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【入社式挨拶ニュースリリース】セイコーインスツルメンツ(株)の伊藤潔代表取締役社長

1999年04月01日 00時00分更新

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新入社員へ贈る言葉

 セイコーインスツルメンツ株式会社へ入社された皆さん、ご入社誠におめでとうございます。
 59名の皆さんを心より歓迎申しあげます。また皆さんが社会人としての最初の起点を、当SIIを希望され選択されましたことに対し、まずもって御礼申しあげます。
 さて私どもSIIは、昨年「国際企業宣言」を行ないました。つまり、過去の60年を区切りとし、1998年を21世紀でも繁栄するSIIの第1年としよう、そして、新生SIIに変身しようと、意志表明したわけです。従って今年は「国際企業変身第2年度」にあたることになります。
 なぜ、そうしたのか、今の皆さんには理解しかねると存じますが、いずれ詳しくご理解頂かねばならない重要なことであります。
 ここでは要点のみ申し上げますと、
 (1)戦後以来、日本企業を育み有効に作用してきた復興型成功システムの協調協力型社会構造が、国際環境の大変化によって、機能不全に陥ってしまったこと。
 (2)日本の社会構造の変革が遅々として進まずとも、製造業の国際化は選択の余地なく、「国際競争社会」で競争力を発揮するほか、生存の道がないことです。
 国際企業とは国際市場に参入しているのみでは意味がなく、市場から認知・承認され、そして賞賛される企業でなければなりません。国際市場とは「最適なものを、最適な価格とタイミングで、最適なところから調達する」という、市場原則を満たす企業のみが参加できる市場です。従って国際企業になるということは熾烈な競争社会に参入し、そこで生存するということを意味しているのです。
 競争については、皆さんも入試を始め種々の体験をお持ちと存じますが、ここで申しあげる国際競争は熾烈そのもの、生きるか死ぬかという世界です。そして、その競争とは単に企業と企業の競争にとどまらず、競争に強い企業に変革するには、企業を構成する組織と組織の競争、組織を構成する個人と個人の競争も意味していることを理解しなければなりません。競争すれば、必ず勝者と同時に敗者も生まれます。競争の参加者が多ければ勝ち負けだけでなく、順位格付けも生まれます。そしてそれは、国際的に多数の人々に支持される、国際標準によって評価されることになります。
 国際市場に参加する企業の「企業価値」は、すべてこの評価により格付けされることになると思われます。それ故、厳しい競争においては企業・個人を問わず「相互理解・相互信頼」が厳格に求められ、「オープン」「フェア」な、そして「倫理感」に富んだ活動が大変重要になってくるわけです。
 以上今までの話は、新人の皆さんには耳慣れない、違和感のある話であろうと思います。事実、当社内において過去数年前から、競争社会で生存するための変革・変身を求めてきましたが、今だ不十分です。国際企業宣言をしたのも、実はそのためです。何としても変革しなければなりません。
 2カ月程前の新聞に、アメリカ人のジャーナリストの※サム・ジェーソン氏が述べてます。「日本人も厳しい競争と口ではよく言う。しかし日本人が競争という言葉を使うとき、アメリカ人には、協調とか、結託とさえ聞こえる。アメリカ人が競争という言葉を使うときに考えるのは、日本人が過当競争という言葉を使うときに思い浮かべるものと、ほとんど同じである。」「日本人は本質的に競争を好まない。日本人が競争という言葉で連想するのは混乱であり、これは社会の和を乱す敵とされている。」「この考えがいかに根深いものであるか、たとえ適法に活動している場合でも、日本人は、競争で勝者と敗者が決まることがないよう、わざわざ努力していると思える。」
 この話は今までの日本の規制経済ベースの社会構造システムを的確に指摘しています。皆さんはどう考えますか。
 最初からきつい話になりましたが、これはみなさんに早く当社のキーマンに成長して欲しいと願っているからであると理解してください。例年、私は新入社員の皆さんに贈る言葉として、同じアドバイスを贈っております。それは、
 (1)存在感のある人物になる
 (2)創造性に富んだ人物になる
 (3)社会性の豊かな人物になる
 であります。
 これを目標とし、1日も早く会社に慣れ、優秀なプレーヤーに成長されることを祈念し、入社の祝辞といたします。
 ※滞日38年のベテランジャーナリスト。元ロス・タイムズの東京支局長。

・セイコーインスツルメンツ
 http://www.sii.co.jp/

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