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【レビュー】『Rio 600』、MP3とWMAをどう使い分ける?

2000年08月21日 22時59分更新

文● 伊藤咲子

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“Rio(リオ)”シリーズの第3世代の製品『Rio 600』が、8月末に国内で発売される。MP3プレーヤーの草分け的存在として知られるシリーズだが、ロングヒットとなった第2世代機『Rio 500』を進化させ、本機ではMP3だけでなくWMA(Windows Media Audio)の再生に標準で対応するようになった。ここでは、デザインが一新されたボディの操作性と、複数用意されたコ―デック方式の使い勝手などを中心に評価したい。

『Rio 600』。開発は米S3社で、国内での販売は(株)ダイアモンド・マルチメディア・システムズが担当する。同じく第3世代の製品として、ハイエンドモデル『Rio 800』のリリースを予定している
青いフェースプレートは取り替えることもできる。オレンジ/赤/白をセットにしたフェイスプレートパックが、本体とほぼ同時に発売される予定

ディスプレー+ジョイパッドふうボタンで楽々操作

米国メーカー製の『Rio 600』は、国内メーカー製の小型・スリムなプレーヤーに比べると、貫禄のあるボディに仕上がっている。アルファベットの“B”に似た非対称の新デザインで、高さ90×幅60×奥行き24mmと、コロンとした入浴石鹸くらいの大きさだ。重さは約75g。

これがジョイパッドふうに使う丸ボタン。すり鉢状にへこんでいるので、指にフィット

本体上部のレバーで電源をONにしたあと、本体の操作に使うのは前面に配置された4つのボタンのみ。3つの小さなボタンは、音量のプラス/マイナスボタンと、音質などの設定を行なうメニューボタンだ。ひときわ目立つ大きな丸いボタンは、ジョイパッドのように左右上下に傾けて、再生と一時停止/早送り/早戻し/停止の4動作を行なうもの。メニューボタンで行なう各種設定の時にも、このボタンでディスプレー上のカーソルを操る。

メニューボタンが持つ機能は、音質の設定、リピート/ランダム再生の設定、指定トラックの削除、バックライトや内蔵時計の設定など。音質は、Jazz/Rockなど7種類のバランスが用意されているほか、9段階のトレブル/バスを好みで設定できる。

ディスプレーのサイズは128×32ドット。見た目の大きさは前モデルとそう変わらないが、文字表示が3行になり、情報量がグンと増えている。例えばトラック再生時には、タイトル/アーティスト名/圧縮方式/圧縮率/トラック番号/ボリューム(20段階)/演奏時間/経過時間──と、これだけの多くの情報が一瞥できる。また、メニューボタンで各種の設定を行なう際には、タグシールふうの設定操作ガイドが表示されるので、機能が多くても操作が煩雑にならない。

文字表示は3行。写真はトラック再生時の状態で、中段に圧縮方式/圧縮率、アルバム名とアーティスト名が代わる代わる表示される。バックライト付き
音質など細かい設定は、メニューボタンでタグシールふうのガイドを呼び出し、丸ボタンでカーソル移動+選択

操作面の不満は2点、漢字表示ができない点と、ほとんどのライバル機もそうなのだが、本体側で曲順の編集ができない点。リモコン操作については、オプション製品として、FMチューナー内蔵リモコンが発売される予定だ。

『Rio 600』の付属イヤホンは、クリップで耳朶に固定するタイプ。フイの動作でも外れにくいのだが、イヤホンと耳のサイズが合わないと少々窮屈。インターフェースはステレオミニプラグ

SDカードやMMCにも対応予定

続いて気になるのは、駆動時間とメモリー容量。標準で32MBメモリーを内蔵し、本体背面に単3電池のはめ込み口を持った“はめ込み式バックパック”を装着するというスタイルになっている。連続駆動時間は単3アルカリ乾電池1本で約11時間と、同じ電源の前モデルより約2時間短い。駆動時間やメモリー容量を拡張できるよう、本体発売と同時期に32MBメモリーと充電バッテリーを内蔵したバックパックが、さらに、年末までに64MB内蔵パックをはじめ、SDメモリーカードやMultiMediaCard対応のパックがリリースされる予定だ。

はめ込み式バックパックと本体。バックパックを本体にスライドさせるようにして、はめ込む
バックパック側。電池ホルダーをバックパックに付け、それを本体に装着する。オプション製品のバックパックを用い、駆動時間やメモリー容量を拡張することができる

MP3とWMAをどう使い分ける?

