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【Seybold San Francisco 2000 Vol.5】Adobe Photoshop 6.0とMacOS Xを紹介!! Special Expo Opening Keynoteより

2000年08月31日 13時47分更新

文● 水無月 実

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8月29日のSeybold Seminars San Franciscoの目玉は、アップルコンピュータのCEOであるSスティーブ・ジョブズ氏の“Special Expo Opening Keynote”であった。ジョブズ氏の講演には1時間前から、Moscone Centerの前に長蛇の列ができていた。本稿では、スティーブ・ジョブズ氏による講演内容を報告する。

Steve Jobs氏のSpecial Keynoteを聞くために、会場前から列んでいる非常に多くの参加者たち

Giga Ethernetでデジタルビデオを転送、リアルタイムに再生

スティーブ・ジョブズ氏が登場すると、場内は歓声に包まれ、大きな拍手がわき起こった。この業界でのスティーブ・ジョブズ氏の人気は相変わらずである。

新製品の性能について熱弁するスティーブ・ジョブズ氏

ジョブズ氏はまず最初にアップルコンピュータ社の新製品を紹介した。ここで紹介されたのは、光学的な仕組みを用いてデータ入力する新しいマウス(Optical Mouse)、新しいキーボード、音声と映像の扱いに優れたiMovie2などである。しかし、これらはいずれも今春のMacWorld NewYorkで紹介されたものばかりなので、その内容は割愛する。

会場ではボディーカラー1色ごとに異なる音楽と内容で構成されたiMacのCMとマウス(Optical Mouse)のCMが流された。いずれも、iMacのボディーカラーが持つイメージと軽快に動き回るマウスが持つイメージに合わせ、軽快な音楽とスピーディーな動画の組み合わせで制作されたCMである。それぞれのCMでは、会場からも随所で歓声と笑いがわき起こっていた。

PowerMac G4の紹介では、ジョブズ氏はG4のCPUとそれに最適化された“Velocity Engine”で発揮される処理速度を強調。氏はPowerMac G4ではクロック周波数に関わらず、その処理能力が高いことをアピールするために、Pentium IIIプロセッサーとの比較をプレゼンテーションした。

まずは、それぞれ500MHzのG4チップと1GHzのPentium IIIを搭載したマシンで、Adobe Photoshopを使い、画像処理の速度を比べてみる。Velocity Engineの貢献も大きいが、ここではその処理速度にかなりの差が見受けられた。PowerMac G4ではCPUを2枚搭載したモデルもある。そこで、500MHzのG4 CPU2枚での処理を1GHzのPentium IIIと比較してみる。ここでの処理にも大きな差が見られた。500MHzのG4 CPU2枚を組み合わせた処理能力は、7ギガFlopsにもなり、それは2GHzのPentium IIIに相当するという。

G4チップのパフォーマンスのデモ。1個で3.5ギガFlops

今回のPowerMac G4に搭載された“Giga Ethernet”の転送能力は高い。このネットワークを使えば、デジタルビデオのなどの大容量ファイルを高速に転送するには、最適な環境が構築できる。デモンストレーションではGiga Ethernetで接続された2台のコンピューターでデジタルビデオの転送を行ない、受け手のコンピューターでスムーズにリアルタイムの画像を再生していた。

Adobe Photoshop 6.0のお披露目!!

Adobe Photoshop 6.0は、Special Expo Opening Keynoteの前日、Seybold Seminars S.F.で発表された。Webパブリッシングなどクロスメディア・ソリューションをも視野に入れて開発されたAdobe Photoshop 6.0は実に多彩な機能を持っている。それを誤解を恐れず表現すれば、Adobe Illustratorの機能とMacromedia Directorの機能が注入されたと言える。

Adobe Photoshop 6.0のデモ。Adobe Illustratorのようにベクトル形式で自由自在に処理が可能

注目の機能はベクトルでのオブジェクト処理である。これまでAdobe Photoshopに限らず画像処理の基本はピクセルであったが、それがかなりベクトルに移行してきた。このバージョンでは文字がベクトルで扱われる。まるで、Adobe Illustratorのように文字を大きくする、歪める、回転するなどの処理がベクトル形式で自由自在に行なえる。文字がベクトルで処理されているので、文字にかけられる特殊な効果の種類がかなり多くなった。

また、このテキストは画面上のオブジェクトの動きに連携して、その形状を変化させることもできる。デモンストレーションでは、ボーダーが一連の文字の上を滑っていくと、その動きに合わせて文字が変形し、文字色も変化した。これはまさにAdobe Photoshop 6.0がマルチメディアのクリエイションツールとして使えることを表わしていた。

MacG4 Cubeのデモも

非常にコンパクトなモデルで高い処理能力を持っているMacG4 Cubeが公開された。また、ここではMacG4 Cubeの高い能力を評価する人々の声が、ビデオで紹介された。どのユーザーも一応にシンプルでエレガントなMacG4 Cubeのメリットを語っていた。

このマシンではModem、Giga Ether、USB、FireWireが搭載されており、あらゆる形式の入出力に対応できる。このデモンストレーションを見ると、アップルコンピュータは今後もこのタイプのマシンを開発していくものと思われる。

MacOS Xの全貌が見えてきた。MacOS XのPublicBeta版は9月13日

早くからその開発が公開され、多くのユーザーが期待して待っているMacOS Xの全貌がそろそろ見えてきた。前回のSeybold Seminars S.F.では機能の一部しか見られなかったが、今回、ジョブズ氏はかなりの部分を見せるデモンストレーションを行なった。それもそのはず、MacOS XのPublicBeta版が9月13日にApple Expo Parisで公開されると発表されたからだ。

MacOS Xの概念的な構造はご存じのように、マイクロカーネルを基本とするDarwinの上に、透明の表現も可能にするQuarzA3Dなど立体効果を可能にするOpen GL、MP3を採用したQuickTimeなどの層があり、その上にはClassic、Carbon、Cocoaの層、最上層にはAQUAがある。

MacOS Xの基本構造概念図
MacOS Xのインターフェース

MacOS Xの特徴はOpen GL、Java2の採用、PDFへの積極的な対応、2個以上のCPUを動かすマルチプロセッサーへの対応である。MacOS Xでは音声、画像、ビデオ、ドキュメントが共通のインターフェースで処理されている。そのため、使い方が統一されている。また、Multi-Languageに対応しているので、フォントは多彩である。日本語フォントにはHiraginoが採用されている。

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MacOS Xのユニークなインターフェース

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