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メタ電子透かし”技術を応用した製品など―Content Management Forum 2000より(展示編)

2000年09月07日 13時03分更新

文● 千葉英寿

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デジタルコンテンツに関する著作権保護システムの策定を進める産学共同プロジェクトであるコンテンツIDフォーラム(以下、cIDf)は5日、6日の両日、(株)IDGジャパンとの共同主催により“Content Management Forum 2000(コンテンツ・マネージメント・フォーラム)”を、東京ファッションタウン・TFTホールにおいて開催した。

cIDfが提唱、標準化を推進しているネットワーク流通におけるデジタルコンテンツの著作権管理技術である“コンテンツID”を中心に、デジタルコンテンツの配信システムや著作権管理技術、それに関わるビジネス戦略に関するコンファレンスと展示が行なわれた。本稿では展示内容を中心に報告する。

展示会場では、デジタルコンテンツの管理や流通システム、著作権保護技術などが紹介されていた。

“メタ電子透かし”の技術を応用した製品を展示

日立製作所では、安田浩cIDf会長の講演にも登場してきた“メタ電子透かし”の技術を紹介。電子透かしにおける課題は、扱うファイルフォーマットや透かし方式の多様化により、複数の透かし方式に対応しなければならない状況に変化してきた。そのために検出時にどの透かし方式を利用しているのか分からないということがあった。この解決方法として、実際にコンテンツIDを埋め込む“実透かし”と実透かしの種別を埋め込む“メタ電子透かし”の二階層方式で透かしを行なう。

さらにこの方式にも課題が残されている。現状のさまざまな実透かしや今後、出てくる実透かしの新方式に対応するとともに、それらに干渉しないような工夫が必要だという。このようにメタ電子透かしは、一方式を標準とすることが不可欠だが、それゆえに開発の難しいところでもあるといえるだろう。

この他、携帯電話を使った音楽配信システム『ケータイ de ミュージック』に採用したコンテンツ保護機能付きのマルチメディアカード『ケータイ de ミュージック・マルチメディアカード』を出品していた。

ケータイ de ミュージック・マルチメディアカードでは、ライセンスとコンテンツを分離して配信することにより、配信効率を上げ、ダウンロード端末である携帯電話側には暗号処理機能が不要でシンプルな設計が可能となる。この試みは、まもなく実証実験に入り、年内にはサービスを開始したい、ということだ。

日立製作所が出品していたコンテンツ保護機能付きのマルチメディアカードの『ケータイ de ミュージック・マルチメディアカード』。本年度中のサービス開始を検討しているという

デジカメでIDを埋め込む技術なども紹介

NTT西日本のブースでは、開発中の著作権保護技術やシステムを参考展示していた。

NTT西日本のブース。著作権保護技術やシステムのを参考展示

『CIDネットワークコピーマネージャー』は、ID付きのドキュメントとコンテンツID対応コピー機を使うことでコンテンツの復元を行なうもの。これは、破れてしまったり、汚れてしまった文書などで利用できる。文書に埋め込まれているIDをスキャナーで読みとり、PCにインストールされた“ネットワークコピーマネージャー”からID管理センターへIDの問い合わせを行なう。センターからオリジナルのコンテンツ・データと管理情報を取り寄せ、これを印刷することで、コンテンツの復元を可能にするものだ。ブースでは、エプソンのデスクトップ型のカラーコピーを使ってデモンストレーションを行なっていた。

『コンテンツIDメーカー for デジカメ』は、デジタルカメラで撮影した画像を読み込んで電子透かしでIDを埋め込み、自動的にID管理センターへ管理情報を登録するというもの。IDが埋め込まれ画像は、印刷してもIDを認識することができる。電子透かしを書き込むことで、わずかだが画質自体に劣化を生じさせることになるが、実際には人間には識別できないレベルなので、実質的な問題はない、という。

コンテンツIDメーカー for デジカメは、自分が撮影した画像をID登録するものだが、『電子透かし読み取りカメラ』は、IDを埋め込んだ印刷物をデジタルカメラやデジタルビデオカメラ、スキャナーで撮影することで、管理情報を問い合わせることができる、というもの。デジタルビデオカメラをPCに接続して、印刷物のアナログ画像からコンテンツIDを読み取る。それを使ってID管理センターに管理情報の問い合わせ、コンテンツデータの電子モールのようなサービスプロバイダーから、アナログ画像のデジタル・データを提供してもらう、といったサービスが成り立つ。他にも同様に広告ページの画像を撮影することで、PCで関連のウェブを表示する、といった活用方法も可能になる。

この他に、さまざな形式のコンテンツをサーバーに自動分配し、検索、管理を容易にするマルチメディア・インテグレーションシステム『Video Data Bank』が紹介されていた。Video Data Bankは、MPEG1/2、MPEG複合コンテンツ(SmarTVod)、RealVideo/RealAudio(RealServer)などの動画やSMIL複合コンテンツ(RealServer)、さらにFlashPix、JPEG、GIF、PDFといった業界標準のデータ形式の各種コンテンツに対応し、Excelなどの表計算ソフトを使って、大量のコンテンツを一括して登録できる。

さらにこのVideo Data Bankに対応したSMILオーサリングツール『SMIL Editor 1.0』も同時に紹介されていた。SMILは、Synchronized Multimedia Integration Languageの略で、W3Cにおいて勧告されたマルチメディア・プレゼンテーションのレイアウトを行なうための言語だ。

ユーザー側の常駐ソフトからも不正コンテンツを監視

またNTT東日本のブースでは、NTTサイバーソリューション研究所が開発中のデジタルコンテンツの不正利用サイトを検出する『TellTails』が参考出品されていた。

NTT東日本、NTT西日本ともに、NTTサイバーソリューション研究所などで開発中の著作権保護技術などを参考出展していた

TellTailsは、ウェブ利用者協力型の不正利用監視システムである。著作権管理センターが正規に配布したコンテンツが不正利用された場合、ユーザーの利用端末の閲覧ソフトに常駐したID抽出ソフトが、不正情報を検出するというもの。専用ソフトで抽出されたIDを照合し、著作権管理センターに著作権情報を取い合わせることで、不正コピーと不正利用を発見できる。このシステムによって、不正利用サイトに対して著作権管理センターが警告を発して、コンテンツの不正利用を抑止できる、というわけだ。

利用者協力型不正利用監視システム『TellTails』

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