールした。

1月に発表された米トランスメタ社のx86互換プロセッサー『Crusoe』が低消費電力を売り文句に、インテルプロセッサーよりもずっとバッテリー寿命の長いパソコンが実現できるとしており、こうしたデモの背景には、インテルのプロセッサーは処理能力は高いが消費電力も大きいというイメージが定着するのを避けたいという意識があると思われる。

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