このページの本文へ

ダイキン工業と日本電気、合弁で情報システム会社を設立

1999年11月30日 00時00分更新

文● 編集部 鹿毛正之

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

ダイキン工業(株)と日本電気(株)は、企業向けのアウトソーシング事業を主体とする情報システム会社を合弁で設立すると発表した。新会社の名称はダイキン情報システム(株)で、設立日は12月1日。新会社の社長にはダイキン工業の水田安紀氏が就任し、日本電気からは非常勤の役員が派遣される。

ダイキン情報システムの資本金は9000万円。ダイキン工業が70パーセント、日本電気が30パーセントを出資する。社員数は130人で、ダイキン工業の情報推進化センターからの出向者で構成される。本社は、大阪市のダイキン工業本社内に置く予定。

同社では当初、ダイキン工業から情報システムの開発と運用を受託する。その後は、他の企業に対してのシステムインテグレーション業務も受注していく方針。初年度(2000年度)の売上高は35億円を予定しており、2003年度にはダイキン工業以外からの売上比率を30パーセントに上げ、売上高45億円を目標としている。

社外向けに展開する事業としては、ホストコンピューターのアウトソーシングを第一に行なう予定。次いで、システムインテグレーション、ERPシステムの構築、ASP(アプリケーションサービスプロバイダー)などを提供していくという。このうち、システムインテグレーションについてはすでにノウハウを持っているが、残りの事業については、社内でノウハウを蓄積しながら事業化を検討するとしている。

ダイキン工業では、“ダイキングループ全体の情報武装強化”を経営戦略の重要なテーマとしているという。そのため、新会社設立における狙いの1つとして、情報化ノウハウや情報管理ノウハウをグループ内で展開することを挙げている。

また、全国3000社以上の販売代理店と数百社の生産協力企業を対象に、情報化を推進しながらSCM(サプライチェーンマネージメント)の導入などを進め、在庫期間の圧縮などを実施していく方針だ。新会社の事業はあくまでグループ内と関連企業に限定し、その他の企業に対して営業を行なうことはないとしている。

日本電気では11月8日、インターネットを利用したビジネスを総合的に支援する“iBestSolutions”を発表している。今回の合弁会社設立は、iBestSolutionsの発表後としては初めての案件であり、同社では各企業分野ごとにユーザー企業との連携を進めていく方針。今回の合弁は、空調機器分野におけるトップ企業のダイキン工業と手を結んだものとしている。

都内で開催された設立発表会の席上、ダイキン情報システムの社長に内定している水田安紀氏は、「ダイキン工業の情報化推進センター136名のうち、130名を新会社に出向させる。これにより、これまで開発に偏りがちだったものを、より戦略機能を強化していく」と、新会社設立の狙いを語った。

ダイキン情報システムの社長に就任を予定する水田安紀氏、「現在ダイキンが導入しているERPのノウハウを活用していく」
ダイキン情報システムの社長に就任を予定する水田安紀氏、「現在ダイキンが導入しているERPのノウハウを活用していく」



また、販売代理店や生産協力企業を対象に事業を推進することで、「グループとしてSCMの強化を図る」としている。その上で、今回の新会社については「新しい事業で設けることを狙いとしているのではない」と語り、あくまでグループ内におけるシステムインテグレーションが目的であることを強調した。

新会社の非常勤役員に就任する日本電気の金杉明信常務取締役は、「インターネットソリューションプロバイダーを目指すために、ユーザー企業との連携を進めていく」と、同社が展開するiBestSolutionsの一環として、今回の合弁に至った経緯を説明。

日本電気の常務取締役を務める金杉明信氏、「空調分野ではダイキンがトップであり、その分野ということで組んだ。他の分野でも事業化を狙う企業と組んでいく」
日本電気の常務取締役を務める金杉明信氏、「空調分野ではダイキンがトップであり、その分野ということで組んだ。他の分野でも事業化を狙う企業と組んでいく」



iBestSolutionsの展開に関しては、システム構築のフォーカスが「基幹系からフロントオフィス・EC・意思決定支援の分野に移行している」と指摘。その上で、「それらのノウハウは(日本電気ではなく)ユーザー企業が持っており、そのためユーザー企業と組んでいく」と、今回の合弁について言及した。

また、「日本電気はIT分野の技術領域にノウハウを持っている。またダイキン工業はユーザーズハウスとしての経験を持っている」と、両社の強みを指摘。「この両者を結び付け、インターネット時代に合ったソリューションを提供していく」と、両社が合弁を行なう意義について説明した。

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン