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「自分たちの好きなPalmとは違う、でも体験してみたい」──CLIEトークイベントから

2000年08月29日 18時51分更新

文● 編集部 小林久

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ソニースタイルドットコムジャパン(株)は、26日、東京・銀座のソニービルにおいて、同社のPalm OS搭載機『CLIE』(クリエ)の一般公開を発売に先立って開始した。同日は、一般公開を記念したトークライブも行なわれ、ソニーならびにPalm製品に一家言あるパネラーが発売まで2週間を切ったCLIEにかける期待や要望をそれぞれの視点から語った。

トークライブに参加した皆さん

Palmフリークが銀座に結集

トークライブに出席したのは、CLIEの開発を担当したソニーの清水博幸さん、タレントの宍戸開さん、Palm情報サイト“パームをポッケにつめこんで”を運営するポチさん、Palm Magazineの石坂康夫編集長、そして司会進行役を務める月刊アスキーの遠藤諭編集長の計5名。ソニービル4Fのイベントスペース(スペースHDVS)に、同ビルに来場した約50名の一般来場者を集めたもので、事前告知は、同社の提供する“PDA Style”のウェブサイト/メール配信での告知のみ。クローズドな雰囲気のイベントとなった。

日本語版Palm OSを搭載したデバイスは、日本アイ・ビー・エム(株)が、'99年にリリースしたWorkPadシリーズを皮切りに、今年に入って本家のパーム コンピューティング(株)からPalm IIIcとVx、そしてハンドスプリング(株)の低価格と拡張性をウリにした『Visor』と、相次いで新製品が登場している。会場に集まった人々も2/3がすでに何らかのPalmマシンを所有し、2/5がCLIEを先行予約済みと、その関心の高さをうかがわせた。

Palm好きが作ったソニーのPalm

CLIEは、メモリースティクスロットやジョグダイヤルなど、今までのPalm機にはない新機能を搭載したのが特徴だ。自身もPalmユーザーだという、清水氏は「個人的にPalmを使っていて、困っていること、あるといいなあと思っていることを突っ込んでいこうと考えました」と開発コンセプトを説明。「メモリーを増量してもすぐに足りなくなる」ので“メモリースティック”、電車などでよくペンを落っことすので、ペンなしで片手で使える“ジョグダイヤル”を追加しました」などと、日々の操作で必要なものをソニーの技術を使って追加したのがCLIEであることを強調した。

清水氏は「いままでの予定表中心の使い方だと、電車での移動中はカバンの中、オフィスでは立てているだけと、Palmを眠らせている時間が多い」とコメント。CLIEに搭載した簡易動画再生機能で、移動中に好きな動画を見たり、スライドショー機能で絵本立てとして使ったりと、「(CLIEによって)1分でも長くPalmを起こしたい」と今後の抱負を述べた。気になるCLIEのネーミングに関しては「なんでしたっけ」と一瞬はぐらかしたが、「社内の女性がゴロがいいからと決めました。各単語の意味は後付けです」と内情を暴露。「VAIOの時もそうだったんです」という言葉には場内大爆笑となった。

「VAIOの小さいのがCLIE」と、清水氏が言うように、CLIEはAVを融合するPalmというコンセプトで完成した。しかし、初代の2モデルにはまだまだ不満もあるようで、「今回できなかったことで一番心残りなのは“音”」とコメント。「ただし、これも時間の問題」と第2世代、第3世代とCLIEが新たな進化を遂げていくことを予感させた。清水氏の「やってる本人が欲しかったら急いで作りました」、「本体の幅は少なくとも私にはピッタリです」などのコメントから、PalmとCLIEに対する思い入れが滲み出ていた。

左から月刊アスキーの遠藤諭編集長、Palm Magazineの石坂康夫編集長、タレントの宍戸開さん、ソニーの清水博幸さん、Palmユーザー代表のポチさん

CLIEは自分たちの好きなPalmじゃなくても……

ソニーファン代表として出席した、タレントの宍戸開さんは、プライベートではデスクトップの『VAIO PCV-R72』シリーズを使用し、テレビの仕事でオーストラリアに赴いた際には、デジタルカメラ『Cyber-shot 505』で動画を撮り歩いたという。写真家としても知られる宍戸さんは「撮影した動画を外でパーっと見れたらすごく便利。映像志向で行きたいですね」などとコメント。「リポビタンDのCMから気に入った部分だけを集めて、ひとり“ファイト一発!”とかやったり……」とリップサービスも忘れなかった。

一方、Palmファン代表としては、情報サイト“パームをポッケにつめこんで”を運営している“ポチ”さんが参加。日本で発売されたPalmはすべて所有しているほどのパワーユーザーである、ポチさんは「ジョグダイヤルとメモリースティックはいいなあと思いました」とCLIEを評価する一方で、「昔ながらのPalm好きはシンプルであることが好きで、自分たちの欲しいものは自分たちで入れてきました」と、従来のPalmとの微妙な違いも鋭く指摘。

「(さまざまな機能やコンテンツがあらかじめ用意されているのは)自分たちの好きなPalmの世界ではないけれど、でも体験してみたい」と、Palmとソニーのふたつのブランドが合わさることで生まれる新たな世界への期待を示した。

ピンクのクマはピンクでないとダメ

トークショーには客席からの参加者も登場した。ショー半ばでは、Palm関連サイトとしては老舗の“パーム航空”主催者の“機長”さんと“PalmFan”の“M.Hirose”さんが客席から飛び入り参加。「CLIEを手作りだったPalmをわかりやすい形で説明してくれるマシンとして歓迎したい」、「ファッション関係にもアピールできれば」と次々にCLIEがPalmに与える影響を寸評した。

一方、来場者からの質問では、「最近会社でPalmに関心を示す女性も多いんですが、ピンクのクマは出ないんですか?」という質問に対し、清水氏が「時間の都合で、白黒とカラーモデルの構成がほぼ同じになってしまいました。ピンクのクマはピンクじゃないといけないんです……」と応える一幕も。

また、「Palmを手帳代わりに使っている人の割合は?」という質問には「最近、Palmを持っている人が増えてきてとなりの人が使っているのを意識しあうようになった。でも、女性がつかっているのはまだ見たことないですねぇ」(清水)とコメント。「今後は女性ユーザーにも数多く使ってもらって、電車の向かいに座ったきれいな女性に、いきなりメッセージを送信しできるようにしてください」という発言には、場内が大爆笑となった。

1時間の制限時間が大幅に延びたトークショーは「だまされた思ってPalmを使えば、誰でも手放せなくなるはず」という結論で決着した。「できることがほとんど同じのPalmOS互換機のなかで違ったことができるようにしたかった」というCLIEの発売で、Palmの可能性がどう広がるか、注目したいところだ。

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