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【週刊京都経済特約】デジタルアクト、独自画像チップ実用化へ。動画像圧縮 効率数十倍

2000年09月19日 16時51分更新

文● 週刊京都経済

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動画像圧縮技術を専門とするベンチャー企業のデジタルアクト(京都市中京区河原町二条下ル、斉藤和久社長)は、独自の動画像圧縮チップの実用化に乗り出した。

米国の発明家が開発したアルゴリズム(核となるデータ処理手順)をもとに、従来の一般的な動画像圧縮技術に比べて数倍から数十倍の効率で動画像を取り扱うことができる半導体チップを開発した。大手家電メーカーや電子機器メーカーなどと共同で最先端IT(インフォメーションテクノロジー)機器の商品化を進める。

デジタルアクトの斉藤社長は、京都初の本格的なデジタルコンテンツスタジオを手がけたベンチャー企業カプリシオソの元社長。東京に本拠を置く有力ソフトウエア会社のキャディックス(CADIX、東京都世田谷区、小野雅一社長)にカプリシオソの事業を譲渡、'99年11月に会社を清算後、デジタルアクトの立ち上げ作業を進めてきた。

斎藤デジタルアクト社長
 

同社のコア技術は米国カリフォルニア在住の発明家、ジョン・ミュージック氏が発明した“動画像圧縮伝送技術”。デジタル動画像をリアルタイムに圧縮伸張できるため、次世代IT機器に最も適したテクノロジーとして利用できる。

ミュージック氏からの技術導入によって国内の半導体開発会社が'90年代半ばから専用チップの開発を進めていたが、実用化に至っていなかった。このため、生活密着型製品のプロデューサーとして実績がある斉藤氏を担ぐ形で関係者が'99年12月に会社を設立。体制整備を終えてこの8月から本格的な事業化に着手したという。

顧問としてミュージック氏のほか、アスキー創設者で現在取締役の西和彦氏が個人の立場でアドバイザーとして参画している。

デジタルアクトによると、コア技術(製品名『DAVID(ダビッド)』)は「暗号化のための計算式が圧倒的に小さくシンプル」(同社)なため、動画像を処理する速度が速いほか、回路を単純にでき、消費電力を少なくすることができる。

動画像の圧縮伸張技術の国際標準として最も一般的なMPEG4を利用する場合に比べて数分の1の価格で実用レベルの機器を量産することができるという。

現在複数の大手企業に対して技術供与し、DAVID(ダビッド)半導体を搭載した商品の共同開発を進めている。同社によると、この秋以降半導体や回路製品の生産を始め、来年には末端製品が市場に出るという。

今後ベンチャーキャピタルなどから約3億円を調達し、開発力強化を図る方針。

斉藤社長は「技術を売り物にする会社ではなく、技術を基盤にして新しいアイデアを売る会社に育てたい」と話している。

※記事の転載にあたっては、外来語の表記など用字用語の一部のみをASCII24の表記に合わせて書き換えた。その他はすべて原文のまま。

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