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【Seybold San Francisco 2000 Vol.6】インターネットと結びついた、Eastman Kodakの7つのデジタルイメージング技術

2000年09月01日 17時21分更新

文● 水無月 実

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今回のレポートはSeybold Seminars San Franciscoの初日(8月28日)に行なわれた “LunchTime Keynote”からである。

LunchTime Keynoteを司会するSeybold Seminarsのプログラム・ディレクターThad McIlory氏

このキーノートに登場したのは、Eastman KodakのPresident&CEOであるDaniel Carp氏。Daniel Carp氏はEastman Kodak社の中でデジタルカメラやブロードバンド、ワイヤレス・ネットワークを使った新しいイメージデバイスなど、フォトグラフの分野で写真を中心とした新技術、新製品の開発に携わってきた。今回は社長として、同社が持っているビジョン“Kodak's Seven Wonders of the New Digital Imaging World”について語った。

LunchTime Keynoteで講演するEastman Kodak社の新社長Daniel Carp氏

デジタルイメージングデータの管理はどう進化するのか?

“メタデータ”とは写真に付属的に持たせるデータのこと。ここでは画像を構成しているピクセル以外に、その写真を撮影したデジタルカメラの機種、撮影者の名前、撮影条件などの付属的な情報を持たせることである。これらを合わせてメタデータとして、いつ、どこで、誰が、何を、なぜという(5W)のデータを持たせることを考えている。メタデータとしては、それ以外にカラーマネージメントに関する情報を持たせることも有効である。今後、カラーマネージメントは不可欠になるので、この情報を写真に付属させることが重要となる。

“Interavtive Content Imaging”の開発は面白い。将来的には音声と映像、キャプションが付いたフォトアルバムが家庭に現われる。1つの写真に属性データとして、音声と映像、キャプション(文字情報)が付属されている。これらの属性情報は写真と同時にいつも表示させておくこともできるが、いつもは非表示にしておき、必要に応じてそれぞれの属性データを見られる。もちろん、これらの属性データは写真と同時に他のアプリケーションにコピーできる。将来は写真と画像、音声、動画が一体化して、1つのコンテンツになるだろう。

ここでもう1つ、同社が持つデジタル技術、デジタル製品が紹介された。PDA(Personal Digital Assistant)の1つであるが、従来の液晶LCDよりも明るく、色再現の正確なOLEDである。このパネルはEastman Kodak社が開発を進めているという。

データを蓄積するためのメモリー(保存媒体)の価格もどんどん安くなっている。しかし、イメージのマネージメント(管理)は複雑なままである。コンテンツの分析と管理は重要である。Eastman Kodak社は自社が持っていた画像データベース『Shoebox』をマルチメディア対応のShoeboxに発展させる。イメージのマネージメント行なうソフトウェアは、このデジタルShoeboxに蓄積された写真画像全体を分析し、コンテンツに従った分野に分け、これをカテゴリーごとに分類する。

Eastman Kodak社の新社長(右)Daniel Carp氏とその紹介者

電子透かし3Dイメージ表示などE-commerceのための技術も

Eastman Kodak社はオンラインでの写真の権利(Copyright)活用も考えている。 Web上ではFileswap.comやiMesh.comがインターネットを通じて、APやWashington Post紙が掲載した写真のオリジナルを検索できるようにしている。このように、法的な整備が進めば、デジタル化された写真もオンライン上の音楽やビデオのように、それを販売することもできるようになる。写真の所有者が大きな市場をつかむことも可能だという。

同社ではそのために写真の権利(Copyright)を守る電子透かし(Digital Watermark)の開発を進めている。現在開発している電子透かしは、外見上は見えないがスキャニングすると現われる。また、コピーした場合には、ブロック状のデジタルノイズが現われる。この電子透かしは見えないが、認識と検索はできる。また、写真を圧縮したり、画像処理で変形させても問題がない。

Eastman Kodak社はこれから盛んになるE-commerceのための技術として、3Dイメージの開発も進めている。E-commerceのためには、商品をあらゆる角度から見ることが必要であり、この技術は不可欠である。デモンストレーションでは、3Dで表現されたボトルが回転する、ボトルの底が見えるなどはもちろんのこと、ボトルの中に入っていき、ボトルの中から見るという表現も可能になっていた。もちろん、これはデジタルカメラでボトルを回転させながら撮影した画像をソフトウェアで処理して制作したものである。この3Dイメージ画像もその容量は200KBにも及ばない。そこで、Webでの活用が期待される。また、マルチメディア対応のデータベースに蓄積しても負担にならない。

新しいデジタルプリントサービス“View OnDemand”の展開

Drupa 2000でも紹介されたが、『Nexpress 2100』はデジタルカメラで撮影された写真をプリントするために重要な製品である。このNexpress 2100は両面印刷が可能で、その品質はオフセット印刷機並みである。また、デジタル印刷機なので、印刷時に個別対応でのカスタマイズが可能だ。Nexpress 2100はすでに大手企業が発行する雑誌の制作に使われている。ここではインターネットで発信した情報を雑誌にも印刷するので、インターネット・ホームページと、印刷物をつなぐ接点として期待されている。

Eastman Kodak社はケーブルテレビジョンを新しいビジネスのチャンスとして捉えている。それは、これからのホームショッピングが家庭につながるケーブルテレビジョンで行なわれるからである。同社はケーブルテレビジョンにコダックチャンネルを設け、そこで家庭からのプリントサービスを受け付ける。それ以外にも、ケーブルテレビジョンとデジタルカメラ、WebTVを組み合わせた“View OnDemand”サービスも計画されている。ここではビジュアルコンテンツをキャプチャー、共有、保存する企画が考えられている。コダックチャンネルは近日公開される

会場でのコダックブース、プロ用デジタルカメラの製品ラインナップが充実していた

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