エンコードソフトは、Windows 98/2000対応のMP3/WMAエンコードソフト『Rio Audio Manager ver.3.3』と、Mac OS 8.6以降に対応するMP3エンコードソフト『SoundJam MP for Rio』の2本が付属する。

Windows対応のMP3/WMAエンコードソフト『Rio Audio Manager ver.3.3』。米RioPort.com社製。評価では英語版を使用したが、国内モデルには日本語版のソフトが付属する
Macintosh対応のMP3エンコードソフト『SoundJam MP for Rio』。こちらは米Casady&Greene社製。いずれもCDDBに対応し、作成したファイルに音楽CDのデータベースサイトから曲名やミュージシャン情報などをダウンロードして付加することもできる

さて、Windowsユーザーは、WMAとMP3の2方式を楽しめるわけだが、これをどう使い分けるか。Celeron-400MHz搭載のマシンでエンコードを行なったところ、どちらも実演奏の約5分の1程度であった。従って、音質が2方式を選ぶ際の判断基準となるだろう。

128Kbpsでいくつかの曲を視聴したところ(※1)、ボーカル中心のポップスやロックについては、どちらの方式でも特に違和感を感じなかった。ところが器楽曲になると、Windows用ソフトで作ったMP3データについて、ギター、コントラバスなどの弦楽器やピアノなどの低い音に対し、ビーンビーンと耳障りな高音のノイズが入った。ビットレートを320kbpsにしても同様であったが、同じWindows用ソフトでもWMAのデータや、Macintosh版ソフトでエンコードしたMP3データでは、こうしたノイズは気にならなかった。この件に関して、メーカー側は「エンコードエンジンの品質の問題」としている。

音質は、個人の嗜好が関わってくる問題なのだが、Windowsユーザーで、かつ器楽曲を聞きたい場合には、WMAをオススメしたい。メモリーにMP3データとWMAデータを交互に記録して再生することも可能なので、ソースのジャンルごとに使い分けるのが現実的だろう。

こうしてエンコードしたデータは、専用USBケーブルでプレーヤー本体に転送する。前モデル同様、本機もファームウェアのアップデートに対応しており、今年秋には、AACや米Intertrust社の著作権保護技術“MetaTrust”に対応したプログラムを配布する予定という。

※1 視聴に使用したマシン:デルコンピュータ製『OptiPlex GX100』(Celeron-400MHz、24倍速CD-ROMドライブ)、同『Dimension XPS T450』(PentiumII-450EMHz、最大40倍速CD-ROM互換DVD-ROMドライブ)、コンパックコンピュータ製『Presario 3500』(PentiumIII-600EMHz、4倍速書き込み4倍速書き換え/32倍速読み出しCD-R/RWドライブ)、『iBook』(PowerPC G3-366MHz、24倍速CD-ROMドライブ)
視聴に使用した主な楽曲:クイーン『ボヘミアン・ラプソディ』、アストル・ピアソラ『Concierto Para Quinteto』、小松亮太『五重奏のためのコンチェルト』、ゴンチチ『短めの昼食』

HDD上のデータは、専用USBケーブルでプレーヤー本体に転送する

一式揃って2万円弱

3万~4万円台の携帯プレーヤーが多いなかで、本機の予想実売価格は1万9800円。しかも、メモリーやエンコードソフトなど、携帯プレーヤーで音楽を再生するために必要なものが一式同梱されているので、買ったその日に楽しむことができる。操作も取っつきやすいので初心者ユーザー、ノイズの件を考慮すれば、特にMacintoshユーザーにオススメだ。

メモリーやエンコードソフトなど、携帯プレーヤーで音楽を再生するために必要なものが一式同梱されている

対応OS

Windows 98/2000およびMac OS 8.6以降

対応フォーマット

MP3、WMA(Windows Media Audio)

記録メディア

内蔵32MB、オプションの専用メモリーパックで拡張可能

サイズ/重さ

高さ90×幅60×奥行き24mm、約75g

パソコンインターフェース

USB

電源/連続再生時間

単3アルカリ乾電池×1、約11時間

付属品

イヤホン、USBケーブル、単3アルカリ電池×1、ユーザガイド、CD-ROM

SDMI準拠

×(ファームウェアのアップデートで対応は可能、時期は未定)

価格

オープンプライス、予想実売価格は1万9800円

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